母の日と決闘者


相棒王様海馬の詰め合わせ
王様は気持ちシリアス

相棒
「菜乃」
ちょいちょいと手招きする遊戯に首を傾げながら洗濯物を一旦床に置いて駆け寄る。どうしたの?と動かそうとした口は彼にしーっと指を置かれた事によって出ることはなかった。

「これ幼稚園で描いたんだって。今朝お母さんに酷いこと言っちゃったから仲直りしたくて…って言いながら僕に渡してきたんだ」
素直じゃないところは誰に似たのかなぁと肩を揺らす遊戯の背中をばしんと叩いて寝息を立てている彼女の髪を撫でた。

「遊戯、私幸せだよ」
「僕もだよ菜乃」
****

王様
「母の日か…」
ぽつりと吐き出された言葉はどことなく寂しそう。そういえば今日おばさんに何かプレゼントしてあげるんだと遊戯が言ってたっけ…記憶がない彼にはしたくとも不可能な事だ。

「私もいつか自分の可愛い子供にママありがとう!ってお礼を言われる日が来るのかな」
ぼそりと呟いた言葉も聞き漏らさずしっかり耳を澄ましていたらしいもう一人の遊戯が勢いよく椅子から立ち上がった。

「どうしたの遊戯」
「…お前の未来の夫に嫉妬した。菜乃を縛る権利なんてないのにな」
先より悲壮感と儚さを滲ませる遊戯に私は笑いかける。

「そこの場所空けて待ってる。だから、必ず迎えに来て」
ね?と続ければ悲の色を色濃く映した瞳で彼も笑顔を返した。
****

海馬
「大きくなったら僕がお母さんを幸せにするから。いつもありがとう」
「まだ社会にも出ていない奴が大口を叩くな。それに菜乃は俺のだ」
「欲しいものは何があっても手に入れろと言っていたのは父さんじゃないか」
「ほざけ」
我が息子にも大人げなく(父親らしくないとも言う)言葉を返し睨み付ける瀬人に頭が痛くなる。
これじゃどっちが大人で子供なのか分からないわ…。

「あの子が泣いちゃう」
タイミング良くか悪いのか寝返りをうち始めた娘。
鶴の一声となったのか二人ともピタッと言い合いを止めてそれも同じタイミングで振り返った。
コホン、と咳払いがひとつ。

「…お父さんごめんなさい。お兄ちゃんになったんだもん我儘言っちゃダメだよね」
「ふぅん分かればいい。お前は賢い上に器量もいい。コイツほどいい女は居ないが、まあ似合いの奴は見つかるだろう」
「子供の前で惚気ないでよ恥ずかしい!夕飯おでんにするよ」
「ならば夜は覚悟しておくことだな菜乃」
「お弁当にもおでんが良いって?」
「眠りたくないのなら最初からそう言え。…お前の期待に応えてやる」
両親間で交わされる謎の応酬に母の日とはなんだっけ?…と愛息子は首を傾げるしかなかった。


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極夜