月島花







「翔さんのことが好きです!!!」

真昼間の梅星一家の家の近くの公園にて現在大学2年生で20歳になった翔はマルコメくんこと月島花に告白をされた

「あっあの、罰ゲーム?」

「違います!」

確かに二人は知り合いである、梅星一家のマリ姉の手伝いに食事を作りに来てくれたり、鈴蘭でもよく知られてる彼女にあの月島が告白をした
身長は彼女より小さく歳も4つ5つは下、男子高校とはいえ他にも可愛い女子高生はいるであろう。

「ずっと、その好きだったんです」

「花くんの気持ちはその嬉しいけど」

「もっもしかして彼氏できたんですか」

効果音がつきそうなほどの反応に##は困った顔をした
正直普通の男よりも身長が高いのがコンプレックスな上に、マシになったとはいえ昔は男勝りで男より女に現在もだがモテる質…そんなのの何処がいいのやらっとなるのは当たり前な話である。

「翔さんのなんていうか、目が好きなんです、透き通ってて真っ直ぐで丸くて宇宙みたいに吸い込まれそうなんっすよ」

「でもさ、私このとおり君より高いよ?」

「ンなのすぐ抜かしますよ」

「5つも上だよ?」

「歳なんて気にするなら俺好きになんてならないです」

「昔のこと知ってるよね?私あんなんだよ?」

「そこも含めて好きになったからいい!」

「付き合ったら嫌になるかも」

「その分##さんのこと知れる」

あぁどういってもこの少年は諦めるつもりは無いし、心のどこかでそれに対して喜んでるのは事実
元々弟として見ていたのにある日守られてから男の一面をずっとみていたのも多い

「本気で好きです、だからふられたっていい」

「花くんは本当真っ直ぐだね」

「え、あっはい」

「うん、私も好きだよ」

そういった途端に勢いよく抱き上げられて振り回された
笑顔を散りばめる彼がまるで星みたいに輝いていて、そのザラザラの坊主頭を撫でた後に額にキスをした途端に落とされ真っ赤になって固まった彼はやっぱり幼い少年だった。





もちろんその光景を見ていた梅星一家には公認済で、翔と花を知るものも知らないものも話は大きくなって交際は知られてしまった
おまけに春道と可愛がっていた後輩であるゼットンには「犯罪には気をつけてください」なんて言われ思わず手加減なしに会った途端にバックドロップを掛けたほどだ、そして気絶した彼を見たあと一緒にいた米崎はこの人を怒らせたらダメだ…っと再確認したのだ。


「翔さーん、今日飯何?」

「んー、今日肉じゃがとかだよ」

「うまそー」

「あ、花くん味見してもらっていい?」

よく家には人がいないことがあるために花と翔が二人きりになればベタベタと花が甘え出す
今も翔が料理を作ってる所に行ってわざわざ抱きしめるほどで最初よりかずっとスキンシップは多くなった

「うんめぇ!婆ちゃんの料理よりうまいかも!」

「ほんと?花くんのお婆ちゃんお料理美味しいもんなぁ」

「また一緒にいこうぜ」

「そうだねぇ、花くん居なくなってからお婆ちゃん寂しいって言ってたし」

「そしたら婆ちゃんと##さんの飯食えるんだなぁ」

幸せそうな顔をしてそう言ってくれる彼が何よりも翔は好きだった
彼の祖母にもよくしてもらい、自身の父親と兄達も彼を気に入ってくれた程だ


「アンタたちー、いつまでいちゃついてるの」

「マッマリ姉さん!いるなら言えよ!」

「びっくりしたぁ…」

「いちゃついてて周り見えてないだろうけど、全員見てるわよ」

そういって扉を指したと思えば確かに扉の隙間から見ていた面々が床に崩れ落ちていた
すぐに花も翔も離れて、夕食の準備を進めていった
隣で手伝ってくれるマリ姉こと靖司は翔の気持ちも花の気持ちも何より理解してくれ、そのためよく2人きりにさせてもくれた

「大学はどうなの」

「特に何も無いですよ」

「あら、男からの誘いとかも?」

「まぁたしかにコンパとか合コンとか沢山誘われますし、色々お声かけもらいますけど私には今、月島花が居ますからあの人がいてくれるなら私はいいんです…それにあの人もきっと認めてくれるような男の人だし」

「……一途ねぇ、まっ!だから私はあんたのそういうところに惚れてるんだけどね」

「マリ姉さんが味方なら心強いです」

「可愛いこと言うじゃない!!」

そういって抱きしめてくれたマリ姉が言う通り翔は月島花の前に交際していた男がいた。
それもヤクザで義理人情が厚い男だった、けれど彼女が大学に入ったと同時に事故によって亡くなった、今もそれを心残りにしてはいるが吹っ切れてもいた、もちろんそのことは花は知っている
ずっとその恋人を引きずった彼女に出来た恋人は誰がなんと言おうと胸を張って誇れる男だった、だからこそマリ姉も政司も余計に祝福してくれた

夕食を終えて時刻は9時過ぎ、風呂も終えて翔も家に帰るとなれば花は上着を羽織って降りてくる

「送ってく」

「いつもありがとう花くん、ごめんね」

「いやいや女の子ひとりでこんな時間帰らす彼氏なんて」

「うん、花くんが居てくれると安心する」

そういって靴を履き終えて立ち上がった花の手を握った翔はまた明日と挨拶をして梅星一家を出るが、花と同じく鈴蘭に行っておきながら彼女も女の縁一つない彼らが花を羨まない筈もなかった
イチャイチャしてる雰囲気よりもふんわりとした優しいオーラに包まれた2人が周りさえも幸せにさせていくのもまた羨ましい限りだった。

冬場の寒い夜であるが手だけはお互い暖かった

「寒いねぇお風呂はいったばっかだから余計かもだけど」

そういった途端に手を離され上着を被せられた、冬なのに半袖姿の花に驚いて返そうとするが受け取ろうとされない

「風邪ひいちゃうってば」

「女の子の方が寒さに弱いからいいんだって!」

「ダメってばっ………………花くん」

「うっ…………はい」

花だってそれなりに男らしくいたいと思ってるのだろうなんて翔はもちろんわかっている、それでも風邪をひくならそんなものはいらない翔は子供を叱るように名前を呼べば受け取られた
離れた手を繋ごうとした花の手を無視して腕に抱きついた

「こうしたら、お互い温いでしょう」

「っあ、あの………あたって」

「花くんにならいいや」

そういって笑えば花が地面に勢いよく鼻血を出して倒れてしまい急いで梅星一家に電話を入れるのだった



また別の日夕食を作りに翔は来ていた


「どうだった?」

「花くんにはまだ"男の子"のままでいてもらおうかな、なんて」

「まぁあいつはまだまだガキだわ」

「それに…精一杯背伸びしようとする彼のが可愛いんだもん」

なんていって意地悪に笑った彼女を扉の隙間から見ていた花は少し恥ずかしそうな顔をしていたが、すぐにバレてちらりと花を見た翔はクスリと笑って、まだ勝てる気がしないと…思うのだった。






- 9 -
←前 次→