「話せたか?」
「うん、ありがとうスプリンガー」

あれが最後の会話かもしれないとリアンは思いながらもそうならない為に自分は準備をしてきたんだと言い聞かせた、任務についての説明は個人的に聞いておりリアンはエクイタス捜索を主とするためスプリンガー、インパクターと離れての行動となる
バイクウェアのようなピッタリとしたレザー風の柔軟金属のボディスーツを身につけバックパックを背負ったリアンは腰のベルトをつけてスプリンガーに拳を突き付ける

「絶対無事で帰ってきてね」

お互いにとスプリンガーもその拳に軽く合わせて微笑んだ
小型ポッドに狭苦しい五体のトランスフォーマーが乗り込んでいた
パイロ・トップスピン・パーセプター・アイアンフィスト・ローターストーム、もう片方のポッドには残りのメンバーが乗っているがリアンは彼に挨拶をせず自身の担当するポッドに入る

「準備はいい?」

その言葉に彼らは不敵に笑いつつ武器を掲げた、出発だとローターストームがポッドのエンジンを入れる、いよいよはじまるのだとおもうとリアンは手が震えた
そばに居たアイアンフィストは彼女の手にそのぬくもりのある金属の手を重ねて大丈夫だといわんばかりの表情を見せた為リアンも微笑み返した

「よしマグナス切り離せ」
『幸運を祈る』

スプリンガーとウルトラマグナスが掛け合う中リアンは通信機のマイクを手に取り言葉を発する

「それじゃあみんな"回線が混線せぬよう、塗装が曇らぬように"」

彼らの言葉で言うグッドラックのようなものだ、この言葉が染み付いたリアンに全員が顔を引きしめる
操縦をするローターストームはヘラヘラとした軽薄な態度ではなく至って真剣である、それもそのはず突入は彼の操縦が掛かっている。万が一ミスをすればそこで作戦は水の泡になる、完全にローターストームがコンロールを握った頃背後でやり取りが聞こえ目をやればトップスピンの傍には天井から降りてきたベリティがアーマーを着てそこに佇んでいた

「ベリティなにしてるの!?」
「援軍よ、いいでしょ私だって少しくらい戦える」
「ダメよ、そんなの」

リアンがどれだけ騒ぎ立ててもポッドはもうG-9のバリアを目の前にしていた、ローターストームは『機長より一言、スパークを落とさないようにご注意ください。ちょいと』

『揺れるよっ!』

その言葉と同時にバリアの隙間を割って入った2機のポッドはすぐ様待機していたディセプティコン達が狙い打ち始めるためリアンはベリティに声をかける事をやめて即座に戦闘態勢に戻る
丁度ディセプティコンの銃弾が当たり慌ててベリティを背後に投げ飛ばせば、その隙間からパーセプターとトップスピンが攻撃を始める、リアンも負けじと援護射撃をする中、向かいで飛んでいた2号機からツインツインストとインパクターが飛び出したところを丁度あちらもポッドを狙い打たれてしまう(インパクター!)と思いながらも口には出さずにリアンは射撃を続けた
向かいのポッドが墜落しているのをみるベリティはローターストームに声をかけるが彼も着陸するぞ。と合図をした

そのまま墜落するように着陸したポッドから全員が投げ出される
その先にはかのディセプティコン…オーバーロードが佇んでいた

椅子に腰かけていたオーバーロードは通常のトランスフォーマーに比べ2倍程の巨体にみえた、ベリティは彼の前に投げ出されていたが慌ててリアン以外の全員が彼女を守る様に傍に寄ればオーバーロードは久方振りの客人に機嫌よく話しかける

「オートボットだと?メガトロンの手の者だと思っていたぞ」
「オートボット?レッカーズだ!」
「何が違うんだ?どうせ最後は泣いて命乞いをする癖に」

先陣を切るようにローターストームがオーバーロードに返事をすればかのローマ皇帝カリギュラのような立体的な唇は弧を描いた
そんな彼を相手に調子を崩さぬローターストームは声を上げる

「・・・レッカーズ、コンバイン!」

場に似合わぬ冗談を発したローターストームに気付いたのは遠巻きに落ちたリアンである、オーバーロードをみるなり全身の毛が栗立つのを感じる本能的恐怖だろうか。今まで様々なディセプティコンを見てきた中でアレは毛色が違いすぎると察し彼女は慌てて用意していたアイアンフィストの巨大なライトフォーマー砲に似たそれを構える

ここは笑うトコだって。とローターストームのセリフにオーバーロードが声を出して笑えば冗談も通じるのかと彼のユーモア性を感じて安堵したのもつかの間、オーバーロードはローターストームの額に腕を上げると同時にリアンはその身体に似合わぬ巨砲を撃ち放つと同時に叫ぶ

「ッ全員撤退!撤退なさい!」

このメンバーで1番冷静で的確な判断を下したリアンの攻撃はうまくオーバーロードの肩の尾翼部分と頬に命中し機体を大きく揺らす、そのお陰かオーバーロードはローターストームの頭を撃ち抜こうとした弾が外れ彼の左エンジン部に命中する、オーバーロードは横からの攻撃に目を向ければ顔を青くしたリアンがその場で巨大な銃を向けているのを見て笑む

「撤退か?面白くないな、まぁもういい、おしまいだ。降伏しろ」

そう彼等に告げるオーバーロードはまるで玩具を前にした子供のような表情を浮かべ彼らに忍び寄る、リアンは荷物を抱え直し即座に援護に回ろうと動き始める頃、冷静になったパーセプターがパイロに声をかける

「パイロ、あの人間は・・・」
「ベリティの事ですか?もしやリアン?」
「いや前者の方だ、プライムの真似をして彼女を守れ。ローターストームも連れてな・・・リアンは強い女だから大丈夫だろう、残りの連中は」

コイツを黙らせろ

パーセプターの声に一斉に全員が彼に飛びかかるもオーバーロードは1人その場で仲間たちを蹂躙していく、ひれ伏す彼らを見下ろしたあとリアンをみつめた

「貴様らに希望などない、諦めろ!」
「あなたに未来が無いのと一緒ね」
「いい態度だヒト、名を聞こうか」
「名乗るほどのものじゃございません」

リアンは倒れる仲間たちを見て体制を立て直すまでの時間稼ぎにと自身の持っている弾をオーバーロードに打ち込む、その突如現れた2体のディセプティコンが彼に声をかけた
報告を受けたオーバーロードは楽しそうに笑みを浮かべ演説を始める、この3年間でかのレッカーズの訪問だと、そして彼らの首を持ってきた者はここから出してやるというのだ、その言葉と同時にディセプティコン達が湧いて出てくるのを眺めリアンは息を呑む

「・・・おいおい、ボンヤリしてる場合か?」

行けよ。
鬼ごっこの始まりだと彼はいいだしリアンは「全員引いて!」と叫んだ、その言葉に仲間たちは起き上がり早急に走り出す、リアンはその小柄さを生かしディセプティコンの迫る道に飛び出し小型地雷を設置しては彼らに続き走り出す、最後尾を走っていたパーセプターは足を止め高所から迫り来る敵を見つめトップスピンは何をしてると声をかけた

「時間稼ぎだ、リアン…やってくれ」
「ファイア!」

パーセプターは正確な射撃でリアンの設置した地雷を狙い撃ち、リアンも他に設置していた爆弾を爆破した、燃え盛る炎の奥でオーバーロードの深紅のオプティックと視線を搦めたリアンは悪夢を見ている気分だった

「いい餌が1匹いるみたいだな」

その言葉は聞こえぬふりをして彼女はパーセプターに抱えられその場を後にした。



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