眩いほどの真っ赤なボディに特徴的なファイアパターン、柔く輝く金属の青い瞳が映し出した時の自分の顔と言えばまぁなんとマヌケなことだか
彼女が彼らオートボットと出会う前、ある日の夢で出会った大きなチーターを追いかけていた
そして不思議と心惹かれたダイス型の金属のそれを手にした時そのチーターにオールスパークの守護者じゃん?なんていわれたたときこれが夢ではなかったのかと気付いたが遅くオールスパークの力は自身に注がれた
こうして人間もどきになってしまいチータスとアイリスが過ごす中で出会った彼ら金属生命体のオートボットの一人、ホットロッドをはじめてみたときその派手な姿と軟派な性格に苦手意識を持ったのは言うまでもない
だというのに彼に恋をしたのは彼らの時間軸でいえば一瞬の事だろう
「おはようアイリス、今日もかわいいな」
「お?髪の毛切った?相変わらずじょーもんさんばい」
「今暇?よかったら2人でサーフィンでもどう?」
それはきっと彼の性格にもよるものだろう
明るく誰にでも優しく好奇心旺盛な彼にとって人間でありながら人間でない彼女は興味の対象になるだろう、それを理解していた為に彼からの言葉を素直に喜べない自分がいた
アークの中で与えられた自分の部屋で身だしなみを整える度に今日もホットロッドは何か言ってくれるのだろうかと期待しておりそれを思う度に頭を振って懸命に邪心を払おうとした
「アイリス今日もまた一段とかわいいばい、どう?今から俺とデートなんて」
部屋から出て五分ほどで曲がり角からでてきた眩いほどの真っ赤なボディに思わず体が固まる、彼はまるで朝の挨拶のようにアイリスからしてみれば熱烈な言葉を発する
地球にいた時彼女は異性が苦手であり交流を避けていた、その為に彼のような軟派でキザな伊達男には滅法弱くてたまらなく彼女は180°体を反対に向けて来た道をみつめた、そして
「チ、チータスに呼び出されてるからごめんなさい」
そういって駆け出した彼女の足の速さはマッハ5といくわけもない、ホットロッドが歩けば2.3歩で彼女の走る姿に間に合う、懸命に自分から逃げていく彼女をみて彼はうっとりしたオプティックでみつめながらいうのだ
「あぁばりかわいか」
そんな恋に夢中な彼の横でチータスは「え?俺は?俺ここにいるじゃん?」なんていってることなど耳には入ってこなかった
来慣れた道を歩いて搭乗員の仲間たちに挨拶をしながらとある部屋の前にいったアイリスは慣れた手つきでホイルジャックの部屋から持ち出した移動ボードを上昇させロックを解除する
殺風景なベッドとも椅子とも取れる場所でスリープモードになっている1人のディセプティコンに声をかけるが反応は無い、仕方がないとまたもや発明の天才から借りてきた"目覚めるくん"を使ってみればビリビリと明るく光った
「何しやがるんだテメェ!」
「おはようスタースクリーム、ねぇUNOしようよ」
「UNOだけかよ」
「雑談もあるよ」
捕虜であるディセプティコンのスタースクリームは深い排気をしつつもこのオールスパークの守護者になった人間の相手はそれほど嫌いではなかった、暇つぶし程度の話し相手にはなるからだろう
2人でするUNOというのはあまりにもつまらないが目の前の人間は所詮このゲームの行方などどうでもいいのだろう、それよりも彼女自身の気持ちの方が今は大事なことを少なからず乙女心を知っていたスタースクリームは察していた
「あなた達の種族はこう、誰でも構わずかわいいっていうの?」
「言わねぇよ、俺がそんなのいってる様にみえるか」
「似合わないよね」
1度見上げた先の赤い目の彼には甘い言葉なんて到底似合わないなと改めて感じた、どちらかと言えば反対の言葉の方が彼には似合っている、やはり彼らも自我がある為個人差というものだろうと思いつつもやはりホットロッドのそれには慣れる事は無い
素直に白状すれば彼が好きだ、それはもう恋してると言って過言ではないが恋愛初心者の彼女にはどうしていいか分からなかった、それゆえこんな恋愛相談に向いていない相手に話しているほどである
それを知っていながらも目の前の存在は決して味方でも敵になる訳でもなく面白くなればいいとおもうだけだった、ふと思いついたように口角をあげた彼が提案をした
「このゲーム勝ったらいうこと聞けよ」
「私にメリットってある?」
「さぁな」
「まぁいいよ」
どうせこの船にいても暇なだけだからと彼女は後付けするように説明をしてカードを切っていく、二人だけのゲームはすぐに決着をつけようと彼女は最後のカードを切って笑ったがそれは目の前の彼もおなじ
「私の勝ちだね」
「お前さんウノって言ってねぇだろ」
「・・・ウノ」
「遅いから残り札取れよ」
まるで予想していたようにスタースクリームは楽しそうに笑って2.3ターン後にウノを宣告後直ぐにあがってしまい珍しく強くガッカリしてしまう
楽しそうに笑う彼にさぁなんでも願いなさい(叶えられる範囲のみ)と両腕を広げれば彼の手に抱かれる、然ることながら人形のような姿の自分と普段は触れることもしてこない彼に珍しいと思っていれば顔が近付けられる
「ちょ、ちょっとスタースクリームなに?」
「うるせぇちょっと黙れよ、聴覚センサーに直にあたるんだよ」
まるで猫や犬を吸うように顔が体に埋められて髪や身体を弄ばれる、時折触れる彼の顔のパーツにひとつひとつドキリと胸が高鳴りそして隙間から赤いオプティックが覗き見えた時息をするのも忘れそうなほど固まってしまう
「スタースクリーム」と名前を呼ぼうとするのに声は出ずに顔にその金属の形のいい唇が近づいたときだった
「なんばしよっと!」
聞き慣れた博多弁の彼の声に思わず心臓がなった、音を立ててドアのロックが解除されてホッドロッドにしては珍しく力任せのように奪われてしまう
セイバートロン語で話をしているので分からなかったが明らかに喧嘩をしているようであり、アイリスは優しいホッドロッドのことだからてっきりスタースクリームに苛められていると思われたのだと察した
「ホットロッドそんなに怒らないで?ゲームの一環だったし別に悪いことしてた訳じゃないんだよ」
「アイリス…」
「くっ、くく」
「本当なの私がゲームに勝った方のいうことを聞くってルールを提案したからスタースクリームは悪くないんだよ」
喧嘩をみたいわけではなかったのでこちらが悪いと彼女が自分を責めるようにいうがホットロッドは納得した顔をせず、反対に元凶は楽しそうに笑っていた
優しく両手で抱かれて檻の中から出てからホットロッドはきつくスタースクリームに何かをまた言って部屋を出るがその際も彼は珍しくアイパーツを苦しそうに潜めてなんとも言えない顔をした、廊下に出て直ぐに変形をした彼の車内に入れられて何も言わず走り出したと思えばそこはホットロッドの自室であった、彼らしい少し派手でオシャレな部屋だと車内から見渡すが下ろして貰える気配は無い
そこから5分10分経っても決して出して貰えず、話をしてくれる気配もなかった
「ホットロッド?ホットロッド?聞こえてる?」
もしや疲れてスリープモードに入ってしまったのかもしれないとシートベルトをされてないのをいいことに車内を珍しく子供のように掛け回ろうとすればすぐ様ベルトで固定されてしまう
どうやら今日は静かな気分なのだと理解してアイリスも仕方なくその静寂に身を委ねた
「アイリスはあんなあんぽんたんがよか?」
「あんぽんたん?」
「スタースクリームのことばい」
「みんな忙しいだろうから雑談とかはまぁ…たまに彼に相手してもらってるけど」
「すいとるのか」
「そんなんじゃないよ、本当話し相手なだけだよ」
そういえば彼はゆっくりと元の姿に形を変えて両手で優しく持ち上げてくれていた、手のひらの上にいるのが嬉しいような恥ずかし様な感覚になりながらも彼を見つめれば少し拗ねたような寂しそうな顔をするホットロッドがいた
「すいとぉよ」
思考が止まって、その言葉を聞いた彼女はなんともまぁ間抜けな顔をしていただろうに気にもせずにホットロッドは何度もそう言って顔を寄せた、互いの頬を寄せあって本当に慈しむように愛おしむようにそういって親指の腹でアイリスの手を優しく撫でる
「本気でアイリスのことがすいとる、ずっとそう言ってるんだけど気付いとるばい?」
「それは…ホッドロッドはそういう人なのかなって」
「そういう人って?」
「誰にでもいうのかなって」
「そんな軟派もんじゃないばい、本気で俺のスパークを掛けるくらい好きばい」
ホットロッドは愚かでは無い、それなりに勝算のある勝負しか挑まない男であった、だからこそ目の前の少女の気持ちにもそれなりには気付いており何となく互いに想いあってるとはおもっていた
温度センサーで見ればアイリスの顔を中心に熱が上がっていることや、心拍数がいつもより随分と高いことなどから決して自分だけでは無いと思っている
ようやく薄いその桃色の唇を開いた彼女が震える声で彼に向かっていう
「私も」
今すぐパーティでも始めたい気分になる、真っ赤になった彼女が恥ずかしそうに目を潤ませてそういうのだから浮かれてしまってもいいだろう
それでもホットロッドは紳士な男であるため出来うる限り落ち着いた振りをしてまっすぐ彼女をみて同じく口を開く
「すいとぉよ」
そういいながら心底愛おしいものを見るようにオプティックを細めた、それ以上アイリスは何も言えずに羞恥で俯いていれば金属の唇が押し迫っているのを最後にいよいよ気を失うのだった。
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