大学生鷹村さんに持ち帰られる

※学パロ(各キャラの年齢は原作無視)


大学生、それは高校生からまた1歩大人になるということであり
ナマエからすれば田舎から都会へのデビューということでもあった、生憎高校時代の友達とは進学先は別れてしまったがそれでも新たな生活が何よりも楽しみだった、初めてのひとり暮らし、バイト、大学…そして何よりも

「テニスサークルです」
「野球サークルです」

スポーツが有名なこの大学ではサークルに入る人は多いらしい、ナマエは元より文化部だが程よく体も動かせたらいいかもしれないというやんわりとした気持ちでサークル一覧表を見ていた時だった

「新入生か?」

先輩らしい男性に声をかけられ驚いてしまう高身長に長い前髪で少し強面な顔付きだがよく見ると随分と整っていた、その笑顔は意外にも柔らかいものだった

「はい、サークル入りたいんですけどこんなにいっぱいあるから悩んじゃって」
「ふーん、じゃあボクシングはどうだ」
「ボクシングですか、でも私そんなパンチとか強くもないしできる気が」
「マネージャーさ、男ばっかりだからお前さんみたいな花のある子がいる方が幾らかマシだ」

まぁ考えてくれや
と言い残して彼はナマエの手にボクシングサークルの勧誘用紙を押し付けて行ってしまう、人混みの中でも頭ひとつ分は抜けているその人の背中はよく見えておりこれも何かの縁だと彼女はボクシングサークルに入った
だがしかしその中には件の彼はいなかった

「ナマエちゃんの探してる人なら知ってるよ」
「え、そうなんですか?」
「多分鷹村さんだと思うけど」

そういって説明してくれたのサークルの中の先輩である木村達也だった、柔らかい雰囲気に紳士的な彼は入ってすぐに声をかけてくれた優しい先輩であった
鷹村守はこのサークルの中でも唯一無二の存在であり自由気ままな王様だという、プロとして活躍もしておりサークルに入っているのは遊びだと

「なんだかすごい人だったんですね」
「まぁあの人女の子好きだから気をつけてね」

最後にそう言い残して練習を始めた木村の言葉にナマエは?を浮かべた、確かにあんなに整った顔なら女性も放っておくわけもないかと妙に納得してしまい再会することのない相手に思いながらみんなへのスポーツドリンクの用意をした
入学から早1ヶ月、新入生も増え自己紹介がてら飲み会に行こうという話になった、まさに大学生だとナマエは喜んだ、ボクシングサークルの女子はナマエ程度でほかの女子は居なかった、時折誰かの知り合いや彼女がやってきててつどいをしてくれるが殆どはナマエ1人であった

土曜日の夜に…という話になり、ナマエは午前中はバイトのため1度家に帰り用意をした、出来るだけ可愛らしくしようと意気込んで髪の毛を巻いて普段はサークルで動き回るために着れないスカートに5cmヒールのショートブーツを履いた
夕方指定された居酒屋に行けば案の定いつものサークルメンバーが揃っており各自ビールを頼んでいた

「ナマエちゃんビール行ける?」
「えっ、あの未成年なので」
「大丈夫だって、折角だし1杯くらい飲んじゃおうぜ」

普段話す木村や青木などではなくあまり絡んだことの無い先輩たちに囲まれ、あれとそれという間にビールを飲まされた
苦いだけで美味しくは無いしそもそも未成年なのに…とナマエは悪い事をした罪悪感を抱く中、そんなことは気にした様子もなく空になったグラスにはビールが注がれ気付けば彼女はジョッキに変わり、その空ジョッキも3杯目になっていた

「ナマエちゃん聞こえてる?」
「はぁい」
「この後二次会いける?」
「にじあいいきます」

そう策略だったのだ、ボクシングサークルは所詮サークルであり緩いもの達の集まりだった、酔ったナマエに下世話なことをしたいと思う連中がいた、ナマエの懐いている木村も青木もいない、そして誰も止めることはなくなれば簡単に彼女は狼の群れの中の羊になってしまっていた

「じゃあそろそろ行こうか」

ぐっと肩に触れられた時だった、居酒屋のドアが開いて男たちがやってきた、そして一人の男がその団体席に近付いた
そしてその存在に気付いた面々は酔いが覚めるのを瞬時に察し、その存在に気付かない少女に絡む男は未だ鼻の下を伸ばしていた

「よぉ」
「あ、鷹村しゃん」
「随分美味そうに飲んでるな、意外と酒好きなのか?」
「はじめてのみました」

ナマエに声をかけた男、それはボクシングサークルの魔王鷹村守だった、そしてその後ろには青木や木村それに他校ではあるがプロとして活躍している大学生ボクサーの幕之内や板垣もおり、思わず息を飲み込んでしまう
そしてナマエに絡んでいた男は鷹村の手によってどこかに連れていかれ、いつも世話にしている木村と青木に挟まれ水を飲まされぐったりとテーブルにひれ伏した、数分後戻ってきた鷹村が「こいつ連れて帰るぞ」といった為全員が黙って首を縦に振った
残されたサークルメンバー達はふと青木と木村をみて血の気がさらに引いていくのを感じた

「テメェらどうなるかわかってるよな」

その後ボクシングサークルでの飲み会は鷹村の許可なしに開かれることは無かったとか


ふと目を覚ませば身体は揺れていた、外の風がやけに心地よく感じでいれば階段を上がる音が聞こえる
どこに行くのかと思っている間に家に着いたのか鍵を開ける音が聞こえ、そのまま部屋の中に入り靴は乱暴に脱がされて捨てられ敷きっぱなしの布団に横に寝かされたかと思えば何かが上に乗った

「起きてんだろ」

鷹村さんだとナマエは気付いたが目を開ける勇気は無い
何をされるのだと思っていれば手が伸びて、そして呼吸が互いに当たるほどの距離に顔が近付いたとわかった途端に思わず目を開いてしまう

「狸寝入りなんざやるじゃねぇか」
「な、な、何しようとしたんですか」
「寝てる時に起こすってんならキスだろうが」
「誰にでもするんですか」
「なんだお前処女なのか」

彼の言葉に驚いて口を間抜けに開けば彼は小さくため息をついてナマエの腹の上から降りて近くに胡座をかいて座り見下ろしていた
髪の毛は始めてあった頃とは違い整えられて綺麗なリーゼントにされていた

「そっそんなの関係ないじゃないですか」
「ヤレねぇってだけだわな」
「なぁ!ヤルってな、なにを」
「セックス」

思わず布団を被って丸くなった、この人はなんて人なんだとナマエは叫びたかった、ふと手に当たった雑誌になんだと思えば成人向けのもので表紙には豊満な胸をさらけ出した女性がいた
最悪だ…と呟いたが当の本人は気にした様子もなくその辺に置いていた成人雑誌を読み始めるしまつだった

「と、とにかく介抱してくれてありがとうございます、私帰りますね」
「終電ねぇんじゃねぇのか」
「最寄りって何駅ですか」
「〇‪✕‬駅だよ」

知らない駅だと思い慌ててスマホで調べれば家とは真反対の駅でありタクシー代を調べれば案の定1万円札は超えそうな程だった、それならばせめて近くのネットカフェやホテルは!と調べてみるも見事なまでの住宅街のためそんなものは微塵もない

「野宿でも!」
「やめとけ、オレ様も流石にガキに手は出さねぇよ」
「本当ですか」
「まぁな」


(これ以上書けない)