ブランカー


ブランカーは自身が若い戦士たちから好まれていないことを理解していた、物言いがあまり良くないことや経験ゆえの忠告が若者達の気に触るということは理解していながらも老婆心は止められなかった
決してそれに対して彼は悲しみを抱くという訳では無いものの近頃悩みを抱えていた、それはサイバトロンの仲間として活動する人間の少女とも取れようあの子から随分と睨みつけられていることについてである

「…俺は何かしたのだろうか」

彼が誰もいない場所でそう声を漏らしても誰も返事はしなかった、普段仲間と話す彼女の表情はとても柔らかく優しくブランカーは好意的であると言うのに彼を前にすると些か表情は固まり、それどころか仲間と話している際も視線に気付きみてみれば自身を睨みつけていた

「と思ってね、俺は君になにかしただろうか」
「え?」

もういい加減我慢ならないとブランカーは幼くちいさなその少女に声をかけた、少女といえどダニエルよりも年上で彼女はいつもお姉さんぶっていた、理由もなく嫌うようなタイプでは無く周りに堪らず相談しても仲間はみな本人に聞いたらどうだ。と何故か投げやり気味であった…と言うよりもどことなく楽しんでいるような顔つきだ

「それはその…」
「意味もなく睨むことは無いと思ってるんだが、俺が不快なら君の視界に入らないようにするし」
「違うの、違うくて…でも、その」

困らせるつもりではなかったと彼は目下の少女に思った、彼女は百面相の如く顔色を変えて手で何かを伝えようと必死にしており、ブランカーはまるで故障でもしたかと思い肘をつき肩に座る相棒を見やればふと彼が居ないことに気付く

「その笑わないでください、呆れたりも」
「ん?あぁしないさ、それでどうしたんだ?」
「睨んでたんじゃなくて、羨ましくって」

誰が?何を?とさっぱり分からず問いかければ彼女は顔だけが赤かったものが更に広がり首筋や耳元まで色を変えていきまるで茹でダコのようであった

「あなたの相方さんは、ずっと肩に座っているでしょう?わ…私だってブランカーさんとそれくらい仲良くなりたいな…って」

耐え切れずに顔を覆い隠す初々しいその少女に呆気を取られたかのターゲットマスターのリーダー的存在であるブランカーは間抜けな表情をしてみせたあと未だ顔を上げぬ少女にふと笑みを零し優しく抱き上げ自身の肩に乗せてやる

「そんなくらい君ならいつでも歓迎だってのに」
「だって子供っぽいし、それにこの席は彼の特等席かと思って」
「肩は左右あるんだ、君の特等席があってもあいつも文句はないさ」

そういったブランカーに彼女は目を丸くしたあと嬉しそうに微笑んだ、落ちぬように彼の顔に体を寄せてそっと腕を寄せる彼女を指先で支えた、自分以外の特等席は用意させられないと思いながら。

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