お母さんな
毎週金曜日21時、小汚い男二人の家に上がり込む
静かなそのワンルームの部屋でテレビをつけながら夕食を作る、それがいつの間にか当たり前になったのはいつ頃だったか、何となく料理を作るのが好きになってそれを食べてくれる人がいて失敗しても何があっても不味いも残しもせずに頬袋いっぱいのリスのように含んで食べるその姿を思えば自然としてしまう
「ただいまー!」
大きな二人の声が聞こえて小さな玄関に2人が流れ込んできた
毎日変わらない泥だらけの姿で帰ってきたその2人にまた練習後も2人で自主練してたのか…と察する
「おかえり雷市とおじさん」
「おー、今日カレーか」
「早く食いてぇな」
鍋の中を覗き込んだ二人をとっととシャワーに行けと言いながらご飯の炊き上がる音を聞く
花音と雷市は小さな頃からの幼馴染だ
三島達よりもずっと長いこと共にしている、それそのはず花音は昔から父子過程でありその父親が何故かこの雷市の父親轟雷蔵であった、弁護士である父親とホームレス落ちしていた小汚いこの親父がなぜ友人であったのかもはるか昔の話になるが幼馴染なのだとか。
父親が帰ってくるのが遅いために花音は金曜日は毎週遅くまで居るようになった、食費を浮かせるためであり男同士の料理も中々味気がなかった所に料理上手の花音がいたおかげで2人は飢えはあまり無くなった
「雷市洗濯物ちゃんと出しといてね、明日洗濯してあげるから」
「わかった」
野球をしている時と雷市は違う、女性慣れはしてないし知らない人とは話せないしチームメイト相手でも緊張しやすく普通に話せるのは本当に仲がいい人くらいなもので、高校でクラスが違うため知らないが友達も増えた気はしない
少しばかり心配をしているが雷蔵は別に気にすることじゃないと言うばかりだった、母親がいない家庭を持つせいで母性などとは分かり兼ねるが親のように少しだけ気になってばかりだった
「それでミッシーマが、サナーダ先輩が」
3人で小さなテーブルを囲む時雷市は楽しそうに今日の部活の話をする、野球部のマネージャをすればもっと分かってやれるんだと理解しながらもそれをすると雷市離れを自分ができていない気がして遠慮した
楽しそうに笑って話してカレーを食べていくルーの分量に書いていた通りならば8人前は余裕であったものは平らげられていき1人前も残ってないレベルで家庭で置くにしては少し大きな炊飯器も空っぽになった
満足そうに寝転がってる二人を見て洗い物をしてやりコインランドリーで洗濯をしたまま、未だに畳まれていない洗濯物を片付けていく
「それは俺がする!」
「別に今更2人の服とか下着なんて気にしないよ」
「そ、そういんじゃ…カハハ」
「花音察してやれよ、年頃なんだぞうちの息子は」
「んー、わかったありがとね雷市手伝ってくれて」
「別にゼンゼン」
そう言いながら二人並んで正座をして洗濯物を畳んでタンスの中に片付けていけば時刻はいつの間にか23時をとっくに過ぎていた、携帯を覗いてみれば父は今日は遅くなるから泊まるなら家に帰るなり1人で頼む。と書いていた
「迎えくるってか?」
「ううん、今日は遅くなるから泊まるか帰るかしなさいって」
「泊まるか」
「…狭いじゃん、あとおじさん臭い」
「カーッ、いつの間にか思春期の女の子みてぇな事言いやがってよォ」
「思春期だもん」
そうはいうが帰るなら2人は送ってくれるだろうし、泊まることも別によくある事だから雷市の服を借りるだけだと思いながら時計を見れば0時前、学校終わりで疲れた今はもう帰るのも面倒になって狭いシングルベッドに入る
「泊まります」
「花音服貸すな」
「ありがと雷市、久々だしコンビニ行こう今日はプチパーティしよ」
そういえば2人は目を輝かせる、あぁお小遣い制の財布には少しダメージだが何となくこの親子に対しては文句は出ない
餌付けをしたくなってしまうのだ仕方ない、どうせそのままお菓子を食べてジュースを飲んで映画を見て騒がしくして朝起きれば二日酔いの雷蔵と、朝早くから自主練に行く雷市の名残をみながら楽しんだ頭で残骸を片付けていくのだろう。と考えながら足は軽くコンビニに向くのだった。