しけんの始まり
キルアの番号札をみれば[99]と書かれていた
入口のほうからはもう300番あたりをいっているのを聞いて、結構前に来たのかそれとも人が一気にきているのかと考えたがその両方である可能性もあった
「なんだよリーリェは66番か、俺のが早いって思ったのにな」
「キルアちゃんは一人だけど、私は二人がかりで来てるから仕方ないよ」
少しふてくされたような顔のキルアを見ては胸を撫でおろす、数年前とあまり変わった様子のない姿は安心感があり、体調をみても良好そうだった
その証拠に先ほどトンパからもらったばかりのジュースは空っぽになっていた
「ねぇ、それやっぱりなにか入ってた?」
「まぁね、毒?かなシャドーが気づいたから助かったけど気をつけろよな」
『ガキの言うとおりだぜ』
「ごめんね、だって優しい人だったから」
柔らかく笑う彼女に緊張感が感じられずにキルアも呆れたような顔をしてしまっていた、だが彼女もまた変わらないと思われていた
続々と人が増える中で、大きな悲鳴が聞こえたことに振り返る、中心部には身長の高い変わった格好の男44番、トンパからの説明で聞いてはいたが奇術師ヒソカ、去年も受けていたが試験官を殺したために不合格にされてしまった男
「あーら不思議、腕が消えちゃった」
そういった先のヒソカの目の前で膝から崩れ落ちる男の両腕は失われており、この先の試験は困難なものだろう
「気をつけようね、人にぶつかったらあやまらなくちゃ...ねぇ」
ヒソカの視線が一度外れて奥にいたはずのキルアとリーリェのほうを向いたのが一瞬であったが気づく、目を細め品定めするような蛇の瞳に背中には嫌な汗が伝った
キルアは特に気にした様子もなかったのか、それとも気づかず自分だけだったのかと思わずリーリェが思っていればまたすぐに変わったベルの音が鳴り響いた
耳に響くそれはいやにうるさく、それを持つ男はこの試験のまた一人の役割を持つ者だというのが理解できる、キルアもいつの間にかまたジュースを数本手に持っており、試験には興味もなさげだった
「ではこれより、ハンター試験を開始いたします」
落ち着いた声はそういって、説明を続けていき前のほうがゆっくりと歩きだしたのを見てキルアを待てばジュースを飲んでいるためか座り込んでいたのをみて声をかける
「ねぇ、キルアちゃんは歩く?」
「んなわけないじゃん、何のためのこれだよ」
「..じゃあ私もシャドー手伝って」
『..おう、おいガキそれよこせよ』
「相変わらずお前リーリェのシャドーと思えないくらいむかつくよな」
そういって言い合いそうになる二人をみて苦笑いをする、なんだかんだといえば自分たちは一番最後のほうにいるじゃないかと気づく、そろそろ動かねばならないと思い地面をみれば黒い水たまりのようなものは白い歯をみせた
『さて、試験だぜリーリェ』
「うん、キルアちゃんも準備っていない!!」
離しているすきに先にスケボーでいってしまったキルアに思わずショックを受けつつも自分のスケート靴のようなそれの紐を強く結びローラースケートのように足を滑らす、周りから見ればそれはまるで氷の上を悠々と進むスケーターのようなものだろう
続々と抜かしていけば誰かと話をしているらしいキルアに、知り合いは結構ここにいるのだろうか?とおもってしまう
よくよく聞けばスケボーは反則だの持久力のテストだのと聞こえる、それを言われれば自分も同じでダメなことなのだろうか?と思い少しずつ近寄る
綺麗な金髪の男性に背の高い自分よりも10個以上は年上そうな男性、そして黒い髪の毛を上に伸ばしている歳が近そうな少年の三人グループと話していた
「ねぇ君、年いくつ?」
「もうすぐ12」
「あれ、キルアちゃんどうしたの?」
「うお!女の子!?」
隣を滑れば女というのが珍しいのだろうか大きな声を上げた男性にリアクションがいちいち濃い人だと思わず苦笑いする、隣を走るその金髪の男性はソレを見つめ続けるのに少しだけ目を背けた
「やっぱ俺も走ろっと」
そういってスケボーから飛び降りたキルアに男の子は「かっこいー」と声を上げたのに、確かにうらやましく思えたリーリェは男の子に声を掛けられる
「ねぇねぇ、名前は?」
「私?」
「うん」
「リーリェっていうの、あなたは?」
「俺はゴン、よろしくね」
そのまぶしい笑顔に思わず昔初めて出会った頃のキルアを思い出した、お互いに友達がいなくて初めてそう呼びあえると思えたキルアの笑顔は太陽も負けるほど眩しいと感じたほど心打たれるものだった
「オッサンの名前は?」
キルアの声に見れば男は声を荒げて言う
「これでもお前らと同じ10代だぞ、オレはよ!!」
その言葉にきっと周り全員が驚いたことだろう、一瞬ソレさえスピードが落ちたのだから
なんだかんだと言いつつもゴンとキルアに挟まれながら話をしていたら様々な話をする、年が近いだけあって話すことも多かった
スピードはずっと同じままだが何時間何キロ走ったかはわからないが一時間二時間は優に超えていることだろう、鍛えてはいても長いと感じる
一向に出口らしいものも見当たらずに話をしても体力は消耗されるだけだとも思わるがこの程度ならばまだ平気だと思った時に、レオリオの足が止まり鞄が地面に落ちた
足がゆっくりと止まった彼に三人して足を止めてしまう
「レオリオ!」
「ほっとけよ、遊びじゃないんだぜゴン、リーリェ」
そういったキルアの言葉は適格だった、足を止めたことにより下にいるソレも口を開いた
『お前まで落ちてぇのか』
「...そんなことないもん」
だがどうしても足は動かずにレオリオをみつめた、キルアの背中はゆっくり遠くなっていくがレオリオの声が小さく何かをいっているのが聞こえたと思いきや声を張り上げた
「絶対ハンターになったるんじゃーくそったらぁー!!!」
活気あふれたその声に鞄を置いていったレオリオに目を丸くすればゴンは釣り竿で器用に鞄を取ったのをみて小さく拍手すれば恥ずかしそうに笑う、ここであきらめれるほどきっとみんなプライドは落ちていないはずだと思っていれば、もどってきていたのかキルアがゴンに釣り竿を貸してくれなどと話をきいて思わずいってしまう
「あぁ、ずるい私も私も」
「リーリェのスケート靴貸してね俺もしてみたい」
「うん、じゃあ約束ね」
「あっお前ら二人ずっるいの」
なんて試験を受けに来たような緊張感もなく三人でまた話ながら走り始めた
あとなん十キロあるかももう考えることはなかった
そう思っていれば長い階段がみえ、ペースが上がるがその分一名の脱落者が出ると同時に次々と脱落者が後を絶たずにでる、三人して変わらずに走っていたはずが先頭に来てしまい目の前のサトツの背中をみつめては足を進める、階段なだけあってもうソレに頼ることはできず靴も形を変えさせて普通のシューズのように歩きやすいものに変えて階段を駆け上がる
「結構ハンター試験も楽勝かもなつまんねーの...」
そういったキルアをみてゴンは少し驚いた顔をするがリーリェも同じように感じていた、これからが厳しくなるかもしれないがそれでも疲れも汗も出ない一次試験はあっけをとられていた
「キルアとリーリェってなんでハンターになりたいの?」
その問いにキルアはすぐに
「ハンターになんかなりたくないよ、ものすごい難関だって言われてるから面白そうだとおもったけど、なんか拍子抜け」
「私も、キルアちゃんに誘われたからかな..あっでも家の決まりで15歳までには受けなきゃだめだったから、ゴンちゃんは?」
「俺は親父がプロハンターだから」
そういったゴンの瞳は実に美しいものだった、語るたびに嬉しそうに緩む頬、そこまで彼を動かしたカイトという男と彼の父が正直な話すごいと思えた
リーリェもキルアも家は普通でなかった、何代も続く暗殺一家に依頼と金次第でなんでもするというリーリェの家は凡人では理解できない、ゴンはまた違う部分で共感のできない家庭だが話をするたびに彼の口から出る人々が羨ましかった、ゴンを知ってゴンを理解しているからかもしれない
「オレも親父みたいなハンターになりたいって」
「...すごいねゴンちゃんは」
思わずそう呟いた声は出口だ!という声にかき消された
前を見れば光を指す外の出口が見えた、ようやくか...と思わず思い力が少し抜ける
大体の人数が階段を上がり、サトツの動きが止まったことにより三人で先頭のほうで待っていれば、頃合いをみて説明が始まる
ヌメーレ湿原<通称:詐欺師の塒>という場所、どうやらここを通って二次試験はいくらしいのだが、大変危険な生物が数多く生息しており注意をしなければ騙され殺される。
そういって森をみても霧事態が濃く、迷えば即、死に至ることだろう
「だまされることのないように注意深く、しっかりと私の後をついてきてください」
サトツの言葉をしっかり胸にしまいこんだリーリェをサトツがみつめた時に先ほど出てきたばかりの場所から声が上がる
「ウソだ!!そいつはウソをついている!」
そういって出てきた男はサトツは本当の試験官ではないというが、その途端に耳元で声が小さく囁く
『ありゃあサルだ、獣の匂いがきついぞ?』
「わかってるよ」
二人だけにしか聞こえないほどの声でそういっていれば全員がざわつき始める、サトツを疑う者も少なくないだろうが先ほどの距離を走るほどの苦労をしてまでするのか、など様々な面を考えればすぐにどちらが本物かなどとはわかることだが
突如飛んできたカードに思わず動いてしまい、数枚地面に叩き落とし2、3枚がサトツを向かったが綺麗に彼は指先で取る、騒ぎ立てたそれは顔にトランプが刺さり、残されたぼろぼろのふりをした人面猿は逃げて行ってしまう
ヒソカをみつめれば楽しそうにしているばかりで、サトツは冷静にまた説明を続けていきまた一次試験が再開を始められ走り始める
また靴を変えていれば隣の視線を感じて見つめた
「リーリェのソレすごいよね」
「うん、いろんな靴に変形させれるんだ便利だよ」
「いいなぁ俺もそんなのにしようかな」
「じゃあ、今度ゴンちゃんにもあげるね」
「またお前ら二人で話して隠し事かよ」
「違うよ、靴を上げるって話だよ」
「ふうん」
聞いてきた割に興味のない返事に思わず笑って足を進める、一次試験はまだまだ終わりが見えない