佐藤と奥山の話す内容など興味もなく、与えられたゲームをしていたときだった丁度ゲームに飽きてきたとき大きなあくびをして、二人の下にいった
画面に浮かぶオグラ・イクヤと書かれた男、海外の亜人研究者の男なのだろう詳しい部分はすべて英語表記で簡単に訳された部分に書いているものを読みながら夕日は目を輝かせた
「ねぇねぇ佐藤さん!」
「なんだい?」
「あたし、向こうにいきたい」
「...うーん、いいよ」
まるで子供が遊びに行くのを許可する親のようにそういった、目を丸くした奥山に「じゃあいってきまーす」なんて告げて自分のIBMを走らせる
時に車を使い、時に歩き、そしてふと考えたもっと簡単にもっと楽に向こうに行ける方法を
朝の通勤ラッシュ時間、少女は一人黄色の線よりも前に出て快速電車がやってくるのをみて、にやりと笑う
「おい!君!」
駅員の声を聞いて手を振る
それと同時に衝撃が体に走り体内のものすべてが出てくるような感覚に痛みに何も思わずに眠るように目を閉じる
次に目を覚ましたときには電車があり、人々は携帯で写真を撮り逃げ惑う、亜人を発見したゆえに確保しようとする人間たちを差し置いて、警察官らしき人物たちがやってきたのをみてそちらに向かい両手をだす
「オグラ博士のとこまでよろしくね」
まるでそれはタクシー運転手に場所を告げるようにいった
「それで?かのテロリストの一人がなんのために俺のところに」
「えっとねぇ...うーん、なんかすごく気になったから」
「それだけ?」
「うん、それだけ」
全身を拘束器具で固められ、目と口だけを出された夕日こと000番はガラス越しのオグラ博士にそういった
あくびをしてつまらなさそうな対応の彼女にタバコを吸いながらみつめていれば、亜人ではないはずの男にみえるIBMが二体現れ、拘束を解いていく
ようやく外れたそれに体をほぐしながら扉を破壊する、その扉が簡単に開き壊されるものではないのにとも思いつつも、それほどIBMは能力が優れているのがよくわかる
「やぁっと会えた、こんにちはオグラ博士」
「こんにちは、リトルレディ」
「あたしね、博士に一目ぼれしたの」
ちりちりと小さな音を立ててタバコが短くなり、灰が床に落ちた
「佐藤たちは?」
「うーん、博士のところいってくるっていったら「いってらっしゃいっ」て」
「...まるで子供と父親だな」
「それで博士は結婚してるの?子供は?」
歩き始める博士の背中を追いかけてついてくる夕日の話は止まらない、遊びだとしてその質問に答える中に目の前に現れた戸崎と永井は固まる
どうしてオグラ博士と000が一緒なのかともちろん言いたげな顔をしてだ、先にIBMを出したのはもちろん夕日だった、一体はオグラの前、もう一体は永井をみつめ
「やめろ夕日...仲間だろ」
「...あ、そっかごめんね戸崎さん永井くん」
「というわけだ、犬が出来たんだ、あまり俺からうばわんでくれ」
そういって隣を通り過ぎる二人に何かをいう戸崎の声も一切聞こえないふりをして一室にはいり、椅子に座らされた
小うるさく話をする彼女に気にした様子もなくオグラは告げる
「俺を守れるか」
「うん」
「俺を本気で愛する気か」
「そう、だから...あたしのことはたくさん殺していいんだからね」
そういって笑った彼女にオグラは冷や汗をかく、味方になれば確かに強い戦力だがもし一歩間違えれば核兵器のごとく爆発をするだろう
もし指示を間違えれば全員死ぬことを理解した、爆弾なのだと理解して
「大丈夫だよ、飽きたら博士のこと殺したげるしさ」
その瞳は確かにあの男と同じものだった
自分の楽しさと快楽のためならこの世界なんて壊して見せるというような
そしてその娘に確かにオグラは興奮を覚えた、それはきっと心を奪われたからだろう研究対象として
スクリュードライバー
「あなたに心を奪われた」