ラング




この愛は永遠だと付き合い始めた恋人達は誰だってそう思う時期がある、自分たちもそうだった。
ラングという優しい男と出会い数回のデートを重ねて付き合って交際から2年弱で結婚をしようと提案した時彼は驚いた顔をしたあと直ぐに嬉しそうな顔をして「よろしくお願いします」といった
その時にこの愛は不滅だと思った、優しくて少し儚くか弱くてけれど強い心を持った彼とその反対の自分、対象的である故に周りは2人は不滅だというからその度にそんなことは無いと言いつつも誇らしく思えた、自分以外きっとこの人を幸せになんて出来ないと信じていた

「別れましょう」

そう切り出したのはラングからではじめて彼から提案された言葉がそれだということに驚いてしまい言葉は何も出なかった、彼は至って自然に静かにそう言う、精神科医としても個人としても全ての観点においてダメだと悟ったのだろう。
何がダメだった?直すから離婚は嫌だ離れたくない、私にはラングしかいないの そう弱々しくいえたのならば彼は納得してくれたのかと言うとそんなわけは無い、彼は絶対にこの言葉を変えないし情に負けはしない
手順を踏んだわけでもない口約束だけの結婚という形はこうして終わってしまい3ヶ月ほど酒に溺れたことは忘れられなかった

「それで」

私が話す内容を聞いて小さく微笑みながら相槌を打つのは"友人"のラング、彼は私と離婚をしても友人で居たいと酷い提案をしてきた、私は彼がいるならばもうそれでよかった彼の顔を見る度に手を眺める度に触れたい愛を語りたいと願うのにそれは許されない
エンジェックスのグラスを持つ彼はいつも通り愛らしくて今すぐあの頃のように素敵だねと言いたいがその言葉は発することはなく酒と共に飲み込んだ

「本当にあなたは面白いですね」

カラカラと笑う彼がかわいくてあの頃のようにキスをしたいと願いながらも酒のせいでそう思うんだと言い聞かせる、きっとラングも私が手を出せば二度と会ってくれなくなるだろう、そうはっきりさせる何かがあるのだ

「そんなに仲がいいなら寄り戻したらいいのにな」

空になったグラスを交換してくれたスワーブが余計な一言を告げた、その言葉を聞いてラングも飲み干したグラスを彼に手渡した

「今の距離感がいいんです」

そう言い残して今日はここまでで、次のカウンセリングがあるのでといって出ていってしまいその背中を見つめた、そして向かいでグラスを片すスワーブを睨みつけた

「余計なこと言いやがって」

別に彼のせいでは無いけれど行ってしまったラングが恋しくなる、あぁ私の恋は永遠に冷めない、愛は永遠に続くことは間違いないただ私だけを残しているだけだ。
そう思いながら差し出されたグラスを一気に煽った瞼の裏には自分に微笑み「好きですよ」と恥ずかしげに笑う彼がいた

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