ヘクトール
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カルデア高等学校には様々な生徒がいる、誰もがみな英霊やマスターなどといった特殊な称号を持つ生徒で、教師もみな同じく称号をもつ者たちだった
「禁煙よ、ここ」
そういって彼から煙草を取り上げた、未成年だからではない、煙草を取りあげられた男は男子生徒の制服に身を包んで一人窓から外を見つめて煙草を吸っていた
「ってぇ、ひどいねぇ」
「ひどいねぇじゃないわよ、まったく...何度目かしら?」
そう小言いいながら手慣れたように彼女は火のついた煙草を足元にある水の入ったバケツの中に放り込んだ、いつも同じ場所の放課後、部活動が終わる前に彼は一人で外を見詰める彼が何を思っているのかと思わずみつめた
「...またみてるの?」
「んー?なんのことかねぇ」
そうはぐらかすようにいってみても、彼の視線の先には特徴的な優しい緑色の髪の男がバスケットボールを片手に楽しそうに仲間と笑いあっていた
気にするのは仕方のないことだがこの男、ヘクトールにとっては思い入れの強い近所の少年なのだろう
「先生がまた留年になるかもしれないから、きっちり来いっていってたわ」
「へーへー、おたくも大変だねえ」
「あなたがもう3年目の留年生だからじゃない?」
いつの間にか同じ色になったネクタイとリボンの色をみてため息をつく、初めて出会った時もこの廊下のこの場所で煙草を吸っている彼でネクタイは今と同じ色だった
アキレウスはまだ一年生なのを思い出しては、ふと聞いてしまう
「あの子が卒業の時に一緒にする気?」
そういえばまた煙草に火をつけようとしたヘクトールは火をつけた先に指を当ててしまい小さな悲鳴を上げたのをみて、すぐにハンカチを水で濡らして渡してやれば、大した火傷でもないのか平気そうな顔をして困った顔をしていた
アキレウスとヘクトールは犬猿の仲だが、互いを認めており互いを信頼している面がある、だからこそそんな心配をしてしまうのだ
もちろんヘクトールは今の歳だと通常なら大学生だったはずだ、それこそアキレウスがこの高校に決まる前までは卒業する気だったといっていた。
「んなわけ」
呆れたようにため息をついた彼に唖然とする、ならば今年こそ卒業する気なのだろうと思いきやリボンの上を指がするすると踊るように動いていき
楽しそうに笑ったヘクトールがいう
「おじさんは澪ちゃん狙いだからな」
外された緑色のリボンがえらく似合っていてネクタイを外してそっちにしてみればと聞きたくもなる。
ヘクトールの言葉に今一度理解ができずにいれば、視界が思わず隠れて小さなリップ音が聞こえたときには意地悪そうに次は笑って、リボンを元に戻されていた
「俺と卒業しちゃう?それとも...三人で卒業のがいいか」
「...ば...馬鹿言わないの」
「キスは怒らないあたりおじさん期待していいわけ?」
真剣な顔つきで、中指が絡めとられて指先だけが繋ぎ取られた、恋心にはずっと理解をしていた、だからこそ放課後にわざわざ教師の手伝いを毎日して彼をみていたというわけでもあったのだから
だが今更それは言えずにヘクトールのネクタイを掴み引っ張り上げた
「今更、いいんじゃない」
そういえばいつも通りの顔をして彼はその垂れた目をもっと下げて笑った
「第二ボタンくらいなら、予約なくてもやるさ」
などと冗談をいいながら、火傷して赤くなった小指を出した彼に小指を絡ませて幼い子供のように約束事をして小さく笑った
卒業まであと3か月だ。
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