武田好誠









「龍信とか、テルのもやっぱ綺麗だったけど好誠のも綺麗だね」


ペタペタベタベタ、室内温度23°の部屋の中上半身を剥かれて触れられる
その手は薄ら冷たく、自分の肌と違い心地はあまり良くなかった、早く終わらないのかと待つばかりだが彼女は一向に気にしない


「色も綺麗に入ってる…私も入れるかなぁ」

「それはやめといた方がいい」

「似合わない?」

「あぁ、アンタには似合わない」


平静を装って話をしたが心臓の音が聞こえそうで怖かった
恋人になって早半年、まだ1度も年上である恋人を抱いたことは無い
元より相手があまり男経験が無い気がして変に恐れて手を出せないでいたのが本音だ
触れる指先は綺麗とは言い難い手だった、切り傷やあかぎれ、たくさんの傷は全て家事や仕事をした証で、それが好きでたまらなかった
相手にとってはあまり綺麗じゃない手は人に見せたがりはしない、だから爪にネイルをすることも、指輪もブレスレットさえ彼女は付けない

一度も痛んだことのない髪の毛、昔大きな喧嘩に巻き込まれて付いたナイフの傷以外体にはないんだと知っていた、その癖その体の奥底をまだ知れない


「私には、何が似合うと思う?」

「そんなに彫りたいのかよ」

「んー、好誠達はさ…生き様とかでやるのかもだけど、私は意味は無いからなぁ、それに彫ってもらうなら好誠にしてもらいたいね」


そっと前に回ってきた手を掴んだ、肌が触れ合って向きを変えれば彼女の顔は真っ赤になっていた


「どうしてこっち見るかなぁ」


なんて笑いながらも嫌な素振りはなくて、そんな彼女に顔を近づければ触れ合う
あぁ、このまま流れてしまえばいいと願いながらも彼女を壊したくなくて出来なかった


「好誠の心臓…うるさい」

「…そりゃあ、翔さんがベタベタするから…俺だって男だ」

「好誠」


もう我慢なんて要らない



そう目で語る彼女に引き込まれた
少し焼けた肌に、ボクシングをしていたと聞いていたがやはりその通りかのように、筋肉が程よくついていて、細くなければ太すぎるわけでない、付くところにハッキリとついているその肉
柔らかな肌は女のそれで、触れ合う度に理性は着々と消えていく
愛してる・好き、その言葉を言わなくても彼女の手が一つ一つ語る
目元の傷に触れて、身体にハッキリとある刺青を撫でてては微笑む、それだけの行為が何故か無性に愛されていると実感してしまうのだ



「私、嫉妬してる」


行為を終えた彼女は気だるげな様子もなくいつも通り笑った、昔より伸びた髪の毛を手櫛で梳かして下着をつけ直していた
それと反対にベッドに横になりながらタバコに火をつけてみれば、「寝タバコはやめな」と怒られて奪われたが故に起き上がりベッドの上に座った
狭いシングルベッドに2人、それだけでも今は心地がいい


「なんでだ」

「だって、死ぬまで永遠にそこにいれるんでしょ、好誠の痛みも奪って…それってなんていうか」

「ロマンチックってか?」


冗談交じりにそう聞けば彼女は顔を背けた
まるで子供のような言い分が可笑しくてそっと腰に抱きついた


「なら、俺が武装を抜けたその時は…全部あんたにやるよ、体も何もかも…心はもう奪われたからな」


あの日出会った時にと胸の内で思っていえば彼女は恥ずかしそうに笑う
また二人してベッドに倒れこみながら笑う、そっとタバコは灰皿の中に落として。







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