デスザラス


たった一人の人間の為だけにその日の戦艦ウォーワールドの内部は紅白に彩られていた
地球時間に合わせると約数時間後人間達にとってのに一年が新しくなる、仲間である彼女が来てからその短い瞬きの様な時間さえ貴重で彼等はディセプティコンの一部隊として恐れられていたがその姿は祝いの席ではなりを潜めた、飲めや歌えやの席になり彼女は恋人の腕の中で仲間達を見つめ嬉しそうに微笑んだ

「また来年もよろしくお願いします」
「あぁ…どこに行く?」
「すぐ戻りますから」

もう時期日が変わるというのに彼女はデスザラスの腕から抜け出してしまいそそくさと部屋を出ていってしまう、騒がしく盛り上がる部下達は悪くは無いが彼にとっての魂の様な彼女がいなくなってしまえば些か面白味もかけるという所である
まだ戻ってこないのかと今か今かと待ち侘びるデスザラスに部下達は慌てて機嫌を取りつつもう時期帰ってきますよと声を掛け続けた

「あやつは何処に行ったんだ、全くこれでは年が変わるではないか…」
「もうすぐ、もうすぐですから」
「なんだお前達は知っているのか?全く揃いも揃って」

あぁこれはもう駄目だと思った矢先冷え切り始めた部屋の入口から破裂音が小さく響き何事かと目を向ければゴウリュウ達に抱えられた彼女が楽しそうにクラッカーを鳴らしながら現れた

「あけましておめでとうございますデスザラス様」
「あけまして、おめでとう…と言いたいところだがそれはどうした」

デスザラスの手の中に戻ってきた彼女は挨拶をすると同時にそう問いかけられては恥ずかしそうに頬を人差し指で掻きつつ似合わないかと不安そうに聞いた

「いや、似合ってはいるが」

彼女のボディラインがしっかりと分かる立襟のワンピースのようなそれは青地に白の美しい刺繍がされており、横には大きなスリットが入っており彼女の白い脚が見え隠れしていた
普段からやたら滅多に露出もしなければラフな服装の彼女からは見て取れぬ服装に驚きを隠せずにいた

「今年の干支は龍ですから、その…デスザラス様かなと思いまして、それで、その」

普通は着物を着るのだがそれなら折角だし普段ともっと違うものにしようと仲間達に言われ結局その場のノリとやらに乗せられこんなものをしてしまっています。と彼女は年甲斐もなくはしゃいでいる自分が恥ずかしいのか着替えますね。といいまた手からすり抜けようとしていくが彼女はその大きな手に捕まれる
ふと背後を見れば仲間達はそそくさと残ったボトルを片手に出ていってしまい、最後にヘルバットが「ごゆっくり」と笑うものだから、そんな気もなかった彼女はもしや嵌められた?と気付く頃には四つの深紅の龍の瞳が降り注ぐ

「新年早々お前からそう誘われるとはな、いやはや悪くない年になりそうだ」
「あの…そ、そういうわけじゃ」
「ん?」

お手柔らかに…と彼女の声は宴会で散らかった部屋の中に消えた。

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