石動惣一
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ある日店に現れたその女はあまりにも綺麗だった
瞳の色も唇も微笑み方も、全てが完璧で悲しい程に心を奪い去る
「夏が、終わっちゃいますね」
白色に水色の睡蓮を描いた浴衣を来た彼女が線香花火を片手にそう呟いた
「花火って何」そういった娘の美空の言葉を聞いた彼女がファミリーパックの花火を3つも買ってきて一時間近くも花火をした、線香花火を終わらせた美空が先にお風呂に入る間にまだ残った花火をする彼女を見つめた
「まぁ夏もあっという間だったなぁ」
「…惣一さんは夏は、好きですか?」
「んー?嫌いじゃないけど暑いのはなぁ」
ぽとりとまた一つ線香花火の火が弱まって地面に落ちる
「花火しないんですか?」
「葵ちゃんするの見てるから」
「いつも人のこと見ますよね、自分は傍観者みたいに…」
物言いたげな彼女に自分の何がわかるのか問いたい気持ちにもなる
もし自分が宇宙飛行士でもなくパンドラボックスを見つけたわけでもない、ただの一人の男なら何も悩まず、家庭を築いて幸せを手にしたのかと時折思えた
それでも目の前の小さな幸せは確かにあって、それがいつか終わることも分かっていた
「あーぁ、雨まで降ってきちゃった」
花火の火を消すために用意したバケツの中の水が一つ二つと雫が触れるたびに揺れる
一気に天候が代わりバケツをひっくり返したような雨が降り始める
「うわっ!葵ちゃん中入って濡れるから」
「先これ片付けてから戻りますから」
「ったく、傘もってくるから風邪ひかないように」
「惣一さん…」
あまりにもそう呼び止めた時の表情が悲しい色に染まっているような気がして、見ていられずに店に入り傘を片手に外に出ればバケツを片しても尚雨の中、立ちすくむ行き場のない少女がいた
「惣一さんは美空ちゃんを愛していますか?」
「そりゃあ実の娘だから」
「ならどうして」
雨音がうるさく声は聞こえなかった
泣いているのか雨なのか分からない、細い彼女の身体に浴衣が張り付いて、薄く肌が透けて見えて、艶めかしい程の足が腰が胸が見える
「葵ちゃん、服貸してあげるから今日はもう帰った方がいいよ、傘持ってっていいから」
まとめていた髪が下ろされて、少し癖のついた髪の毛が色を誘う
きっと何もかも彼女は知っているような気がしてしまう、いつしかバレる嘘だと分かっていたからだ
もう時期タイムリミットがやってくる、彼女なのか別の誰かが連れてくる
「惣一さん」
「なんだ?」
「何があっても私があなたを守り通して見せますから、あなたも貴方の大切だと信じる人間も」
そう笑った彼女があまりにも強いようにみえて、手を伸ばして触れる
頬をすり寄せた彼女が何処までも美しい人だと感じさせられ、それ以上は望めもしない
「そっか…そん時は美空を頼むな」
きっと自分は彼女から逃げなければならなくなる、敵対し憎もうとして、けれども愛そうとして
蛇のように*き苦しみ喰らいあいながら
「ほんとに貴方は優しい人ですね」
何も変わらない綺麗な笑顔で彼女は笑う、人の罪を受け入れながら、人々の罪に目を瞑りながら、人のレールを滅茶苦茶に潰していくのだろう。
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