クーフーリンオルタ




黒と赤、尖った爪に鋭い歯
少し触れようものなら皮膚は裂け、血液が流れ落ちることだろう
長い尾に、冷たい瞳、大きな体、それなりにしっかりしている姿勢と理性



「ねぇ、本が取れない」


彼の尾を見る度に爬虫類や、少しおかしいが恐竜を思い出す
さながらトカゲ等だろうか、その中でも特に変わった品種
とはいえ彼はクーフーリンという人物で変わりない、トカゲでも恐竜でも何でもない
このカルデアの藤丸立香ご姉弟の元に来たサーヴァントであった

普通ならば澪の部屋は少しだけ藤丸たちの部屋よりも離れ、またサーヴァント専用の部屋もあるため間違えるということは少ない筈だ

そもそも部屋の並びも
藤丸 姉 弟 サーヴァント 澪のサーヴァント 澪と言った順番だ
場所も端から端まで違うのだ、確かにこのバーサーカーのクーフーリンは先週来たばかりの新しい存在だから仕方ないとは思うが
最初からこうであった、これには全員悩んだがどうも危害を加える訳では無いため…時にしないことにされた



「……」

「ありがとう」



そこまで広くない部屋に居座る大きな男が自分の前で本棚を立ち塞ぐものだから仕方なしにいえば、続きの巻を尻尾でとってくれた
便利そうな尻尾だと思いつつもそれ以上話もなかった、時分のサーヴァントでないため正直どう接していればいいのかも分からない



「オルタ?えっと」

「なんだ」

「尻尾を退けてほしいの」



スルスルと動く尻尾は蛇のようだった
ベッドに腰掛ける澪と地面で座ったまま何をするわけでもないクーフーリン…尻尾は動き、澪の腰周りに巻き付くかのようにいたが、少しだけこそばゆくなるのだ

困った顔をしながらも本を読み進める
手元に目線を戻して、また何度も字を撫ぞり読んだ
ふと力が込められて腰にしっかりと巻きついた尻尾に抱き上げられるのに驚けば大きな腕の中にいて本は消えていた



「匂うな」


その言葉に顔を上げて見れば、耳朶に歯を立てられる
痛みに顔を歪めても気にせずに左手を取られて指を噛まれる
口の中に入れられて、尖った歯が当たる、少しだけ力を込められて皮膚が破けて痛みに声を小さく上げた

ザラザラとした猫のような舌が彼をサーヴァントであるが余計に人から離れたものに思えていく
彼の触れる大きな手を退けて降りようとしても、尾がそれを邪魔立てした



「ねぇオルタ、やめてくれなきゃ私のサーヴァントを呼ぶわよ」

「そうなれば、お前の部屋は暫く無くなるな」

「っっ、藤丸くんたちに言うわよ」

「そうしたら?どうなるってんだ?」



紅い瞳があまりにも熱い宝石のように思えて、魅入ってしまった
顔をつまれて、頬の部分を掴まれて柔らかな唇が触れたと思いきや、ザラりとした舌が口の中に入ってくる、唇を歯を舌を舐める

チクチクとしたそれが普通のキスよりも遥かにおかしく思えて、ふと彼の片手が腰に回っていて
自分の股の下といえばストレートすぎる言い方であるが、そこに熱を感じてもう一度見た

この子は藤丸姉弟のところのそれも藤丸くんのクーフーリンだから、そもそもこんな行為しなくても魔力は足りているし
女の子のサーヴァントを抱かせるのは流石に藤丸くんに悪いけど…私は

そう考えていても時間は過ぎていっていて、さ迷っていた手は掴まれて尻尾が背中を厭らしく撫でるものだから下腹部に力が一瞬こもった

チクチクとした少し痛い舌に柔らかい心地のいい唇
うっすらと目を開けばクーフーリンの顔がもちろん目の前で
赤い瞳にまた目を奪われる、何分間、何十分こうしているのかわからない
そろそろ体力がつきそうだと思う前にどうしたらいいかと思い続けた


「やっ、ぁ」


カチッと音を立てて簡単な下着のホックは外れた
服の中で居心地悪く存在するそれを治すか脱ぐかしていたくなる
手がいやらしく尻を這うのを拒絶しても力の差は意味がなく、あぁどうしよう



「クー…だっ、め」


そういえば彼の動きが少し止まったと同時にドアが開いた



「マスター失礼するよ、これ……」


「エミヤ…た、たすけっ」



そういう前にすぐに抱き上げられていて、尻尾が頭を撫でてきてくれる
優しさはわかるが目の前の自分のサーヴァントはもうこれはこれは過保護な父のようで
娘が魔法少女になって、息子は正義の味方になったというのに、どうもマスターだけはいつまでも幼子と変わらないらしく、甘やかされていた



「時のある間に薔薇を摘め(クロノス・ローズ)」


「エミッエミヤッまっまっ!!いやーーー!!!」







「……嬢ちゃんどうした?」


「うぅ、もうバーサーカーの貴方は大嫌いよ」


「はぁ……どうしたっての」

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