恋人になる


「好きです」

堪らずに漏れた言葉に彼女は言ってしまったと冷静に感じていた、目の前の緑色の瓶に入った焼酎は既に三本目で目の前の男に仕事が上手くいったご褒美にサムギョプサルに連れて行ってあげます。といわれて堅苦しくない大衆的な店に来てからはや一時間、周りは酷くうるさくてその喧騒が互いの声をかき消してくれることや酒が流してくれることを思ってしまったのが間違いだった。
互いに仕事終わりのスーツ姿で傍から見れば上司と部下、または仕事終わりの恋人だろう、けれど選択を誤ったと彼女は男にこの言葉を告げるべきではなかったと考え直しては笑って間違いだと言おうとしたものの、相手はにこやかに微笑んだ。

「じゃあ付き合いましょうか」

間抜けな声が出る前に空のグラスに新しく焼酎が注がれて彼がグラスを掲げれば糸でも引かれたように掲げて互いのグラスが重なった。
しかしながらそんな会話から二週間が経過したものの特段恋人としてという感覚はなく、仕事も上々で何かを言われることもなく、あの日のことは夢かはたまた彼のいつもの冗談だったのかと一人で納得していた頃、一件の通知に彼女の頭に冷水が掛けられたような気持ちに変わる。

『よろしければ今週デートに行きませんか?』

その言葉に彼女は自身の認識しているデートという単語は間違いではないのかと思いつつも、今や関係は全く変わってはいないがあの時の言葉を真に受けたのならば恋人同士、ならば期待してもいいのではないのかと鼻息を荒くした彼女は数日後の週末に向けてクローゼットの中を睨みスマホを開いてはショッピングサイトに張り込むのだった。

気合いを入れすぎたかもしれないと彼女は自分に感じた、デートだと期待して新しく買った歩けばふわりと先が広がるマーメイドタイプの薄ピンクのロングスカートにシフォン素材の柔らかなタートルネックに肩がみえるアイボリーカラーのシフォンブラウス、普段使いするパンプスと同じ3cm程の低いビジューの付いたシンプルだが華やかなミュール、そしてそれらの柔らかな色を優しく引き締める有名ハイブランドのライトブラウンのハンドバッグ、普段よりも手を入れたメイクもヘアセットも完璧なデート姿ではあるものの不安になるのはデート相手と思わしき相手が"あの"彼だったからだ。

予定よりも20分早く来た彼女は待ち合わせ場所へ足を向けつつガラスに反射する自分を横目に見ては不安を思っていた矢先、ふと待ち合わせしている人達が多くいる中で頭一つ分抜けた高身長な三十代ほどの男性に目を奪われる、明らかに彼女が今日約束していた相手であるが周りの女性の視線を受ける彼は意に介さずに彼女を見つけるなりそれまで無の表情で待っていた表情から明るい顔に切り替わり手を軽くあげた。

「ナマエさん!」

ここだと言う様に張り上げた声に周りの人の視線が彼女に向いたものの、気弱な彼女は自分が彼の隣に立つべきなのかと思わず考えた、元より180cmを超えてスタイルが良い彼は普段の彼女への接し方から忘れてしまうものの顔立ちも良く、人あたりの良さそうな雰囲気から周りの目を奪うタイプなのだ。
普段の黒いスーツ姿とは違い、シンプルなグレーカラーのシャツにラフなライトブラウンのパンツに色を合わせたブラウンの薄手の少し丈の長いジャケットに白いスニーカーを履いており、要所に見える時計やスニーカーにベルトなどは見るからに質がよくメーカー名は見えずとも十分なブランドなのだろうと感じるのは彼の雰囲気も相まってのことだろう。

「お待たせしてしまってすみません」
「いえ大丈夫ですよ⋯」

大丈夫だという彼が口を閉ざしたことに普段の様な態度でまた何かしらいわれるのかと身構えているのも束の間にそれはとても優しい声で「とても素敵で言葉に出来ないですね」といわれてしまうものだから、そんな言葉を彼がいえるのかと思いもよらずに気恥しさに顔を俯かせると手を取られ行こうと連れていかれる。

「何処に行くんですか?」
「折角デートですから、それらしいところへ」

特段どこに行くかの詳細は教えてくれないのだと思う彼女は彼が乗ってきたらしい車に案内されつつ、普段乗っているものとは違うものに彼はプライベートでは車を乗るタイプなのだと初めて知るが車に詳しくない彼女は車のボンネットについたエンブレムに見覚えのある世界的にも有名なメーカーだと気付いては何も言わぬように口を閉ざしてドアを開けた彼に頭がぶつからないようにドアの上部を優しく手でガードしてもらいつつ助手席に乗り込みシートベルトを閉めては隣の運転席に腰かけた彼とデートが始まる。

それなりの期間を上司と部下という関係で進んだが互いのプライベートはあまり知らないなと感じる彼女は運転席で心地よさそうに運転する彼を横目に眺めていれば視線が重なる。

「緊張されてますか?」
「はい、まさかデートして貰えると思わなくて」
「恋人なんですから当然ですよ、でしょ?」
「⋯⋯は、い」

膝の上に置いた手を優しく繋がれると本当に自分達が恋人なのだと疑いたくなりながらも嬉しくなるのはそれ程彼女が焦がれていたからである。
そうして車でおおよそ三十分ほど走って辿り着いたのは広い公園のようで彼女は公園?と小首を傾げたものの直結の駅からは家族連れや恋人などが疎らに出てくることから何かがあるのだと思いつつ車から降りて歩くと"植物園"と書かれた施設が見える。

「こういうところは苦手でしたでしょうか」
「いいえ、初めてなので楽しみです」

渡韓してきてから行くところは大抵騒がしい場所が多かった為、こうしてゆったりとした場所に来ることは初めてでデートといえば大抵動物園や水族館にショッピングや映画だと思っていた彼女にとっては植物園は新鮮であるが花を見るのも悪くはないと思って二人は手を繋ぎ入園してはその広い植物園内をゆっくりと歩いた。

デートであるが故に仕事の話を抜きに二人は何気ない話をするもののナマエはそんな話を彼とすることがあるとは思わずに新鮮だと感じた、優しくエスコートをしてくれる彼は普段とはさらに違い歩き慣れない彼女を気遣い適度に休憩を挟んでは広い公園内をゆっくりと周り気付けば一日をゆっくりと過ごして植物園を堪能して彼が知り合いに勧められたというイタリアン料理の店はそれほど堅苦しくはないがまさにデートにはピッタリという雰囲気だった。

「ワインは飲まれますか?」
「車でしょう?やめておきます」
「私のことは気にしないでください、折角こんなところに来たので私の分楽しんでください」
「じ、じゃあ赤でおまかせします」

注文をしてくれる彼からの提案に上手く断ることも出来なかったことと周りを見てはワインを美味しそうに飲む姿に釣られた彼女は簡単に誘いを受けて二人は静かなディナーを共にした。
スカウトの仕事をする以上はそれなりの教養やマナーなども必要であり、それは時に参加者との会話を円滑に進める、勿論参加者に媚びを売る必要は無いがVIPや仲間内での関係もある為に経験がものをいうことを知る彼女はこうした場所を知る彼の交友関係や知識量に圧巻されつつ、ワインを飲みながら問いかけた。

「お付き合いされていた頃はよくこうしたお店に?」
「ナマエさんはどうなんですか」
「恋人がいたのは学生時代でしたからこんな所は⋯」
「私もですよ、サムギョプサルとかチゲ鍋とかばっかりです、でもその下ろし立ての服には悪いでしょう?」

折角お洒落してくれたのにそういう店はあいません。という彼に見透かされていたのかと気恥しい気持ちを感じつつも納得すれば彼はにこやかに微笑んで仕事の際に行く店とデートに行く際の店は違う方がいいでしょう?と彼女の心をくすぐるようにいえば何処までも見透かされているのかと感じては気恥しく思いつつも納得して小さく頷いた。

食後のコーヒーとデザートも終えた二人は遅い時間となり帰ろうとしていた、動き出さない駐車場の車の中で気分よくほろ酔いの彼女が今日は本当に良かったと笑う頃、同じように優しく笑う彼がふと彼女のスカートの上の足に手を置いて顔をみつめて何をされるのかわかる彼女は近付く顔に目を閉じて唇を重ねた。
彼と付き合う以前から肉体関係があったことを否定はしない、互いのストレス発散のようなものでセフレと呼ぶにはあまりにも不思議な関係であったがその関係から恋人になれると思わなかったが故に彼女は答えてくれた彼に驚いたのである。
ハンドルを握る彼が行き先を告げずに車を走らせて、気付けばたどり着いた高速の出入口付近にあるおもむろな見た目のモーテル、それが所謂ラブホテルであることを知る彼女は子供でもないためドアを開けて手を取られて入っていき、部屋の鍵を受け取る彼と静かなエレベーターの中でただ手を繋ぎあい、たどり着いた部屋のドアを開けた途端に唇を深く重ねたことは当然のことだっただろう。

「ンッ⋯ぅ♡」

靴を脱ぐ暇もなく肩を抱かれて入口の壁に押さえつけられて覆い被さるように唇を重ねれば簡単にその大きな舌が彼女の小さな口内を荒らして余裕を奪い去ってしまう。
次第に息苦しさに襲われる彼女が胸を優しく叩けば名残惜しそうな唾液の糸が二人を繋いで切れてしまう、ギラギラとした眼差しを向ける彼の欲望に塗れた姿は普段見るものよりも更に熱く感じられて彼女は自身の下腹部に熱がこもる様に感じられた。

靴を脱いでビジネスホテルよりもシンプルな室内は狭い中でダブルベッドがひとつのみで、どうするのかと悩む間にベッドに押し倒されてまた唇を奪われる。
ここに来た以上それ以外の目的はなかったが何度も重ねられる唇に僅かな困惑を見せるのは、二人がこうした行為をする際の口付けは最低限程度だったからで、まるで愛し合うようにぶつけられる感覚は彼女にとって新鮮で気恥しくも感じるほどだったが、そんな彼女を置いて彼はジャケットを脱いで自身のシャツのボタンを緩める頃、同じく服のボタンを外して脱いでいく彼女を見て彼は動きを止めた。

「どうしました?」

そんな彼に不思議に感じて問いかけたのは脱がしたかったからなのかという下劣な疑問、背中にまわした首元のボタンを外した彼女はどうするかと困惑する頃、彼は部屋を見渡しては立ち上がり備え付けのクローゼットにあるハンガーを取りだした。

「折角素敵な服なのにシワが出来てしまうといけないと思いまして」
「あぁそうですね」

雰囲気を壊してしまいましたね。と笑うことに対して彼女も彼のジャケットが床に投げ捨てられているのは多少心配であったので丁度いいと言い、シャワールームをチラリと眺めると彼も眺めた後に入るのか?と聞きたげな表情をするため「汗かいたから臭わないか心配で⋯」といえば彼女から下着以外の衣類を受け取った彼がハンガーに二人分の服を掛けて直したあとベッドに戻ってくるなり押し倒した彼女の首筋に顔を寄せた。

「あっ、ふふっくすぐったい」
「全く臭いません、反対にいい香りですね」
「それならよかった⋯、です」

首筋から胸元までなぞる様に鼻を押付けた彼が胸に歯を甘く立てては薄い歯型を残して薄い瞳で彼女を見つめては「食べたいくらい」というとのだから、その瞳の鋭さをみても彼女はいつも彼に畏怖した。
明るい部屋の中で下着姿の彼女は彼の指がブラジャーの縁を撫でチラリと眺めた際に思わず背が強ばってしまう。

「デート用ですか?」
「はい」
「妬けるな」

消えそうな声で呟いた彼の声を聞き取った彼女は初めて着たものだと告げた、シックなロイヤルブルーのサテン生地に黒い刺繍が大きくされており、彼女の趣味にしては少し大人びたデザインにも見えて彼はサテン生地の心地良さにブラジャーもパンティも撫でては心地よさそうにした。

「よく似合ってますよ、色気がたっぷりで、私の好きな雰囲気です」
「そ⋯う、ですか?」
「そう思って買ったんでしょう、よく見てる人だ」

脱がしたくないという彼に全て言い当てられて恥ずかしさに消え入りそうになる彼女だが、名残惜しいものの女性用の下着が安いものではない上に自身に合う形やサイズなどもメーカーによって異なるため探すことが大変であると知る彼は仕方なく背中に回した手でブラジャーのホックを外して優しく肩紐を外してやりブラジャーを外しては丁寧にベッドの横にある小さなチェストの上に置いた。

「隠さずにちゃんとみせてください」

部屋のメインライトに照らされる彼女は気恥しさを隠しきれずに胸を手で覆ってはいるが、犬のような彼女は彼の命令は絶対であるためにゆっくりとその手を退けてさらけ出してしまう。
散々彼にその身体を暴かれていた彼女は改めてじっくりと眺められる姿に羞恥心がくすぐられる、特段変わった肉体ではなく平凡だと感じる肉体に彼は何を思うのか、ゆっくり丁寧に行われる行為はもどかしささえ感じてしまい、彼女の柔らかな乳房に彼の大きな手が触れて形を変えさせる。

「⋯ッ」
「そんなに期待せずともちゃんとシテあげますから」

時間はあるんだという彼の人差し指が彼女の胸の先端の縁を円を描くように撫でるとこそばゆさに身を捩ってしまうが彼は焦らすように何度も撫でて、次第に固くなる期待して主張する先端部に吸い付いた。

「あっ♡」

彼の舌先が何度も弾いて刺激されてしまえば彼女は小さな声を漏らしたものの、彼は何も変えることはなく空いてる側を指先で刺激してやれば彼女は腰を揺らしてしまう。
甘く噛まれて吸い付かれ指で弄ばれる彼女は次第に自身の下着を汚してしまう感覚を感じていた、いっそのこと濡れた音が彼に聞かれてしまうのではないかと思いつつも足に触れた彼の下着越しの熱に求めるような彼女は思わず足を当ててしまうもののそんな彼女を見つめては叱り付けるように少し強く歯を立てる。

「ひぁんッ♡」
「イタズラはダメですよ、あとでちゃあんとシテあげますから」
「はッ⋯いっ♡」

返事をする彼女に胸に触れていた左を彼はゆっくりと下におろしていき、下着のレースと小さくついたジュエリーを撫でては指を滑らせクロッチ部分を撫でた。
水分を含んだそこは彼の指をじっとりと湿らせてそのひとなでで簡単にその場所の形をくっきりと見せてしまう。

「随分と期待してたようで」
「ち、がっ⋯ぁ♡」
「そうですか?」

嘘つきだといいたげに彼は舌を見せつけて彼女の胸の先端をわざとらしく大袈裟に撫でては秘部を撫でる指を押し付けて下着を汚していく。
自分でもわかるほど激しく濡れたそれに彼女は気恥しくしていれば、頬を優しくキスされて下着を下ろされていき、彼の指が何も見に纏わないその場所を撫でては満足そうな顔をする。

「ここの毛がないせいで、余計に濡れてるのが分かりますけどね」

全身脱毛をしたおかげでVIOも全て赤子のごとく失われた彼女はじっくりと彼に言われたことに恥ずかしさを感じて目を瞑ると機嫌のいい彼の指が秘部の割れ目を撫でては音を奏でた。
静かな部屋の中で聴こえる欲情のメロディが二人をますます深く誘って、口角を上げた彼を薄い瞳で見つめる彼女は命じられていなくとも理解したように薄く足を広げるとそれが合図のように指が侵入して彼女のナカを簡単に二本の指が荒らしていく。

「ッふ♡ぁ♡っ⋯っ♡」
「この感じだとホテルの前から濡れてましたか?」
「そっ⋯♡そ、ぅ⋯です♡♡」
「だと思った、我慢してたんですよ」

あんな雌の匂いをさせてという彼にいつだって全てを暴かれてしまう彼女は気恥しいと思いながらも大胆に脚を開いて彼を受け止めては手を伸ばして、彼の下着の上を撫でた。
挑発的な彼女の態度を咎めることは無いものの、その自由を許さないように彼の親指が指を沈めた外側にある小さな突起を撫でてやった、ぐちゅくちゅと雌の音をさせる彼女は次第に力が抜けたようにベッドの上で何も出来ずにシーツを握れば彼は楽しそうに彼女に顔を寄せてはキスをしては余裕のない彼女の舌を奪っていく。

「ンッ、ンッ!♡うぅっ⋯う♡」

開かれた彼の目が楽しそうに笑っており、彼女は絶頂へと導かれるのを本能的に逃げようとするが許されず唇を塞がれて指先で弄ばれる。
激しくなるその音と息苦しさにどうしようなくいる彼女がより一層声を荒らげて身を震わせて彼の指を締め付けた頃、熱い愛蜜が奥から溢れていくのを感じては楽しそうにした。

「アッ♡っ、ぅ♡っクぅ♡♡」

普段であれば前戯もしない彼がする時は大抵意地悪のためで、今回もそれに似たようにしつこく彼女を快楽の果てへと導こうとするものだから彼女は目元を赤く染めてゆっくりと意識を奪われていた。
内腿は震えて、彼の指を汚して、けれどされるがままに足を開かされては彼に責められる彼女はそれから逃れる術もわからないように何度も絶頂に導かれた。

「おっ、くっぅ♡♡も、やっ、め♡」
「痛くないようにしてあげたいですから、あと一回イッたら終わりましょう」
「も、むりっぃ♡ほしっぃ、です♡♡」
「あぁ困ったな、そんなに欲しいんですか?」

そこまで彼女を溶かしたのは彼だというのに白々しいものだった、彼女に望ませて自分に屈服させたがる彼の戦略は正しく彼女は身を寄せた彼の下着越しに大きくなった彼のペニスに自分のモノを押し付けて下着を汚させた。
雌の匂いが充満した彼女に彼は眉を潜ませてどうしたものかと口先だけでいいながらも、結局彼の根本は変わることなどはない。
抜いてやった汚れた指を彼女に向けては舌先で子犬のように舐めて綺麗にする彼女の熱の篭った瞳を見ては背中をゾクゾクとさせる彼がどうする気かと思う頃、彼女は求める時は自分から言わねばならないことを知っていた。

今日この行為がとても優しく丁寧にされてはいたものの彼女はずっと物足りなかった、教えこまれ続けた彼女を満足させるのは彼だけであり、そんな彼が今までしてきたコトはこんなものじゃない。

どうするのかとベッドの上に座って眺めていれば彼女がゆっくりとうつ伏せになり腰を高くあげては娼婦よりもはしたなく、そして男心をよく理解したようにその場所を指で開いて熱の篭った目で見つめた。

「いつもみたいにシテ⋯くださっ、い♡」
「いつも?してるでしょう」

わかっていても明確な答えを欲する彼は笑いながらその肉付きのいい丸い尻を撫でた、今すぐにぶち込んでやりたいと心から思っていても忍耐力のある彼は我慢してやった。
この女と交際前に肉体関係を結んだのは、根本的にストレスの溜まりやすい彼女が彼を悪く思っておらずそうした行為でストレス発散をすることを知っていたからだ、体のいい言い訳だはあるが二人はその関係を甘んじて受け入れていた。
つまり彼女は恋人以前に"犬"なのだ。
誘うように撫でられる彼女はまるで媚びるように腰を揺らしているもののきっとそれは無心で、意図的なものではなく、そうして教え込まれてきたからだった。
心よりも身体から奪った計画は上手く進んだといえるほどで、彼女は欲を孕んだ熱のある声で彼に告げる。

「乱暴に⋯おもちゃ、みたいに♡たくさん⋯かわ、いがって、ほしいです♡セールスマン、さんの犬、みたいに♡♡」
「はぁ⋯恋人だから優しくしたかったのに、どうしようもないなっ!」
「ッあ♡⋯はい、って♡♡ハァッ♡あっ、っく♡」

下着を下ろした彼は腹につきそうなほどそそり立った自分のモノを待ち受ける彼女のナカに瞬時に根元まで押し込んでやれば彼女が握るシーツに力が篭もる。

「恋人よりもっ、犬として扱われたいだなんて」
「あ"ッ♡あ"っ♡ごめ、なさッ♡♡これっ、が好きっ♡♡」
「まあでも似合ってますけどね」

反対にギャップもあった、自分のために美しく着飾ってきた彼女もベット上になれば犬でしかないという姿、いっその事首輪でもつけてやりたいと思うほどで後ろから腰を強く打ち付けて彼女の臀部を叩いてやればぎゅっ♡と締め付けられて、彼女がどうしようもない女だと感じる。
酔った勢いで告白をしてきた時点で彼は内心予定通りであったが、ここまで自分に犬として堕ちているとは思わなかったため気分がいい。

「お"ッく♡♡くる、しっ♡おなかっ、ぁダメ♡♡」
「自分から頼んだんでしょう」
「そっオ"♡ですっ♡あ〜ッ♡ソコッ、しちゃっ⋯だめ♡」

後ろから抱きしめてやり腰を打ち付ける姿はまるで犬の交尾のようで、彼は自分を咥える彼女の腹を手で押しながら撫でてやればより強く締め付けるものだから眉間にシワが寄ってしまう。
安いモーテルのベッドはギシギシとうるさく鳴り響き、汗が彼女の上に落ちる頃、二人は互いに昂りが近いことを感じては向き合い恋人として身を寄せあい深く繋がった。

「セッ⋯ルスマンさっぁ♡すきっ、すきです♡♡」
「ナマエさんっ、あぁベッドや酔った時以外も、いってくださいよ」
「は、ぃ♡すきっ♡しゅきっ♡イクッ♡だいすきっ♡あ"ッッ〜!♡♡」

首に腕を回されては何度も猛烈にキスをする彼女に鬱陶しいと感じることもなく受け入れる彼は、そのまま絶頂を迎えた彼女につられて自分の欲を彼女のナカに吐き出した。
全く疲れたと行為を終えて寝そべる頃、もそもそと動いた彼女が彼の腕の中に現れてはニコニコと嬉しそうな顔をしてみつめるものだから何事かと見下ろした。

「なんですか」
「えっと、その好きだなぁって」
「⋯そうですか」

思わず彼女の鼻をつまんでやれば痛そうに悲鳴をあげるものの、他人に心を揺さぶられることの少ない彼はそのくすぐったい感覚を誤魔化すようにしか触れることは出来なかったのだ、酷く不器用な男だったから。

◇◆◇

「これ⋯どうしたんですか?」

三ヶ月後レストランで食事をしていた彼女は渡されたネックレスに驚いたのそのネックレスが高級ブランドのものであるということや、見た目はシンプルだが値段を想像してしまう貧乏人だということ、それ以上に目の前の男がこんなものを渡すように思わなかったからだろう。

「三ヶ月記念です」

その言葉に目を丸くした彼女は彼がまさかそんなことを覚えてましてや祝うタイプなのかということだった、精々一年記念日くらいは覚えていて欲しいというレベルだったものの短い期間でも祝う細かなタイプなのかと理解しては自身は何も用意できていない旨を伝えれば予想通りだと言われてしまう。

「よければつけても?」
「はい、お願いします」

キレイめのコーデや大人しい色合いを好む彼女はシンプルなシルバーに薄いサファイアのついたネックレスは何処にでも付けていきやすく合いやすいだろうと思えて、背後に回った彼につけてもらえば窓際の席であることも相まって向かいのガラスに反射した自分を見てはその美しさにうっとりとする頃、彼が耳元に顔を寄せて感想を聞くため彼女は非常に満足したことを伝えた。

「よかった、首輪を渡すのは躊躇いますからこれがナマエさんが私のものだという首輪あかしです」

その言葉に彼女は何も言えずにいえば、優しく後ろから手を取られて握られる。

「今晩もまたゆっくり"恋人"として過ごしましょう、それとも"犬"がいいですかね」

楽しそうに笑う彼を見て、彼女はゴクリと唾を飲んだ、期待した彼女は顔を俯かせればネックレスはキラリと光る、まるで彼の所有物だというように。