マイスター
▼▲▼
好きです
真っ直ぐな瞳でそういった彼女にかのサイバトロン軍団副官のマイスターは苦笑しながら ありがとう とだけ返事をした
彼女はそれに納得をしたように去ってしまうものだからそういう物なんだろうな。と適当に納得をしてから彼女は毎日伝えるようになった
至って真面目な顔でからかいや冗談など無く、それまでニコニコと仲間たちと話していてもマイスターを前にその言葉を吐く時だけは必ずその瞳は真っ直ぐと刃物のように鋭く
「私のどこが好きなんだい」
ある日の告白の際マイスターは思わず問いかけると彼女は呆気を取られた顔をした、そして顔を俯かせて沢山あります。という
曖昧な返事だなと思っていれば、例えば私が怪我しそうな時1番に駆けつけてくれるところ、例えば私が落ち込んでる時静かに好きな音楽を流してくれるところ、例えば私が告白をしたとしても態度を変えないところ、例えば、例えば、彼女は両の指が全部折りたたまれた後見上げてから沢山あります。とやはり答えた
そういわれて悪くないという気持ちがあるのにマイスターはやはり曖昧に笑みを浮かべて彼女に ありがとう というのだ
そんなある日彼女は雨の中ひとりで基地にやってきた、遠いのに彼女は自転車を走らせてきたらしくレインコートを濡らして弾いた泥が彼女のレインシューズを汚して、こんな悪天候の日にどうしたんだと問いかける前に
「好きです、答えをください」
そういった、はじめて彼女がマイスターに求めたものだから彼は思わず固まってしまう
彼女は お願いです、答えがないと私ずっとあなたを考えてしまう。期待した気持ちのままで次に進めなくて怖くなるんです と続ける、こんなに不安定な彼女は初めてでどうしたんだと冷静に聞けば彼女はもうすぐ遠い場所に引っ越すんです。そうなると会えなくなるからと告げた
この気持ちは一方通行でよかった、マイスターをその瞳に映せるならば。
けれどもう二度と映せないかもしれないと思うとどんな言葉であれ欲しくなった、友人としてでもなんでもいい、ただ答えが欲しいだけなんだと懇願する
私は、私はね。
「君を愛しているよ」
深く誰よりも愛しているのに答えを伝えるのが怖くてたまらなかった、関係が崩れることではなく置いていかれることが。
マイスターは胸の内を吐いてしまえば彼女は何も言わず足に抱きついた、ボンネットが邪魔で見えない、無性に恥ずかしいと彼は感じながら名前を呼べばボンネットの下の彼女はつぶやいた「これで後悔なく行けます」と
毎週末が待ち遠しい、マイスターは外出届をプロールに提出して何かあれば。というものの相当なことがない限り呼び出せないなと申請書を受け取ったプロールは呆れてしまう
彼女の好きな音楽を流して、彼女のことを思いマイスターは走り続ける、ふと最近見なれた街並みを見かけて電話をかける
「もうすぐ着くよ」
そういえば彼女の嬉しそうな声が車内に響く、生憎物理的な距離ならばどうにだって出来るのだ、あと何十年きみに会いに走り続けるだろうねとマイスターは思いながら週末に出会う彼女に心から
「好きだよ」
そう伝えるのだった。
▲▼▲
- 12 -