フォートレスマキシマス
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顔を顰めた大きな恋人は任務から戻ってくるなり開口一番そう告げた、何かと思い見上げれば彼は誕生日だと聞いた。という
あぁそういえば言ってなかった…と思い出すが反対に誰から聞いたんだと言えばレッドアラートからだという、ロストライトに先に乗ってた上にアラートには個人情報の開示をしていた為知られていてもおかしくはないと思うが恋人、フォートレス・マキシマスはさらに顔を顰めた
どうしてそんなに不機嫌な顔を?と問い掛ければ彼は肘をつき地面に掌を置いた、有無を言わせぬその行動に説教でもされるのかと感じ乗ってみればゆっくりと浮上する
「俺が一番に祝いたかった」
他の誰でもない、君の恋人なんだ
赤い瞳は子供のような嫉妬を混ぜた色をしてこちらを見据える、敵からしたらきっと彼の硝子の瞳は恐れるものであるというのに彼女からしてみれば何ともかわいらしいものにみえてしまう。
「零時丁度におめでとうと伝えたかったんだ」
「でもお仕事だったでしょ?」
「多少時間をずらしたって問題は無い」
顔を近付けては獣が唸るようにぽつぽつと言葉を紡ぐ彼は相当誕生日というものに思い入れがあったらしく、反対にそれなりの年齢になり宇宙という未知の世界に飛び立ってますます自身への祝い事への興味をなくしていた身としては新鮮なものである
「あと数十回しかこうして出来ないかもしれないんだ」
その言葉におもわず笑みが止まる、無機生命体である彼らには寿命という概念がないが人間はその反対で彼等が瞼を閉じる間に、寝ている間にその命の灯火を消してしまうことも有り得たことだろう
マックスの想いが強くなるのも致し方ないことだと考え彼女は寄せられた彼の冷たい頬に手を添え謝罪した、こんなに自身を想ってくれるヒトはきっとこの宇宙で彼以外居ないと感じて…
「まだあと数時間あるけど、その間沢山お祝いして欲しいな」
「…当然だ、あぁでも待ってくれケーキもチキンも何も用意してないんだ、どうしたものか、今すぐ買ってくるか?」
「晩御飯食べちゃったから…マックスなりにお祝いしてくれたらいいよ」
言葉と身体でと伝えれば彼は動きを止めてしまう、これは流石にダメか?と思い彼の目を覗きみれば酷く狼狽えた表情を浮かべては小刻みに震え呟いた
「それじゃあ俺へのプレゼントになるだろう」
俺は君にプレゼントをあげたいし祝いたいと思っているのに…あぁでも今は何もないからそれでもいいだろうか?という彼に笑みで返した、普段の何倍もずっと彼はおめでとうと好きという言葉を伝える彼にこれ以上のプレゼントは無いと言ってもきっと納得はしないのだろう
翌朝目覚めて目に入るのは溢れんばかりのプレゼントの山に更に両手にプレゼントを抱え子供たちにプレゼントを贈るサンタのような彼がいた
「…渡したいものがあり過ぎて悩んでしまって」
苦し紛れにそういう彼に今日一日はプレゼントの開封と感想会で仕事は休んでもらわなければならないなと意地悪にいえば「そりゃあ困ったな」なんて嬉しそうに微笑むのだった。
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