白石



たまたまのことだ、このバカ坊主とまさか町に出たら第七師団に顔バレをしていたのを忘れて追いかけ回されたのは、数発持っていた煙幕でまけたかと思ったはずがしぶとく生きる虫のように追いかけ回してくる
意外にも身体能力の悪くない白石由竹と言い合いながら走っていたのが悪かった
山の中まで逃げて後は杉元とアシリパの元に行けばなんとかなると思いきや、足元を見ずに山から二人して転げ落ち、おまけに川に落とされた


「なぁー、珠樹ちゃーん?」

「っうっさいわ!ちょお静かにして」

「怒んないでよぉ」

現在衣類乾かす為着ている服は最小限にして火をおこしている、だがしかしすぐに乾くはずもなく肌は寒さに悲鳴をあげる
あたりに人の気配もなく、今どこにいるのかもわからないが兎に角追われていないことだけはわかった
寒さに手がかじかみ、二人で暖を取るがもう日は暮れ始めようとする、こうなれば二人との合流も明日になろう


「バカっなにしとんねん!」

「だって、寒いじゃん」

「せやから火を炊いとるんやろ」

「じゃなくってさぁ」

そういって、スルスルと薄く濡れた襦袢に手を添える、太ももをなでて着物の隙間から手を入れようとするのを止める

「肌あっためるのには一番じゃん」

「せや、けど…」

「なんで、イヤ?」

耳元で小さく囁いては耳朶を甘く噛み舌が音を立てて耳を愛撫する、力の抜ける感覚に酔わされ尻に男らしいその手が触れたのがわかる
寒さを凌ぐためならば…というしかなかった、でなければ二人して凍死するかもしれないのだから、風が吹けば壁も屋根もない炎は瞬時に消えることだろう


「…ちょっとだけやからな」

「はーい」

そう言って彼を子供扱いするように頭を撫でれば、手は動き出して彼の口が乳房に触れる、抱きしめるようにして膝の上に載せられて襦袢の上からそこを舌が這い、手が触れる
甘い電流のようにピリピリと感じるそれに小さく声が出てしまうのを抑えて、彼に身を委ねた
散々突起を遊ばれて唇が離れれば唾液が糸を引いていて、熱い熱を込めた瞳と目が合ってイヤらしく彼は笑う


「気持ちいい?」

「よぉないわアホ」


文句をいえば彼の熱がグリグリと蜜壷の入口に触れる、彼も今思えば褌にいつもの上着だけだった直接触れるのは薄い布越しであれ充分である
いたずらをする子供のように笑っては抑えてきてそれを逃れるように腰を浮かせば尻に両手が触れていた


「…っ、あ」

「んーいい弾力」

「はっ、あん…っぁ」

「ここら辺かァ」

手がゆっくり谷を撫でては突起物をグリグリと押してきて、甘い声が上がる
白石の肩に頭を置いてそれに耐えるようにしても彼の欲求を高めるだけなのだと理解しているはずなのに、処理は追いつくこともない

尻たぶが持ち上げられて広がるのを感じていれば、白石の熱が押し付けられては音を立てた、まるで溜まっていたと言わんばかりに溢れる蜜に羞恥を感じて聴かぬようにと目を閉ざしても
耳元で聞こえる吐息や心地良さに偽りはなかった


「っぁ!!」

「べぇ…あんな女達よりよっぽど…きもちい…」

「なっ!何言うとんねん!」

「えーだってさぁ、まじ気持ちいいんだもん、珠樹ちゃんの」


そういって入ってきた熱に思わず声が止まった、久方ぶりの行為故に受け入れられずにいるのだろう
まともな指での愛撫もないのだから当たり前だった、女を買うくせにこういったことは学んでないのかと思わずにらみつければ本人も冷や汗をかいた様子で、垂れ耳になった犬を見た気分だった


「普段、女なんかよぉ買っとる癖に」

「だってぇ…あの子らは自分達でしてくれるから俺はその、挿入するだけっていうかぁ…」

「なんや、マグロかいな」

「なっ!女の子がそんなの言っちゃいけませんっ!ってか違うし」

「まぁええけど」

まさかこの様な行為で深いため息をつくことになるとは予想もしなかったことだが、彼らしいことだと思い座っていた白石から少し腰を上げてまたがるような格好にして、両頬を包んで口付けた
まるで子供のようなキスだった、歯は当たるし舌も全く絡ませようとしても息を合わせようとせず分からないような顔のくせに、目を開けば精一杯のように林檎のような頬で受け止めるその姿が面白おかしく感じた


「接吻も、初めてなん?」

「いやだって、あぁいうとこのは普通しないしってか…その、慣れすぎっていうか珠樹ちゃん…っあーこれじゃあ俺からいった意味なくなるっていうか」

「白石くんほんまなんて言うかおもろいなぁ、大丈夫店の子らと変わらんようにしたげるから」


なんて安心させるつもりが彼は少しむくれた顔をした、そのまままた気にすることなく唇を一瞬重ねるだけにして、彼の口内に指を二本いれた
絡む小さな舌が愛らしく心地よく、なんとなく男が女の口に入れる理由も分からなくはなかった
そのまま引き抜いた指を迷うことなく自身の蜜の潤うソコにいれかき乱した

まるで春画のような官能的なものにみえようか、ずっと見てくる彼に微笑む、甘い声を出して男の前で自慰する女等売女以下かもしれない、と自傷気味に笑う
白石の指先が髪を触れてくるくると指先に巻いては外して、小さく笑う
優しく笑う彼にずるいだなんて思わず言葉を漏らしそうになりながら、もう大丈夫だろうと、立ち上がり白石の真後ろで背もたれとなっていた木に両手をついて足を広げた


「もう、ええよ」

「…じゃあ、オジャマシマス」

「なんやそっぅあっ!!」

笑いそうな途端に入ってきたそれの熱量に声を失う、動くことなくそこに留まった彼が滅茶苦茶に抱くならば気にもならないのに、一切動くこともなく背中に唇が触れるのがわかる
愛おしむようなその愛情に困惑しながらも、ナカの熱は脈を打つ


「動くからな」

小さくつぶやくように言ったあとに勢いよく打ち付けられ思わず悲鳴のように甲高い声が上がる
木にしがみついて、後ろからの熱を受け止めるのに精一杯になる
予想以上に久方ぶりの熱の重みや熱みに脳はモルヒネを打たれたようにクラクラとしそうになる


「アッ…んやっあぁんっンァ…っはッア」

「あー…やばすげぇ…きもち」

「ッッあ!はぁっあ」


足が震えて立つことに力を専念させそうになる、後ろで腰を持っていた片手が左手に触れて絡め取られる
まるで迷子にならないようにと手を繋いだ気持ちだった
何度も繋がりあっては寒さのことなど忘れて互いの熱を求めては心地良さに我を忘れそうになる、衣類を乾かしていたことも忘れて求めて
いつの間にかあたりは真っ暗になっていたことに気づいたのは行為を終えてからだった


「…はっぁ……服…かわい、とる?」

「うん、じゅーぶん、着れる?」

「とるだけ取ってや…あとは自分できるから」

「はい」


渡された着物とケープに帽子を着直して、まだ燃え盛る炎をみつめて二人で固まった
特に話すこともなく、どちらかといえば体力を使いすぎて眠気がやってきていることだった
大きなあくびをした白石を見て足を崩した


「ここで寝とってええよ、なんかあったら起こすさかい」

「え!まじいいの」

「ええよ、どうせウチ寒さで寝られんし」

「そっかぁ、じゃあおやすみ」


そういって膝の上に頭を置いて眠る彼の顔を見て微笑んだ、明日にはきっと2人とも再会できるだろうと信じて
そしてあまりの腰の痛さに寝れないなどとは白石にいうこともなく、その夜を明かすのだった。









- 4 -
←前 次→