スワーブ
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毎日飽きもせずいってくる彼女にはじめこそ驚いた、有り得ないだろ…いやまぁ有り得るのか?有り得るかもしれないけどまぁ有り得ないわな
人間である彼女にまぁ冗談だろとどうせいつもの飲み仲間の面々に賭けで負けて言ってきたんだといえば不服そうな顔をされた、いや本当にやめてくれよ…
彼女はすごく良い奴で俺は人間の娯楽が好きともなればそりゃあもう夢中になって仲良くなろうってなる、ニコニコ笑うし酒は綺麗に飲むタイプ話はよく聞いてくれるし…かわいい
ある日あの子と仲のいいスキッズにあの子好きな人いねぇのかな?なんていったらまぁこの船だと厳しいよな。といわれたそりゃあそうだ俺だって異星人に恋するなんて考えたことがなかった
だってのに
「スワーブのことがね、好きなの」
大体店に来て一時間くらい経つとそういうようになった、罰ゲームならもうやめてくれまじでこれドッキリなんだろ?ここで喜んで!と返事をしたら多分リワインド辺りが現れてみんなで笑いやがる
俺はそんな作戦には乗らない、なんてったってスワーブ様はからかわれるよりからかうタイプだから
だから無視することにした、聞かなかったことにして下らない話をすれば少し悲しそうな顔をして相槌を打ってくれる…好きだ
「そもそも俺なんかよりもっと良い奴沢山いるはずだろ?見た目だけで言えば俺はまぁセクシーだけどよ、なんていうか」
ブツブツと独り言のごとく呟いてブラー顔負けに大繁盛の店の中を走り回る、意外にも聞いていたらしいカウンターの客たちは確かにお前のこと好きになるあいつはおかしい。と言い出した納得ができるので反論はしない
「でも恋に理由なんてないだろ」そういうのはこの船で一番暑っ苦しいクロームドームだ、膝の上に恋人を乗せて顔を見合せて笑う出禁にしてやろうか
「そりゃあお前たちが同族だからだ」
「なんだ、案外古い考えなんだな」
「そうじゃないけど、だって考えてみろよ」
サイズも本来の言葉も見た目も寿命も違う、普通結ばれる訳が無いどこか結ばれちゃならないだろと熱弁するがみんなはそれを言い訳だと反論した
「何の話?」
「そりゃ…この間レッドアラートを起こすときにエネルゴン爆発させた話だよ」
「なにそれだからまたマグナスに反省文書かされてたの」
全くと笑う彼女に危うくフリーズするところだった、カウンターの連中は適当に帰っていくことに最近二人きりにさせようとしているのだと理解して居ろと行っても聞きはしない
結局二人きりになった店内で彼女は今日もほろ酔い状態で好きだというから気付かないふりをした、グラスを拭きつつバイザーでバレないように見てみれば随分と酒が進んでいるらしい彼女は普段よりもさらに蕩けきった顔をしているからそろそろ時間だし止めておけと取り上げるとますますこちらをじっと見つめた
「ねぇ、本気で私スワーブのこと好きなんだよ」
思わずグラスを落としそうになってしまい、そうだ俺たちは友達だ客とマスターだ異種族だとか色んな言葉が浮かぶのに何も出てこずに入ればいつの間にかテーブルの上に登ったちいさなヒトがこちらに手を伸ばして触れる
「スワーブは私のこと嫌い?」
それとも…と言われてもう観念しないやつはいないだろ?情けないことこの上なく俺は好きだよ大好きだめちゃくちゃ好きだと叫んで手に取ってキスしてやったところでドアの奥にはニタニタしやがったいつもの連中がいた
「閉店だぞ!帰れ!!」
今から俺はハニーと忙しいんだよ!と手の中を見れば泥酔した彼女は寝ていた、大丈夫だよな?記憶は残ってるよな?なんて不安を思いつつ「俺も好きだよ」とようやく静かに口にした
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