自室に戻ったリアンの部屋は廊下の喧騒など遮断して静けさに満ちていた、データパッドを指先でスライドする中で一枚の写真が表記され彼女は手を止める
仏頂面で口を真一文字のように閉じた一体のトランスフォーマー、それに抱かれた1人の少女、20数年前のリアンとインパクターがそこにはいた
「ねぇちょっと写真撮る時くらい笑ってよ」
「生憎笑顔の練習はしてねぇのさ」
「折角思い出にって思ったのに」
かつてゼンティウムのリアンのラボにて2人はそういって写真を撮った、いいから笑ってよと彼女はインパクターの口元に手を入れて引っ張るが硬い金属はそう易々と許しはせず、ようやく開けたかと思いきや彼女のその手を口に含んだ彼の生温い舌が彼女の手を味わうように舐めてようやく解放する頃には幼い少女の彼女には刺激が強かったらしく彼の手の中で真っ赤な顔をして黙りこくってしまった
「ちょっとじゃれたつもりだ、悪かったな」
「う…ううん、大丈夫だよ、ばっちぃんだからダメだよ」
正直もっと触れたいと思っても初心なヒトの反応に彼はその欲を抑えて同意した、まだ年端も行かぬガキに何をしているんだかと自身を貶した
「写真…撮り直すか」
「え?うん、もう1回つぎこそ笑顔でね」
結局彼はカメラを前にすると凄く不器用な引きつった笑顔を晒したことを覚えている、5.6枚撮られたそれを見比べてはリアンはクスクスと笑ったあとデスクにうつ伏せになって薄目でそれを見つめた
逢いたい、寂しい、好きだ、愛している、その気持ちばかりが溢れていく…重たい女だと彼女自身思っているのにその気持ちは溢れていくばかりでいつか身を滅ぼしそうだと思ったがもうある意味身を滅ぼしているか。と自身を嘲笑した
そう思っていれば突如ドアが騒がしい音を立てて開かれる、何事かと思えばそこにはローターストームがニヤリと笑って立っていた
「聞けよリアン」
インパクターが帰ってきたぜ
リアンは耳を疑ったローターストームが何を言っているのか理解出来ずにいれば、彼はあのインパクターだ、レッカーズの…と付け足すものだからリアンは驚きを隠せずにいた、どこに?と問いかければデッキだが連絡入ってないのか?と彼は続ける
それまで部屋に戻っては自分のことばかり考えていた彼女は知るはずもなかった、今すぐ部屋を飛び出して艦橋に向かいたいと思いつつも今頃はひと騒動起きているはずだと察してリアンは椅子に座った
「ありがとうローターストーム…少し、1人にして」
彼女の青白い顔にローターストームは声をかけられず短い返事と共に部屋を去った、流石の彼もその好奇心で根掘り葉掘り彼女に聞けないなと察する能力はもちあわせていた
丁度ウルトラマグナスの指示で全員待機室及び私室などに待機するようにと通信が入り彼はつまらないなと思いながらも彼女の顔を見ては部屋を出ていく、去る間際彼のオプティックにみえたのはテーブルの上のデータパッドに映る2人の笑顔の写真だった、いい写真だな…とはその場で口には出来なかった
部屋の中で彼女は口元を覆いその硝子のような瞳から一粒の雫を流して蹲りながらどこまでも愛おしそうに呟いた
「インパクター…」
あぁ…愛しているんだろうなとローターストームは確信した