佐藤
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画面の中の屈強な男キャラがマシンガン片手に走り出しては撃ち殺され、右下のダメージゲージは緑色から早急に赤色に変わった
どうだ あぁだ という前にゲームオーバー(相手に蘇生してもらう迄、お待ちください)という文字が出てくる
「ねぇ佐藤さぁん復活してよ」
「何回目なんだい」
「だってなんか死んでも生き返らないんだもん」
下の画面の細みのスナイパータイプの男キャラのくせに武器はRPGにショットガンという重武装、細いそれこそ見た目は佐藤並のものだから不格好なそれを持っているのを見てキャラクターとはいえ、流石に持てないのでは?と思えてしまう
つまらなさそうに蘇生待ちをする彼女のキャラクターをマップで見てみれば先に行き過ぎたのかマップの一番端っこの部屋だった
「そんな所なんもないでしょ」
「だってぇ、宝箱とかあるかもじゃん?」
「このエリア何回してるんだっけか」
「わかんないけどここ楽しくない?敵多いしさぁココのボス好きなんだよねぇ」
間延びした声でコントローラーから手を離しては奇抜な様々な色の入った毛先を弄りながら長すぎるネイルの施された爪を見た
「変えたのかい、ソレ」
「佐藤さんがいうのめっずらしいね、気づいた?みてこれ私のゴーストちゃん入れてもらったよね可愛くね?」
「相変わらず派手だし長い爪だね」
「ンもー、もっとなんか言うことない?可愛いねとか似合ってるとか」
「リセットするたびに消えるんだからもったいないと思うんだけどねェ」
「オフ代無料じゃん?お得っショ…あっ回復あり」
相変わらず考えが未だよくわからないと思うのは彼女の精神が病んでいるからか、それとも現代っ子の17歳の娘と佐藤の年の差のせいなのか
両者共に正解なのだろう、画面の奥でまたひとり突っ走る彼女は現実通りだ、なんでもひとりで突っ込んで尻拭いを佐藤がする
とはいえ勿論楽しんではいるため何も気にはならない、時折面倒だと思う時はあれどだ
夕日は興奮の絶頂を迎えた時それを悪い癖と思ってかリセットし直す
その度に嫌というほど開けているピアスの穴も、身体に彫られたタトゥーも、長さだしも丁寧にしてネイルサロンに行った爪も、日サロで焼いた肌も
全てが全て全部元に戻る、実際のことを言えば佐藤や他の男連中もだが素の彼女の姿の方が何倍も可愛らしいものだ
それは年相応であり、17歳の顔だからだ、所謂ギャルと言うべきか、年相応の浮かれ目の派手な娘
メンバーの中でも飛び抜けて派手な格好をするためによく目立つのだ、ゲームの中のこの屈強な男なんかと比にならないほど
「佐藤さんさぁゲームと殺し以外好きなものある?」
「んー、コーヒーかな」
「あたしコーヒー苦手なんだよね、あーでもコーヒー牛乳飲めるよ凄くね?」
「子供舌だね…そこ気をつけて撃ち込むからね」
「いう前に撃ったから死んでんですけど」
溜息をつきながら睨む彼女にいつも通りの顔で取り敢えずと言いながら回復をさせられる
このゲームの痛手であり、ある種いい部分は仲間内での攻撃が食らうことだろう、現実味がある
ほかのゲームは協力プレイだとしても大抵仲間には殺されることは無いだろう
亜人である佐藤と夕日からしてみれば、自分達も大して変わらないものだと思えたセーブのないゲームのようなもの
リセット以外できないポンコツゲームだろう、残機は何百個とあり好き勝手に出来る、いつかくる寿命で死ぬのかそれでもまだ死なずに生きるのか
「君を殺すのはやっぱり楽しいね」
「それさぁ趣味悪いよ?」
「そんな事は無いよ、それに嬉しいだろう私に殺されることは」
隣の彼女をそう言いながら見れば面倒なのかソファーに横になり足をだらしなく広げた
網タイツ越しに見える下着にも文句もいう気はなく、その付近のタトゥーも見慣れたものだ
足が当たって蹴られても文句も言わずにゲームに熱中していれば蘇生待ちの夕日は画面を見つめるばかりだ
「佐藤さんって綺麗だよね、ハーフだから?」
「そんなことを言うのは君くらいだよ」
「目元とか髪の毛とか…口とか、あたしすごい好き」
そういって近づいてきては長い爪が体に触れる、腰を撫でて肩に手を置かれ、まるでエルム街の悪夢のフレディのように長く鋭い爪が頬を撫でる
変わらない笑みに夕日はつまらなさそうに唇に手を伸ばせば、ゆっくりと口が開かれ爪を口に含む
細く色素の薄い舌がちらりと見えては爪を舐める
時折指先にまで触れる舌の体温は少しだけ低い
唾を飲み込む夕日に口元は更に弧を描いた
「ゲームクリアみたいだ」
「あっ」
いつの間にかボスまで行ったのか終えてしまった、画面は次の物語の話を進めているのに毎度見ているくせに視線を奪われていれば視界がゆっくりと傾き始めて天井を見つめた、片手で押さえつけられいやらしい程にタイツの上から下着の上から撫で付ける
「…その気なった系?」
「悪くは無いが、残念」
「ぁっっっはっ…さ」
名前も呼べないほど喉が圧迫される、唾を飲むことも話すことも出来ずに意識がぼんやりする
ゲームでの興奮を抑えるためか発散させるためか、佐藤の大きな右手の力が強くなる、見開かれた眼球を舐めて開かれた口の中を舐め歯をなぞり喉元を撫でる
「着飾るよりもその表情の方が私は好きだよ」
嫌というほど聞いてるんだけど。なんて言えることもなく意識は夢の中に消えた。
「…普通さァ人がリセットしてる時にゲーム終わりまで進める?」
なかなか死ぬことが遅かったようでリセットも時間がかかってしまった、溜息をつきながらソファーに横になりテレビを見た、もうこの際身体の疲れや汚れなど気にしないようにして
目の前の男のさっぱりとした顔に歪み方には飽きれるばかりだ
「あぁ遅かったからねやるかい?」
「もういいや面白くなくなっちゃった」
「なら、今度は死ぬ寸前までセックスをしようじゃないか」
そう言いながら覆いかぶさった佐藤に冷や汗がひとつ流れた、この男の言葉はそのままなのだから
意識が飛んでも死ぬ寸前まで本当に体力が完全に切れるまで付き合わされ、ある種研究所での拷問等しいほどだった
逃げようにもどうやら間に合わないらしくふとテレビを見れば放置してしまったため、2人ともゲームオーバーで死んでいた。
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