城戸真司
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今日の戦闘を終えてからというものの朝から駆り出された葵の腹の虫はなり続けていた
そう言えば朝からまだ何も食べてなかったと思いながら食堂に近づけば食欲のそそる中華の匂いがする
「あれ、城戸さんだ」
「おかえり葵ちゃん」
「珍しいですね、城戸さんが食堂のキッチンにたってだなんて」
いつもはカブトである天道などが立っているはずが珍しくもエプロンを身につけている城戸真司こと仮面ライダー龍騎に驚く
「腹減っちゃってさ」
「あ、あの私も少し頂いてもいいですか?」
恥ずかしそうにそういった葵に城戸は優しく微笑んだ、整った顔に似たような髪型をしていても乾巧とは打って変わって城戸真司は優しいお兄さんのような存在だった
丁度得意料理の餃子をフライパンに並べて焼き始めた所だったのか広い食堂に匂いが広がる
「にしても葵ちゃん本当頑張ってるな、世界のためとはいえ女の子1人でさ」
「そんなことないですよ、元々はここにもたくさんの契約者がいたんです」
まさか職員からの裏切りがあるとは誰も思わず、自分を除く全員の契約者が昏睡状態で命の危機に晒されているだなんて思わなかったが
それでも葵は気を強く持つようにした、残った数十名のサポートをしてくれる職員に仮所長とはいえ優しい大人に支えられているからだ
ライダー達も何かと揉め事などがあるがそれも何とかなるだろう
「はい!これ食ったらもう辛いことなんて忘れるって」
「わぁ、すごい!城戸さんって案外お料理上手ですね」
「案外ってなんだよ」
少しだけ不貞腐れてしまった城戸にごめんなさい、と優しく笑う
目の前に皿を置いて、テーブルの上にはなんだかんだと言いつつ餃子にエビチリにスープとご飯等とそれなり量のあるもの達が並んだ、夕飯まで時間はまだあるとはいえ、今夜はそんなに食べれないかもしれない。と思えた
「いただきまぁっあ!!」
「なんだ美味そうなもの食ってるな」
「浅倉さんそれ私の餃子ですから、返してくださいよ」
「…なんだ、お前俺の口に入ったやつが欲しいのか?案外大胆だなぁ」
手を合わせていざ食べようとした途端に背後から蛇のような手が伸びて羽の繋がった餃子6つが一気に消えた
派手なヘビ柄のジャケットに猫のようなふわふわの髪型に強い目つきの男は城戸真司と同じ世界で戦っていたバーサーカーの浅倉威だった
「おい、浅倉お前なんてことっ」
「なんだお前もいたのか…ふん、まぁいいまた作れ」
人様にちょっかいをかけた後は興味もないのかスグに言ってしまった、はぁ…と深いため息をついて亡くなった餃子に寂しそうにエビチリをつついた
「葵ちゃん」
優しい声で名前を呼ばれ少しだけ下を向いていた顔をあげれば餃子を持つ箸が葵に向いていた
「あーん」
恥ずかしそうにしているものの彼なりの気遣いなのだろう、折角決まった数しか焼いていない餃子をくれる城戸に葵は感極まる
小さく口を開けて餃子を噛み締めれば口の中に広がる甘い肉汁
「最高です」
「ほんと?」
「はい、城戸さんの餃子なら毎日食べたいです」
「なっ、ぁ…えっそっそれはえっと」
葵の言葉に顔を赤くし始めた城戸、それを意識してしまい葵もだんだんと赤くなり、結局二人ともテーブルの真ん中に置いたエビチリのように赤くなり夕飯の仕込みに来た天道総司により漸く二人は食事に戻れたのだった。
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