アイアンフィストがリアンを知ったのは約20年前、その頃から(というよりも数百年前から)ずっと彼はレッカーズのファンでキミアに所属する人間であるリアンのことは知っていたが関わり合いなど無かった、そんな人間という生き物がかのレッカーズに入るなど到底有り得ないとさえ思えた
数年後戻ってきた彼女は悲しみと苦しみを深くその瞳に宿していた誰も何も聞けなかったが後にレッカーズの宿敵スコードロンXを打ち倒したこと、そしてインパクターが投獄されたという事件により彼女が心に深い傷を作ったことを理解した
「…大丈夫かい」
震える声でリチャージルームの彼女専用の棚からボトルを取る彼女をみて声をかけた、今にも倒れそうな彼女の表情を見た時レッカーズについての話を聞こうだなんて浅ましい考えは消えた
「大丈夫にみえるなら、あなたの目はとてもいいのね」
そう言い残して背中を向けた彼女は本当に最悪な印象だったと今になっても思う
インパクターは彼女にとっての地雷ワードであるとアイアンフィストは学んでいた、だがしかし今回は少しばかり違ったようで固まった身体を解した彼女を床に下ろしてやる
「逢えるかもしれないの」
いつだって彼女はインパクターを語る時、哀しそうな顔をしていたのに今回ばかりは期待した様な希望の表情をみせた、その姿を見たアイアンフィストはスパークの底から彼女の背中を叩いて逢えるといってやりたかった
「あぁ…いいな、俺も希望が欲しいよ」
リアンが出ていった後の部屋でアイアンフィストはモニターに映された自分の脳の模式図をみつめた、相変わらずヤツはご健在の様子だと深い排気をフェイスプレートの中で零して時間を見れば審判の時だった
彼は片手に試作段階の自分の人生を変えてくれたそいつを片手に部屋を出た
「ただいまパーシー」
「ようやく戻ってきたか」
「ごめんごめん、ちょっとフィズとお話してたの」
アイアンフィストと付け足せば彼は何となくブレインの奥に閉まっていたオートペディアを開いてすぐ人物プロフィールを思い出したようで納得した表情を浮かべた
リアンはガラガラと音を立てて自身に必要だった資材をカートに乗せて戻って来ては与えられたデスクに向き合い左手を撫でる、無駄なことを考えると古傷が傷んでしまうからだ
「パーシーも今回の任務行くんだよね」
「あぁ」
「"エクイタス"があるから?」
「そうだ、よく分かってるじゃないか」
「一応は設計に携わったからね…あんなモノ作るべきじゃなかった」
リアンの表情が曇る理由はパーセプターも理解していた、ザロンやタイレストにプロールなど様々な法に厳しい者たちが造り上げたエクイタスが下す審判は誰もを苦しめた、彼女とインパクターもそのひとりだろう
縮む背中にどう声をかけていいのかと悩む中でも彼女は手を止めずに自身の仕事を進めていく、レッカーズの任務は決して簡単なものではなく誰も出来ないからこそ銃弾のように飛び込むしかないのだ、リアンはそれを理解しているとてどうか彼女が無事であるようにと祈りながらパーセプターは彼女のアーマーに加工を施していった。