幻影旅団
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リーリェは旅団の中でも一番年下だ(カルトが来るまでの話ではあるが)甘やかされるようなことはあまりしないように全員しているつもりなのだろうが、どうも甘やかさせてしまうのは彼女が赤ん坊の頃から育ててる故なのだろうか。
「あー、また拾ってきたな」
そういったシャルナークの言葉がアジトの中に響いた、どうしたといった様子もなくいつもの事かと全員が思った、リーリェには悪いくせがあったそりゃあ沢山あるのだがその中でも拾い癖がある、毎回集会の時でもそうだが毎日何かを拾うくせがある、流星街での癖といえばいいのか、兎も角なんでも拾うがその中でも動物が圧倒的に多い
時折オーラを感じてか掘り出し物の宝をもって来る時もあるがそれは極希なこと
「…ちっ違うの、家の前にいたの」
家の前と言いつつアジトのあたりには危険な野犬などもいるというのにこれまた、子猫を拾ってきたようで気持ちよさそうに猫はリーリェの腕の中で眠っていた
人懐っこいのかまだ置かれている状況がわからないだけか猫は呑気だった
「これで子猫は何匹目かしら?」
「うっ、でもこの子1人だし」
「なら仲間でも見つけりゃあいいだろ?」
「この辺りはおっきい犬とかばっかりだもん」
「なら里親でも探すかぁ?」
「この子くらい私面倒見れるよ」
団員の言葉に必死に返すリーリェの姿は滑稽なもので、まるで親に強請り続ける子供の姿そのもので、彼女が拾ってきたものに関してこうして引き下がらないのが基本で、結局がみんなが折れる形になる
「リーリェ、捨ててこい」
そういったのは団長であった、流石に団長命令は絶対だが拾ってきたものに関しては例え団長だとしてもいうことは聞かない彼女は小さな両手でその子猫を抱きしめていた、ウボォーギンはそんなリーリェの襟首を持ち上げて猫とリーリェをみつめた
「ンなちっけぇのお前じゃあ世話できねぇよ」
「ウボォーが食べなきゃ大丈夫だもん」
「ンだと!?そんなちっせぇ肉誰が食うかよ」
言い合いをする2人に全員が頭を痛める、正直なことを言えば許可してやりたい気持ちもあるがそうすると全部をしなくてはならなくなる
そうすればアジトは猫で溢れてしまうどころの話では無くなってしまう、巷を脅かす盗賊集団が猫集団に変えられてしまってはとんでもない
黒色に少し白の混ざった子猫をクロロはみつめた
「もう一度いうぞ、捨ててこい」
「聞こえないもん」
頬を膨らませ、如何にも不機嫌だとアピールする彼女にパクノダが優しくいう
「私達もできたら飼ってみたいけど、子猫の世話を出来るほど私達も暇じゃあないのは分かるでしょ?」
「…お仕事中でも、この子連れてけばいいもん」
あぁいえばこういう、こういえばあぁいう、これが他のメンバーならばみんなとっくに限界が来ておりすぐに喧嘩に発展しかけてコインで終わるが
子供すぎるリーリェには無理だった、コインだとしても勝ち目はない…何故ならリーリェには幸運がついているからだ、どんな困難に直面しても、どんなことが起ころうと絶対に彼女には幸運が回ってくる、それこそ旅団のコイン決めでは一度も負けを知らない
一度フェイタンとのコイントスでフェイタンがズルをしたがそれは可笑しなようにコインが最後はひっくり返りリーリェの勝ちとなった
それを見て、誰もコインで勝てる気がしなくなったのはいうまい
「リーリェそいつ連れてきたのはいいけど、親猫が探してンじゃない?」
マチのその問にリーリェは首を横に振って猫を見つめていた
大方捨て猫だったのだろう、見た目もこの辺にしては綺麗な方だった
大きな瞳な小さな体愛らしいその見た目はリーリェを落とすには簡単なことだっただろう、だが他のメンバーは甘くなどない
「それに親猫がいたら親猫も連れてきて保護してあげたらいいよ!」
満面の笑顔でいうリーリェに全員が頭を抱える、どうして子供はこんなにも真っ直ぐなのだろうかと
もう少し成長しており情がもっとなければリーリェを厳しくできたかもしれないが、リーリェと出会った時からメンバーにはまた新たな家族としての情が芽生えた
それは父性や母性も含めたものだろう、時に友のようにも接しそして何よりも彼女の兄や父、姉や母のように接してやったのは、彼女が蜘蛛たちにとっての大切な後継者のような子蜘蛛であるからだろう
「はぁ…お前が連れてきた犬猫は全部、誰が大きくなるまで面倒を見て里親を見つけてきたと思っている」
クロロの言葉はアジト内に広がった、これには流石のリーリェも言い返せないのは当たり前だ
それもそのはず、リーリェのもってきた猫に犬は全部クロロがそれなりに大きくなるまで育ててやりキッチリ動物病院まで連れていき去勢にワクチンにとなんやらして、そして最後には里親まで探しているのだから…それも年に多ければ5.6回も
「でも、団長がいいっていってくれたし…私も面倒見てるよ?」
「遊ぶことだけが面倒を見てる訳では無いだろう」
「…おっ、お散歩もしてる」
「あぁ、たまにな」
段々としぼんでいくリーリェの声に今日もまた団長が押しているが負けるな…と全員で予想する
いつもそうだった、団長には口では勝てないが最終的にリーリェの悲しそうな顔を見ては許してしまう、例えどんな悪事だろうと、例えどんなものを拾ってきたとしても、可愛くて仕方ない団員であるからと甘やかしてしまう
「も…もう、クロロなんて嫌い!」
ついに言葉が出なくなったリーリェは団長にそういったと同時に、グサリっと大きな音を立てて団長の胸あたりにはまるで漫画の吹き出しのようなものが突き刺さっていた
ついに力の制御も忘れて能力を出してしまったかと全員がため息をついた、リーリェの能力は少し厄介だ…特に団員全員に対して、もしリーリェの吹き出しからの言葉に少しでも心が動いていたらそれは深く突き刺さり頭の中でぐるぐると回る
まるで洗脳のようにそれは心や脳を侵食していく、ふと団長を見ればまさかの三角座りに顔を埋めてぼそぼそと何かを呟いていた、この男もしょげると何ら面倒なのだとみんな知っていた、だがしかしそうなったとしても止まらないリーリェの子供らしい暴言はクロロに刺さっていく
「バカ!クロロの意地悪!大嫌い!ハゲ!前髪が後退して死んじゃえ!お洋服に染み付くってパクたちに怒られちゃえ!」
「…はぁ、誰が止める?」
パクノダは冷静にそういってみれば全員が横を向いた、そりゃあ誰だって嫌なことだろうが止めねばならない
子猫は呑気に欠伸をして飯はまだかと言ったような顔をしている、なんとも図々しいやつだった
「リーリェあんまりそう団長をいじめちゃダメだよ」
ふと聞こえたその声はさっきまでいなかった道化師だった、リーリェの肩に手を置いて猫を眺めながらヒソカはなんとかリーリェを落ち着けようとさせる
ヒソカはリーリェを団長とは真反対に何処までも甘やかせるため全員が危険視した、そこに甘えるリーリェにはヒソカの本性を教えた所で信じない上に聞く耳も持たないだろう
「それに猫なら僕が引き取ってあげよう」
「ほんと!」
「あぁ、勿論だとも…会いたくなったらいつでも僕の部屋にこればいいだけだからね」
「やった団長!ヒソカがいいって!」
シズクのデメちゃんに吹き出しを吸い込んでもらいながらもクロロは少しだけまだショックだったようだが、その言葉にまた反論してしまうが先に折れたのはやはり団長だった
「…はぁ、分かったもういい」
その言葉をいえばまるでリーリェの瞳は宝石のように光り輝きクロロの元に走り出して抱きついた
悔しきかな家族としてもこうされるのは大変嬉しいものではあるが猫の面倒はどうせ自分が見なければならないのだと思えばため息が出そうになる
「クロロありがとう、私クロロのこと大好きだよ」
そう言われてはもうなんとも言えないと大きな溜息をつきながら外を見つめた
団員たちの哀れむような視線を受けながら猫に触れようとした途端に強く噛まれた
団員は思わず笑った、リーリェは慌てて止めに入った、クロロは…もう二度と拾ってこないでほしいと願ったのだった。
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