左翔太郎&フィリップ









Wは二人で一人、平等に対等に
例えばアイスを買うならパピコ
例えばジュースを買うならヤクルト
なんて簡単な例えだが(実際そんなことはないが)基本的に兄弟のように2人は分け合ったりしている

そんなことだが、今日は珍しくフィリップが大変機嫌が悪い、それはもう猫が威嚇するかのごとくで手を出そうものなら傷付けられることだろう
お土産に買ってきたケーキもジュースも、今晩はハンバーグオムレツにしようという意見も全て知らんぷり
そんな相棒を気にすることなく翔太郎は御機嫌にタイプライターでコツコツと今日のことを書き溜める

「フィリップくん?どうしたの」

「葵さんは僕と翔太郎どっちが好きなんだい」

「もう、またそういう」

「フィリップ拗ねるなよな、それに葵は俺の方がいいよな?」

「翔太郎よりも僕の方がいいはずだ、葵は甘えさせるよりも甘えられるほうが好きだからね」

チマチマとした言い合いを始める2人との関係は恋人だ、恋人?三角関係?などと思われるかもしれないがそれは違う
所謂三人で交際をしている、フィリップも翔太郎もずっと心から愛している、だが2人とも好きでいてくれることにどちらかを選べずに全員一致の答えがそれだ。

そしてふと葵はカレンダーを見た、本日は水曜日
日替わりデート日としては翔太郎の日だが、ここまでフィリップも期限の悪くなることは無い、別に帰りは遅くもなかった変なことはもちろんない


「本来ならば僕が葵さんとデートの日だったはずだ」

「え?でも水曜日だよ」

「何言ってんだフィリップ」

「先週の火曜日にどうしても水曜日に用事があるから交代してくれといったのを忘れたのかい?それに僕は昨日の夜にも明日は僕がもらうといったはずだ」

「………あーー!」

どうやら思い出したらしく翔太郎はフィリップに責められ始めた、こうしてみるとまるで兄弟のようだった
面白おかしく思えてももう夕飯時、作らなければと思い逃げようとすれば腰に回された翔太郎の腕
そしてその翔太郎の服を引っ張る完全にお怒りモードの猫…いや、フィリップ
このままでは転けてしまう!と思い近くの柱に必死に抱きつく

「私ご飯作らなきゃ!」

「いくな葵こうなったフィリップはお前しか止めれねぇ!」

「翔太郎葵さんに甘えないでくれ!というか抱きしめるなんてずるいじゃないか!」

「翔太郎くんがフィリップに謝ればいいでしょう!」

ギャーギャーワーワー、叫び続けていれば扉が開く
そこには新婚になったばかりの照井御夫妻
どこから飛び出した緑のスリッパは翔太郎とフィリップの頭を叩く、スパーンといい音を出したのを聞いて、あぁ妻は強し…と実感する


「もう葵さん困らせちゃダメじゃんか」

「アキちゃんありがとう」

「何してたんだお前達は…ったく」

呆れた顔の照井竜こと亜紀子の旦那である彼は慣れた手つきでコーヒーを入れては全員分を起き始め話を聞き始めていた
安心してキッチンに女2人で珈琲片手に逃げ込んだ、今度こそ無事に逃げれた、エプロンを身につけて小さくため息をついた


「また葵さんのことで喧嘩してたんだろなぁ」

「うん、今日はフィリップくんだったみたい」

「ははっ大変だねぇモテる女は」

なんてニヤニヤしながら新妻である彼女は肘で小突いてくるのを苦笑いをする
実際三人での交際は大変だ、翔太郎とは大人な関係を何度も築き上げきて、フィリップはまだギリギリ未成年と思いそこまで踏み込めずにいる、そうすればまたフィリップは拗ねる
そして翔太郎は男としてのプライドで甘えることはなく、フィリップは反対にベタベタに甘えるために嫉妬をする
と言った風に2人は良きライバルであり相棒となった


「アキちゃんは?」

「…あのね、子供…ほしいなぁって」

「ほんと?竜さんとアキちゃんの子供なら素敵な子だよ」

「へへぇやっぱそうかなぁ」

アキは緩みきった頬を更に緩める、ずっと見てわかるほどに竜と彼女の関係はよかった、時折喧嘩もするけれどお互いの本音をぶつけ合う二人を見ていて暖かくなれた
二人して夕食の準備を進めながら子供の話や最近の話をする


「葵さんと遊園地に行くからってずっといってたんだ」

「あぁ」

「でも俺も今日は葵と映画の予定立ててたからな」

「あぁ」

「だが僕の方が先だったはずだ、どうして君はいつも忘れるんだ!」

「わざとじゃねぇっていってるだろうがお前なぁ」

二人の間で話を聞かされている照井竜は早く助け舟として夕食を待っていた
さっきからずっとこの調子で終わりさえ見えないでいる、どうにかならないものか、つい数ヶ月前もこんな問題になっていたような気がする


「こうなれば」

「お前とは」「君とは」

「今日限りだ!」

これを聞くのは何十回目か
いい匂いがしてきたな、今日はカレーか?などと考えながらため息をついてコーヒーを口に含んで眠気を抑える
つまらない喧嘩すぎて眠気がやってくるほどこの喧嘩は何回もしている事だ

「二人共まだしてるの?」

「葵、お前からも言ってやってくれ俺は疲れた」

そういった竜がキッチンに入っていったのを見て、これは五分ほどは入れないな…と思いながら先ほど竜の座っていた椅子に座り二人の意見を聞く


「そっか、じゃあフィリップくんとは明日明後日お泊まりでデートしにいこ?」

「本当かい葵さん!」

「なっ!それはずるいだろ」

「で、土日は三人で遠出しよっか」

「それならまぁ」


丁度アキちゃんから旅行券をもらったばかりなのを思い出してそう提案すれば悪い顔をせずに、フィリップに至っては嬉しさのあまりに抱きしめてくれた
にやけそうになる顔をどうにか抑えて、フィリップを抱き締め返してみれば、見ていた翔太郎が近づき唇が奪われる

「む、僕だって」

そういって下からリップ音を立ててキスをしたフィリップをみたあと翔太郎の手を取りテーブルに皿を並べ始める
照井夫妻がリビングに料理を運びに来たのはそれから更に五分後だった、ちなみに亜紀子の顔はゆでダコのように赤く、竜は満足そうな顔をしていた。







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