天道総司











天道総司さんは天の道を行く人だ(自称)
才色兼備であり、容姿美麗で誰もが一目置くような人である人でありながら男として好きだと。そういわれ交際を始めたこと早2ヶ月
少しだけ年上の彼は大変な妹思いで、妹思い…そう、妹思いすぎるのだ


「そういえばひよりが」

「これは樹花が好きな」

「ひより…樹花…」

毎日飽きる程聞かされる総司さんの妹さん方は素直に大好きだ
樹花ちゃんは妹のように愛らしく笑顔が素敵で、ひよりさんはクールで少しはにかみ顔が素敵で
悪い部分なんてないのが天道の血筋であるのか、ダメな部分が1mm足りとも見当たらず
逆になぜ全てを司るような完璧な人間がこうして恋人としていて居てくれるのかが不思議なものだ


「葵、口を開けてくれ」

「はい」

キッチンに立つ総司さんの姿を見るのはもう飽きるほどで、毎日デートの終わりには天道家で御馳走になる
味の染み込んだ大根が口の中に放り込まれ、噛む度に味が広がり家庭ではなくまるで料亭の料理のようなそれを食べ続ければ舌も確かに肥えるはずだ


「美味しいです、今日はぶり大根ですか?」

「…あぁ、樹花が食べたいと言っててな」

「だから昨日買いに来られたんですね」

「ついでに葵も御馳走したかったからな」


ついで。と言われながらも悪い気がしないのはそれほどこの人に惚れ込んでいるからだろう
昨日の夕方に魚屋をしている自分の所に来た彼は鰤を必死に見つめていたのを思い出し、特別サービスに多めに入れておいたのだ、それが役立つようならよかった


「でも2人とも今日遅いんですね」

「あぁ、樹花がひよりを連れて出かけたからな」

「…晩御飯どうします?」

「食べないのか?」

「いえ、折角樹花ちゃんリクエストのぶり大根なのに」


みんなで食べるのだとばかりに思いながら少し残念な気分になる、ほぼ毎日のように食事を共にしているだけあってかやはりいつもより少ないのは寂しいものだ
食器棚から皿を出していきお箸を2膳置いた、その間にご飯の炊ける音がして、総司は皿に料理を盛り付けていく


「俺と二人いやだったか?」

「そんなことないですよ」

あまり表情を表に出さないポーカーフェイスの彼にそう言われ思わず大袈裟に首を振って拒否した
お茶を二人分コップに注いで、味噌汁とご飯を受け取り席に付けば二人分にしてはえらく豪華な夕食が並んだ
いただきます、と両手を合わせながら食事をとるはずが総司は全くと言っていいほど手を付けずにみつめた
あまりにも見つめられると穴が開きそうだと言いそうになりながらも黙って口に含んだブリの柔らかみや味の良さに頬が緩む


「美味しいか?」

「はい、とっても」

「そうか、ならよかった」


里芋の煮っころがしに手を伸ばしてほうれん草の胡麻和えに手を伸ばして味噌汁もご飯も
全てじっくりと見つめる総司の顔を小さく見た


「わ、私なんか食べ方悪かったですか?」


怒っている雰囲気は感じなかったが思わずそうおずおずと聞いてみれば目を丸くされる
表情一つ一つが猫のようだと小さく思いながらも申し訳なく彼をみた


「いや、葵の食べる姿があまりにも可愛かったものだから」

「……えっと、その、怒ってはないです…よね」

「あぁ、反対だ…先週食べたいと言ってただろう」

「あっ」

そう言われてからそんなことを言った気がする…と思ってまた見つめれば優しく笑われた


「俺の料理で葵が美味しいと感じてくれるなら、俺はそれだけで満足だ…さてと食べるか」

恥ずかしげもなくそういって箸を伸ばした総司に少しだけ恥ずかしくなる
心も胃袋も何もかもやはり人を掴むのかと、流石は全てを司る人だ…等と思わず思いながらチラリと見れば混じりあったお互いの瞳がゆっくりと緩められ恥ずかしそうに笑った。















「お兄ちゃんも、葵さんとご飯したいからってわざわざこんな所予約しなくていいのにね」
「あぁ、本当…にしてもよく食べるんだね」
「だってここのスイーツビュッフェすごく来たかったんだもん、ほらほらひよりさんも!」



「…そういえば総司さん」
「どうした」
「樹花ちゃんリクエストって」
「あぁ…嘘だ、内緒にしておきたかったからな」

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