クロームドーム・フォートレス


メインルームの騒々しさに何事かとフォートレスは足を踏み込むなりその喧騒の元を見ては特に問題は無いと判断しつつ笑みを浮かべた
彼の視線の先には若きヘッドマスター戦士のクロームドームとその恋人の地球人がいた、彼らが些細なことで言い合いをしているのはいつもの事であり今日も大抵おやつの件での事だろうと思いつつ通り過ぎようとした際だった

「ねぇ聞いてくださいよ総司令官!クロームドームったら酷いんですよ」

まさか自分に火花が飛んでくるやらと思わず驚きを見せつつも仲間に頼られては断れる訳もなく仕方なくその小さな人を見下ろせば彼女はそれはもう怒り心頭と言いたげな表情であり、今日は一体どうしたんだい?と彼は声をかける、少々彼女の恋人の物言いたげな視線を感じはしつつもどちらの意見も大事なのだとフォートレスは内心呟いた

「毎度毎度アーシーさんのことってなるとデレデレした顔しちゃって、鼻の下伸ばしてるの」
「別にそんなことない、気の所為だって」
「ううん、私が部屋に入る前に聞いたものこの間二人だったとき彼女やっばり凄く綺麗でドキドキしたって」
「それは…その、あれだよ、まぁさぁ」

少なからず嘘が付ける男にはなった方がいいと部下に言ってやりたい気持ちがありつつもそこが彼のいいところだとも思えた、だがしかしクロームドームのアーシーに対する気持ちは綺麗な人に対する気持ちなだけであり恋心など微塵も無いものだと全員が理解していた
それでも恋人からしてみれば気に食わないのも当然の事で彼女の気持ちも分からなくはないと背中を優しく撫でれば彼女は勢いよくフォートレスを見つめる、そして決心したような顔をした彼女に何事だろうかと見つめていれば彼女は爆弾を投下した

「そんなにアーシーさんアーシーさんって他の女の人のことばっかりいうなら、私も他の人にいくから」

なんてことを言うんだとその場にいたがからかい交じりにみていたヘッドマスター戦士たちもそのカメラアイを丸くしてみつめる、だが彼女は地球人はスパイクさんはダメだし…ダニエルなんてもっとダメだし…となればと呟いたかと思えばもう一度フォートレスを見上げ彼女はグレーの足に抱きついた、当然その足先は恋人クロームドームではなくフォートレスである

「なんならフォートレス総司令官と浮気するんだから!」

待ってくれ巻き込まないでくれ。という声は二人の喧騒に飲み込まれてしまい残った三人のヘッドマスター達は楽しそうに笑いつつも総司令を巻き込むなと野次を入れる
当の恋人クロームドームは拳を作りワナワナと震えていた、それに対していくら上官とはいえ許せないだろうと同情していれば彼は声を荒らげ吠えた

「総司令官はやめろ!俺が勝てないだろ、せめてハードヘッドにしてくれ!」
「おい待てよ、俺なら勝てるってことか?」
「勝てる試合を仕掛けるなんて男らしくないぞ」
「フォートレス司令官が可哀想だぞ」

まるで言いたい放題だと野次を飛ばす彼らと気付けばハードヘッドに掴みかかるクロームドームたちに呆れた顔をしつつ足元の彼女を見れば少し呆けた顔をした後に見上げてきては小さくわらう

「クロームドームが次もし他の人に鼻の下を伸ばしてたら総司令官も手伝ってくださいね」
「私から強く言っておくから、勘弁して欲しいんだがね」

そう返事を返せば彼女はもう念入りに頼みますよ。というように笑うものだからクロームドームが彼女の尻に敷かれなくなる未来は無いのだと確信しつつ未だ子供のような取っ組み合いをする彼らにいい加減にと制止するのだった。

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