ホームズ
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胡散臭い笑顔を張り付けて、謎を解くこと以外に興味のない探偵
フィクションなのか現実なのか誰もそれをわからない
ただ一つだけ言えることは彼は歪んでいた
えらくうるさい音が聞こえた、ふと見てみればベッドの左側の壁をみてみれば歪んだ穴が数か所みえた
ため息をついていれば隣の部屋からは異様な白い煙が入ってくる、まさかと思いながらも血相を変えて急いでマスターキーを使い扉のロックを解除すれば支給したソファーに横になりながら拳銃を片手に狂ったようにまた壁に穴をあけた
もう片手にはいつもの煙草のパイプとは違うものがあった、煙草の臭いとは違う独特の臭いは部屋中に広がり、何時間もしているのか天井は白い煙が充満していた
「ホームズ、これはどういうつもり」
「おやおや、レディまた私を殺しに来たのかい」
「...薬はやめたとワトソンがいっていたわ」
「彼がいない今、やめていても仕方ないだろう」
どこをみているのかわかりもしない、瞳を合わせる気もなくまた一つ銃弾を壁に打ち込もうとした瞬時に壁に強化魔術を施し触れた弾を小さく破裂させると楽しそうに笑った
この男とのカルデア生活が始まってから早三か月、初めてこのような態度をみるはずがもう慣れたように感じてしまう
「あの男とはどうだい?まだ親子ごっこをしているんだろう」
「過去をみたとしてどうなるのよ、私は今の世界の私であなたの世界の私じゃないでしょう」
「あぁそうだとも、そして君はいつも僕から逃げていた」
まるで犯人をみつけたように、答えをみつけたようにそういった、近づいてホームズの寝ころんでいるソファーの端に腰かけた、ゆっくりと手が伸びて毛先を遊ぶようにいじった
どうにかなりそうなほどに部屋の空気、小さな孤を描かせて外と繋いでその部屋に充満する薬を出す
「あなたが追いかけてくるから、逃げたんじゃないの」
「放し飼いは禁物だとよくわかったよ」
「醜い男の嫉妬をするのね、かの名探偵様でも」
まるで皮肉のようにそう告げれば、口を大きく開けて笑ったずっと手を放さなかったパイプを地面に落としてその見た目と裏腹に鍛えた腕に引っ張られ天井をみた
昔からそうだったと感じる、過去の記憶が相手に触れるたびに蘇るように脳みそに埋め込まれる、名探偵シャーロック・ホームズのメイドとして雇われた幼い娘に彼は愛を知ったのだろう、だが娘は探偵それ以上にはみずに父と慕う人を望み続けた
「私はずっと君を亡くして考えた」
「生き返らすことを?」
「いいや、次はどうやって殺すかと」
背筋がゾクリとするのを感じながらも今はジャンキーになっているこの男になにをいっても意味はないのだと思いため息をついた
小さく呟いてその手を縛り上げて緩んだすきに抜け出して立ち上がる、部屋の空気は変わって外の雪が中に入っている事にも今更のことだと思い、縛っている間に部屋の中を漁る
拳銃と薬の一式をすべて奪い取り砂のようにそれらは床に溶け込んだ
「あーぁもったいない、君だってそれをすればまた戻れるのに」
「過去にすがるほど、縋れるものもないだけよ」
「私も過去には縋らないさ、ただ君に縋ってるだけだよ」
どこまでも彼は探偵でありながら子供のようにそう望んだ、小さくため息を吐いて部屋を出る、自室に戻り空いた穴を眺めた
小さく鼻声が聞こえた気がした、それは紛れもなく自分が昔から聞いていたものだった。
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