オーバーロード
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「随分とご機嫌だな」
「ええ、そりゃあもう明日はクリスマスだからね」
今日はチキンにローストビーフにミートローフにポテトにピザにコーラを・・・といえば醜い生き物に変わりたいのか?とそのむっちりとしたセクシーな唇で悪態を吐く彼にそんなわけないでしょうと言い返す
そもそもクリスマスなんて知ってるの?といえば俺のような奴にプレゼントを届けに来てくれるんだろう?といった、合ってるがあなたには来ないとおもうよ。と零してとにかく今晩は遊んでいないでクリスマスパーティをしようねと誘えば彼はいつも通りに不気味な笑顔を深めた
態々頼んだサンタのコスチュームは無事に届いたが配送業者の人が血気盛んな連中に狙い撃ちされたのは気付かなかったことにしておいてソレを身にまとい食事の準備をしていく
彼が食べられるものは決まってはいるがそれでも料理は見た目と愛情だと複雑なエネルギー燃料である液体を睨みつけて包丁を振るうのだった…
「という訳でハッピーホリデー」
「ほぉ、プレゼントまであるとはな」
「住ませてもらってるのでせめてものお礼にね」
例えここが周りの者からして地獄だとしても縋り付く他ないのだからそれなりに快適には生きていきたいものだと思いつつ彼に先日入手したいいエンジェックスのボトルを渡せば彼はラベルを見てはその価値を察して「いいセンスだな」と指先で頭を押した、赤いワインと蛍光ピンクのエンジェックスのグラスを互いにぶつけ毎日の恒例行事となった夕食を共にする…とはいえ食べるのはこちらだけで彼は眺めるだけだった
「サンタに頼み事は決まったか?」
「ここにサンタが来てくれるなら頼むけど」
「願わなきゃ分からんものだ、口にしたらどうだ」
目の前のチキンに手が汚れるのが嫌だからとナイフで切っては口に運ぶ、オーバーロードの問いかけにそれなら私は帰りたい…よく分からずに拉致されて助けられたと思ったのにこんな星に来て生活をするのはもう飽きた。そう零せば彼は「白馬の王子様でも待ってると書いておいてやろう」と言い出した。
白馬の王子様でも連れ出してくれるなら誰だっていいと思いながらテーブルの上のキャンドルを眺めればそれは部屋に吹いた風のせいで消えてしまい真っ暗な部屋に変わる、見上げた先には非常灯のように光る赤いオプティックが二つ
「きっといつか来てくれるだろう、お前の望むサンタも王子様も」
だがしかしまぁ…お前を連れ出してくれるかどうかは知らんがな。と言いながら彼は暗闇の中エンジェックスを飲みながらテーブルの上の食事を乱暴に床に落とした、期待してはならない逃げてはならない今年もきっとサンタは来ないからと彼と過ごす2年目のクリスマスに思いを馳せた
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