Witch prank


ピンになって売れてから、休む暇など無いそれは土日祝もクリスマスも元旦も全てであり朝から夜まで仕事をしている。
その日も朝から人気お笑い芸人白膠木簓はラジオの収録テレビの収録雑誌インタビューと撮影などといったことに追われ続けた。
とはいえいつもと違うことは一つだけある、それは白膠木簓は誕生日であり行く先々の収録先やらでケーキやら差し入れやらで甘いものを口に運ぶ機会が多かったことだ、簓は甘いものは嫌いではないがそこは人間であり限度がある朝からケーキをもう4つは食べた簓の胃の中は生クリームで埋め尽くされている

「俺も若ないってことやなぁ」

独り言を呟きながらようやく休みの貰えた明日に備えてコンビニで適当にツマミとレモンチューハイを買っていく。
休みの日は極力家から出ずにダラダラと過ごしたいと思うようになったのはいつからだったか、自身のケータイはバイブモードとはいえ鳴り止む気配はない程に震えている
1件1件返事を返すのも面倒くさい等と頭の隅で考えつつも返さなければいけない者には返さなければ…と文句を吐き出す
夜中近くとはいえハロウィンでもあるその日は街中は騒がしかったそれを横目にマンションのエレベーターに乗って上がっていき自分の部屋の鍵を滑らせて部屋に入る


「ただいまーっと」

「おかえり簓」

普段は決して帰ってくることの無い返事が返ってきたことと消えてるはずの電気がついていることに目を丸くしかけながら玄関先で立ち尽くす仮装した女

「な、なんで自分がおんねん」

「仕事一息ついたし、恋人の誕生日くらいは祝いに来るやろ」

「鍵は!」

「下の管理人に言ったらすぐ開けてくれたわ」

「ガバガバやんけ」

思わず呆気を取られたが、数ヵ月ぶりにみた恋人に少なからずは安心した
それでなくとも互いに忙しい身であるため顔を合わせるどころか連絡さえも出来ていない
安物の仮装を身に付けて待っていた恋人の腕を引いて抱きしめる、鼻いっぱいに広がる使い慣れたローズ系の香水の匂いにまたひとつ胸が熱くなる

「お疲れさん、ご飯しとるから食べや」

「んー、ほんま自分完璧やわ嫁さんはよ来てや」

「考えとくわ」

「はぁ…そういう所も好きやわ」

冷た過ぎず甘すぎない、そんな恋人とのやり取りももう2年目かとふと思い出す
人気に火がつく前に出会った智華は気が強く男勝りで負けん気が強すぎた、カンサイの女だから当然だとしてもオオサカは過激な街で田舎娘にはキツい場所だった、揉め合いを止めたのは簓だったが感謝をされることも無い、そんな女に一目惚れをした
目の前で鉄板の上に粉を流しながら上にキャベツや肉やらなんでも乗せる彼女を見ながら(カンサイ人やねんなぁ)などと思いつつ出来上がりを待った

「いつそれ脱ぐん」

「脱いで欲しいん?」

「いや、どっちゃでもええけど珍し思って」

「…たまにはええやろ」

そういって魔女のコスプレをした智華が胸元の服を下にずらしたのを思わず見つめてしまい、やられた…などと思い目を背けた

「えっち」

どっちがいうとんねん。
なんて言う言葉は出なかった、その通り過ぎるからだ

空腹が満腹に変われば洗い物をしつつテレビを適当に付ける
毎度お笑い番組を見てはこいつらのネタは面白いやら、ここはもうあかんな。等と考える
1人である故に様々なものに目を付けてそして注意を払わなければ行けないのだ、テレビ業界は未だに厳しいモノで消える時は瞬時だがそれでも消えずに残っているのはそれだけ白膠木簓は人を魅了できる才能があるからだ

「簓、お風呂出来てるから入ってきてええよ、私入ってきとるから」

「はいよ、パジャマ出しとって」

そう言い残し風呂場に急ぎ足で向かい洗濯機に衣類を放り投げようとしたが、その前に先に入っている服たちを取りだした

「…アイツなんつーことしとんねん」

下着やらも全て入れていることに思わず唾をごくりと飲んだ、今夜は酒も何もいらなかったか…と内心思いながら風呂場に足を進めた
男の身体は正直な物でそういう考えになれば、ソコは熱を持ち今か今かと楽しみに待っている、身体をしっかり洗ってはいるが臭くないかと何度もチェックをしてデリケートゾーンやら脇やらの体毛チェックまでしてしまうのは、未だに初々しいものだった
タオルで体を拭いて出てみればパジャマと頼んだはずがボクサーパンツだけがしっかり置かれていた

「ほんまずるいわ」

ニヤニヤしてしまいそうな口元を抑えて歯を磨き髪型を手櫛で軽く梳かす
下着を履き直してふと気づく、新品で買ってきたらしいそれに少しだけ嬉しさがさらに上がる
リビングの電気も小さくなり、寝室にいるであろう恋人の元に足をはやめた、少しづつ大きくなる心臓の音にいっその事耳栓をしたい程だ
これだからこういう日はダメなのだ、寝室の扉を開けてベッドに座る恋人の顔を見た

「トリックオアトリート」

魔女の帽子を外して黒い際どい魔女ワンピースと薄いニーハイだけを履いた彼女がそういうものだから勢いよくベッドに仰向けに押し倒す

「両方やろ?」

目を見てそういえばふと背けられる、それが気に食わなくてリップグロスで濡れた唇を奪う、リップの味と唾液と先程食べた夕食の味
小さく漏れた声に少しばかり興奮しながら足の間に体を入れる、最初からその気だった事さえも興奮材料でため息が出そうなほど年甲斐も無く噛み付く

「簓」

「ん?なんや」

「気持ちいい」

「もっとシたるやん」

ネイルが施された細長い指を舐めて、服だったものが今じゃただの布切れに変わり、その布切れから零れ落ちた乳房に触れる
いくつになってもこの行為を気持ちよくさせるのは楽しむ心だと感じた、自分の行動ひとつで甘い声を上げて汗やら愛液やら涙やら体液を流す姿は自然に美しいものだ

「なぁ、69しようや」

「…それは、誕生日特権?」

「智華の好きな簓くんからのオネガイやん」

普段ならば絶対乗らないその提案も素直に飲み込むのは誕生日だからなのか、薄いデニールのニーハイから伸びる白い肌
下着を外しているために見える秘所がヒクヒクとまるで誘い込むように動く、見つめるだけをしていれば下で口を動かしているはずの恋びとが何かを言いたげに見つめた

「そんな顔せんでも可愛がったるやん」

「別にそんなこと言ってなっ、あっ…やぁ」

「ほら手、止まっとんで」

指や舌で愛撫をすれば鳴く姿にペニスはキツそうに悲鳴をあげる、下に集中しているためか口が疎かになる智華の尻を少し強めに叩けばさらに甘い声を上げて震えさせた
目の前にあるものはそれはそれは甘い桃のように見えて仕方がない。
白い尻が叩かれる度に少しだけ赤く染まる事さえ興奮して唾が溢れて仕方がない

「あー、まじ気持ちええわ」

「ンンッア、簓ぁ…も、や」

「なんや堪え性のない魔女やなぁしゃあないでほんま」

もう無理だと声を上げた智華の下半身から顔を離して体を起こしベッドに横たわる智華の唇を奪う、塩っぱいお互いの愛液の味は美味しくもない、だが互いを高めることには最適でありキスをしながらも簓の手は智華の足を撫でる
頭の後ろをがっちりと掴んではキスから逃がさないように伸ばした腕は男らしく智華は溺れるように簓をみた

「簓、好きだよ」

「知っとるわ」

片手でゴムを探す簓の顔にそう呟いた智華は嬉しそうに布団を手繰り寄せて笑う
子供のように無邪気で、けれど女として何処までも魅力的なこの女には勝てまいと思いながら自身の勃起したペニスにゴムを被せた、そろそろ既成事実でも作ってしまいたい気もしたがそこまで我儘を言うものでもないかと落ち着きを持たせようと必死だった
そうこうしてる簓の気も知らずに空いた片手やら身体に唇を寄せては小さなリップ音を立てていた

「ほんま自分舐めてるやろ」

「好きやろ?」

「当たり前やろがっ」

「ンッッ、やっささ…はげしぃっアッ!」

勢いよく雄を穿けば大きく声を上げた、必死に腕を伸ばして背中を抱きしめる姿は親に縋る子供のようで情けなく愛らしいものだった
温かくぬるやかで蠢く膣内の熱に全てを奪われそうな気がして、簓は大きく息を吐いた

「ささら、ささら」

朧気に名前を呼ぶ様が下半身の熱を更に貯める、大人の成人した女が自分の下で泣き喚き、求めて狂う姿がどうして人をここまで駆り立てるのかと思えてしまうほどには心地がいい。
伸ばされた手を繋いで指を絡める、耳元で聴こえる喘ぎ声も、熱すぎる二人分の熱に溶かされそうで酸素を求めるように唇を何度も重ねる

「智華っ、好きやで」

「私も好きや、大好きやでッアァ」

愛してるのだと確かめるように最奥にと願いながら射精をした
射精後の身体を動かす事は出来ずに智華の上で寝るように抱きつけば頭を優しく撫でられる、そうだこの女は上手いのだ
甘やかせることも甘えるのことも、だからこそ行為中は甘えるくせに終われば沢山甘やかすのだろう、母親のように頭を撫でては時折額にキスをする
2回戦ができない訳では無いがやる気が起きないのはこの空間が気持ちいいからだろう。
右手を下半身に伸ばしゴムを外してゴミ箱に投げようとした

「は??」

結ぼうとした先で思わずいつもは開いてるかわかりもしない目を大きく見開いた、下で寝転がる智華は楽しそうにケタケタ笑う
それもそうだ、つけていたゴムが避妊具の意味を成していないのだ先の方に小さく穴が空いておりそこからたらりと白い液体が溢れていた

「すまん智華、俺そんな気づかんくて」

「簓」

焦って言い訳かのように早口で話す簓に智華は一言だけ名前を呼べば固まった、冷や汗が垂れて顔が少し青白い簓に智華はいう

「ハッピーバースデー」

「………あほやろ」

簓の肩の力は抜けた
この女はやはり抜け目がない恐ろしい魔女だった、馬鹿らしいと思いながらベッドに横になる簓の身体にぴったりと寄せて楽しそうに笑顔の智華にもう何も言えなかった


「来年は3人で祝おうね」

その言葉にはYesとしか答えようがない、少しずつ熱を持ち始めた下半身にゴクリと唾を飲み込みまた智華を押し倒すまで5分はいらなかった。



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