詩島剛
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初めて出会ったときから互いに性格は合わないだろうとなんとなく思っていた
そもそも剛は葵にはじめあった時にいった
「俺年上のが好きなんだよねぇ、進兄さんとかは年下のが好きそうだけどさ」
恋愛感情も何も湧いてもない、そもそも友達とも言えないような関係であるのに剛はザックリと切ってしまった
それ以来葵は彼をあまり得意としなかった、確かに顔はいい、性格は少し豪快でうるさいし派手かも知れないが最近の女子ならば好みなほうだろう、運動神経も抜群頭も悪くない
悪い部分は確かにないのだが、あの一言のせいで葵は剛をあまり好きにはなれなかった
「葵ちゃん」
「剛くん重たいよ」
そう思っていたのは数ヶ月前までだった、剛は段々と葵に引かれたと言いアタックを始めた
それはもう派手に周りが呆れるほどにわかりやすく愛を伝えて、帰国子女なだけあって向こうの文化も軽く混じっている剛は随分と遠慮なく来るものだった
結果的に葵は折れる形で剛の恋人に昇進した
ずっと相談に乗らされていたからか少しだけ窶れた進ノ介に漸くかと安堵した霧子にその日は食事に連れていかれたのもよく覚えている
「葵ちゃんご飯いいからさ」
「剛くんが食べたいって言ったのに」
「ごめんってでも俺我慢とかできないじゃん」
「してくれなきゃ私は嫌だな」
剛の家に上がることが増え、よく夕食を作りに来てはいたが基本的にさせて貰えなくなる
帰ってきた剛の大きな腕に抱きしめられ、肩口に顔を埋められ甘い声が耳に直接触れる
まるで大型犬のように身長差のある剛の体に包みこまれることには安心感を覚えた
「俺のこと嫌い?」
犬のようにそういった彼の手を見つめて包丁を一度置いて腰に巻き付く手に自分の手を重ねる
このままではまた朝や夜中まで眠ることになる、そう思いながらも若さゆえにか嫌だとも言えないで流されることが多い
「好きだけど、ご飯遅くなるしお風呂もまだだから」
「俺気にしないって」
お願いだから頂戴、なんて甘えた声で首筋を舌が舐めた
ダメだと言いたくなるのに聞く様子もない剛を見つめて少しだけ背伸びをして顔を近づければ嬉しそうに重ねた
「これで我慢してくれたら、もっといいことしてあげるから、ね?剛くん」
「…うん、じゃあご飯できるまで抱きしめてていい?」
「うん、でも邪魔したらハグも…夜もなしだから」
小さく笑った年下の彼女に剛は嬉しそうに笑って小さく返事をして小さく抱きしめる手に力を込める
あぁリクエストされたものがチャーハンでよかった、なんて心のどこかで小さく思って。
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