ゴウリュウ


全くもって間抜けな部下ばかりだとゴウリュウは先の任務の失敗について考えた、特にあいつは…いやでもあいつは…あの時俺は…と結局のところ部下ひとりのせいではないミスに彼は深いため息を付きつつ任務の失敗についてのお叱りをレオザック共々受けて部屋を後にする
恐竜戦隊の面々はもう少し鍛え直さなければならない、となれば早速だとチームの面々が集まる部屋に足を向ければ中ではえらく楽しそうな声が聞こえてきたもので何事かと彼は足を止める

「それでリーダーが俺に」
「そうなの?危ないところだったんだね怪我がなくてよかった」
「いやぁさすが俺たちのリーダーだよな」

聞こえてきた声はいつものメンバーとは異なるデストロン軍に似合わない鈴のような心地よい声を出す少女だった、デスザラスに拾われ何だかんだとリペア担当として席を置く彼女に世話になることは多く今日はみんな対した怪我をしていないというのにあいつらは…と思うも彼女の声にゴウリュウは部屋に入れなくなる

「やっぱりゴウリュウさんって素敵な人」

まるでその声は恋をした女のようにうっとりとした熱のある声であり何事かと思った、だがしかしゴウリュウは考える。
彼女は本来穏やかで誰に対してもいい部分ばかりを見る、例えあのヘルバットに対してでさえ悪口ひとつ言わず庇う始末なのだからそういうことだと納得した、そもそもゴウリュウは自身が異性に好まれるようなタイプでないことは悲しいが理解している、しゃがれた声に乱暴的に受け止められオマケにそこまで身だしなみも気にしないタイプだ、だがしかしゴウリュウのそんな考えは全く意味など成さずにドアの向こうの声はまだ話を続ける、カクリュウが彼女に「本当にリーダーのこと好きだなぁ」などと愉しそうにいったのだ、あの部下は余計なことをと思えば鈴の声は嬉しそうに

「うん、とっても好き…だってかっこいいの」

全くデストロンの恐れられるべき恐竜戦隊が小娘と恋バナだとと呆れつつもドアの前で立ち尽くすも中はさらに盛り上がりを見せて各々ゴウリュウの好きなところを言い出すのだ
厳しいことは言いつつも結局いつも自分たちのことを考えてくれるだとか、いつも何かあれば庇ってくれるだとか、馬鹿にされたら怒ってくれるだとか、彼からしては当然の行いであるのにまさかそんな風に言われるかと気恥しい気持ちとなってしまう、だがしかしこれ以上聞いてもいられないと彼は勢いよくドアを開けて部下達に大きな声で演習にいくと伝えれば彼らは慌てて部屋を後にする

「さっきの聞いてました?」
「な、なんのことだ」
「ふふっ聞いてないなら大丈夫です、お怪我しないようにいってらっしゃい」

おもむろに動揺するゴウリュウに嬉しそうに笑みを浮かべて彼女は手を振って見送る、彼女に背を向けて部屋を後にする時「お前も充分いい女だけどな」と呟いた言葉が届いたのかどうか彼は知らない
ただ部屋に残された彼女は見る間に肌の色を染めて呟いた

「本当素敵な人」

- 17 -
←前 次→