10サイクル以内にG-9の軌道に入るぞ。ウルトラマグナスはメインルームに全員を集め任務の説明を始めた、新たに戻ってきたインパクターが仲間に入る旨を伝えるころローターストームは隣のアイアンフィストに小声で話した
「あの腕はお前か、いい仕事したな。で、訊いたか?」
「辞めた理由を?無理だって・・・リアンのことは、話したけど」
「まじかよ絶対デキてるじゃんか、やるなぁレッカーズの隊長」
そういうんじゃあないとアイアンフィストはローターストームを小突いたがウルトラマグナスの蒼いオプティックが2人をみつめたことにより彼らは姿勢を正してちゃんと話を聞いているとアピールした
視線戻したウルトラマグナスは話を続ける、予想していたG-9は現状はオーバーロードの支配であると告げた、それを聞いた彼らは口々にオーバーロード?と声を出した、そりゃあ彼らからしてみれば絶望の大部分だろう
ベリティは人間であるためにその存在を知らずに息を呑む彼らに驚きを隠せずにいればカップが説明した
オーバーロードはディセプティコンの脱走兵であり有名な将軍の一人であった、フェイクシクサーズという超強化技術を受けた分岐型変形者でありその類稀なる戦闘に特化した彼は狂人だと恐れられていたがただの狂人ではない。
ヤツはいつでも冷静であり、相手を苦しめる術をよく学んでいた、下克上を狙う他の連中と違いメガトロンに魅せられた彼はただ主との決闘を望み続けたがメガトロンは誤ってその手綱を締めすぎた
「メガトロンに伝えろ。俺は後者を選ぶ…いつでも待ってるとな」
そういってカルドゥーン4にて大暴れした彼はどこかに行ってしまったのだとカップは語るがウルトラマグナスはもういいだろうと静止した、オーバーロードとて無敵では無いのだから何かしらは出来るはずだという
そしてこの任務の目的に変更は無いとスプリンガーに問いかける
スプリンガーは任されたと言わんばかりにインパクターから受けた報告を伝えた、捕虜となった元看守たちの救出について、そしてエクイタスの捜索である、特にエクイタスは重要なものであり捜索は困難を極めるが必ず見つけろとの命令である。
そしてG-9に入る際の手順を彼は話していく、2つのポッドで同時同角度で衝突させフィールドの全体構造に壊滅的な障害を起こさせて入場するということにカップは操縦をどうするんだと問いかければ、ローターストームは遠隔操作で2機とも操作すると伝えた、それを聞いてスプリンガーはにやりと微笑む
「決まったな、レッカーズ。これ以上は望めまい?」
全員が部屋を出ていく間際、スプリンガーがインパクターを止めたことに思わず全員が聞き耳を立ててしまう
「これが最後かもしれない、今度こそ話しておけよ」
部屋の場所を告げるがそれはリアンの部屋だと全員が察した、新兵達はやはり2人には並々ならぬものがあるのだと察した
インパクターは世話焼きだと感じつつも素直に内心感謝した
降下、1時間前
インパクターはとある部屋の前で立ち止まる、どうにも足は重く上手く進まない中で彼はそこに立っていた
リアン…ただ唯一のインパクターの特別な存在といえるだろう、20年前彼女は自分の腕の中で微笑んだ、あの時の日々を彼は誰にも伝えないが大事な内部フォルダに厳重にロックして置いていた、引き返そうと彼が背を向けて思わず癖のように右手で廊下に傷をつけた時自動ドアが開いた
「インパクター?」
確かめるような彼女の声は僅かに低くなったように思えた、機体中のオイルが駆け巡り全回路が忙しなく音を立てる、キュルキュルキュウキュウとあらゆるパーツが音を立てる頃彼女は「もういっちゃうの?」ととても寂しそうな甘える声を出すものだから堪らずに振り返れば彼女は背を向けていた
どういうことだとインパクターは「おい、そっちに俺はいないだろ」と声をかけながら彼女の肩に指を押そうとしたら勢いよく逃げられてしまう、これが時間の経過なのかと内心インパクターは酷く傷ついた、当然のことなのかもしれない手放したのは自分からなのだから今更そうされないわけもない、手を引っ込めようとしたインパクターにリアンは声を震わせた
「…人間の二十年って凄い進化するの、だからその…あなたが知る私じゃないし、すごい老けてるしソバカスも増えたし。だから…その、見られたくないというか」
懐かしいオレンジの髪から覗き見えた健康的な薄いシナモンのような色をした耳が赤く染まっていることに気付き、インパクターは堪らず彼女の腰を掴み抱き上げて同じ目線の高さに迎えた
「ちょっと!ダメってば…」
抵抗されないように会えて彼女の腕ごと人形のように握るように抱き上げてじっくりとみつめた、確かに目元に皺が増えているソバカスと呼ばれた雀卵斑はそこまで変わらずチャームポイントとしてよかった昔よりも肉付きが良くなったらしい彼女を何度か握り直しては手の中のリアンは「なに?…言いたいことあるなら、いっていいんだよ」と諦めたようにいう
「変わらねぇな」
キャメルブラウンの瞳は光に反射してキラキラと映す、まるで硝子のようなその瞳に自分だけが映されることがいつだって心地よく未来永劫叶うならば自分だけをと馬鹿げたことを願ったこともある。
「インパクターも変わらないね」
兎に角廊下じゃなくて部屋で話そうといわれ彼女を優しく抱え直せばリアンは嬉しそうな顔をしてインパクターの腕に頬を擦り寄せた。