魔王軍魔術師と勇者軍武闘家


人間は哀れで愚かな生き物だと数千年生きてきた大魔術師は思った。

3年前人界は魔界と繋がった、その扉から溢れ出てきた魔物達の手により人々は傷つき王国は魔界に対して攻撃を始め戦争が始まった、だがしかし人界の武器が食らうのはごく一部なもので世界各地に隠れていた魔術師や魔法使い等力を持つ者たちの力を借りるようになった。
魔王クラウス率いる魔王軍は次々と村を乗っ取り国を乗っ取ろうとしていく中で複数名の勇者と呼ばれる特別な力を持つ若者たちが集められ、魔王クラウスを倒すことになったのだ
そして18歳を迎えた少女、智花も勇者の1人だった

「本当にこれ攻撃力上がっているんですよね」

「パラメーターではちゃんと上がってるって、僕のマント貸したいけど武闘家って装備出来ないんだもん仕方ないじゃんか」

「別に貧相な体なんだから気にすることねぇだろ」

「うぅ、チェインさん前の装備は」

「売ったよ、馬鹿猿が売り飛ばしてスってた」

ワイワイガヤガヤと騒がしい勇者一行は時折ピンチの村を救いつつも魔王の城に向かっていた
北の大きな山に聳え立つ巨大な城は3年前のあの日に出来た魔王城であり近隣の村は燃やされこそしなかったものの魔王の支配下であると聞いていた、人間は皆奴隷にされ肉体労働をさせられ過労に苦しんでいると
王はそれぞれに願いを叶えてやると言った、4人はそれぞれ願いを持ちながら旅をしているのだ。

「ようやく…城につきましたね」

「ここからは気を抜かないようにしましょうね」

「おうよ、陰毛如きに言われんでもわかってんだよ」

大きな扉を開けば広すぎる玄関に警戒をしつつ足を進めた、城に着く前に周りの村はやはり異様な程静かなものだった
それが逆に気味が悪く警戒する原因にもなり、道中仲間になったツェッド含め5人は背中をあわせ当たりを探り始めようとした時だった

「勇者さんたちご苦労さん、クラウスの所にはこれ以上は行かせられないんだすまないな…絶対零度の睡眠(スエーニョデルセロアブソルート)」

その言葉と共に強い眠気が5人を襲いその場に倒れた、だがその直前に智花は男の顔を見て必死に考えていた顔に大きな傷、癖の付いた黒髪、赤い瞳、大きなローブを羽織った男
名を大魔術師、スティーブン・A・スターフェイズであると。


「これは一体どういうつもりなのですか」

両手を拘束され、ベッドに寝かされていた智花は目覚めると同時に手首を縛る氷の手錠を外そうとした
炎の技を使おうにも技は出ることはなく、今ではただの非力な少女だった
服を乱された形跡はないがセクシーランジュリーのようなビキニアーマーを着た武闘家など技が使えなければただの餌のようなものだ

「まぁ僕の話を聞いてくれよ」

胡散くらい笑みを浮かべる目の前の魔術師を強く睨むもまるで赤子を見るような目付きで男は彼女の頬を撫でた

「花嫁になって欲しいんだ」

「は?」

男の言葉に智花は目を丸くして思わず口を情けなく開けてしまった、人界の言葉ではそうじゃなかったか?と考える魔術師に智花は混乱した
何を言っているのだろうかと、けれどスティーブンは真面目そうにもう一度言葉を発した

「結婚して欲しい」

「可笑しいでしょ!私は人間あなた魔術師、お前に敵対してますしそもそも初対面だしこんな事するのにおかしいですよ、というかなんで私ですか嗚呼もうレオくんは、ザップさんは、チェインさんは!ツェッドさんは!」

早口でそうまくしたてた少女にスティーブンは楽しそうに目をキラキラとさせて見つめた後にベッドの上で拘束される彼女の腹の上に股がり顔を掴んだ
智花の紫混じりの赤い瞳を深く見つめた後、唇を喰らった舌が唇や歯を撫でる感覚に智花は驚きながらも必死に抵抗をしようと噛み付いた

「っ痛いなぁ、お転婆だな君」

「意味がわかりません、そもそも人間達を襲う貴方達のような悪党の花嫁なんてなるわけないです、仲間をどうしたんですか」

「そればっかりだな、君の仲間は無事だよ…というか交渉を飲んでくれた」

「交渉…?」

「そもそも魔界は君たちを襲ったりなんてしてない、混乱した君たちの王様が俺たちの仲間を大勢殺したせいだろう…なのに君たちはさらにクラウスの命まで奪おうだなんて、全く恐ろしいのはどっちなんだよ」

「で、でも近隣の村は人は消えて…これも貴方たちの仕業じゃ」

「近隣の村の、あぁあの人達ならクラウスの城の世話係してくれてるよ村の土が悪くなったり作物が育たなくて国に酷い扱いされてたっていうから、クラウスが改良してあげた上で一部の人間は此処で働いてるよ」

この男の言葉は智花を混乱に突き落とし続けた、困惑しながらも智花は必死に頭を動かした
仲間たちは無事だとしてもこの拘束している事実は覆せないものだった

「君の仲間は願い事を聞くことにしたよ…あの心眼の僧侶の少年の妹の足は少し時間がかかるけど魔界の医療だと治るはずだろうし、あの銀髪はえらく魔界の女の子気に入ってたし…黒髪の子も話をしたら魚の子も納得したよ」

だから後は君だけだ智花
と言われてしまえば固まる他なかった、だが引き下がれない理由が智花にもあった、智花の家は昔から有名な武闘家の一族だがここ数年は男の子がいなかった、才能はあれど女ならば…というのが祖父達の考えであり、それを知った王が才能がある男を国から譲るという話だった
そしてその男と智花が子を成せば問題は無いだろうと、大人たちの身勝手な考えたが智花は反論する事は出来る立場ではなかった為黙って従った
もしそれを破れば家はどうなるのかと彼女も考えたからだろう

「じゃあ尚更僕と子作りしたらいい、こう見えてパラディンと僧侶だから魔術魔法なんてお手の物さオマケに近接戦も、それに君が格闘家なら更に強くなるんじゃないか」

そう言いながら剥き出しの智花のお腹を指で指したスティーブンに智花は顔を真っ赤にさせた
また近づく顔に智花は必死に顔を背けるも固定をされれば逃げられない、アーマーの金具を外そうとするスティーブンに思わず涙が溢れ出てしまいそれには思わず手を止めてしまう

「わたし、知らない人なんて、いやです…こわい」

「えぇ…はぁ分かったさ無理にしても仕方ない、けどいつか君の処女を奪う、そして心も…だから覚悟しててくれ僕の花嫁様」

「私まだ貴方と結婚するだなんて言ってません!」

「魔術師だぜ?未来なんて見えるんだよ、だから君は近い内に惚れるさ」

だから今日はここまでにしとくよ、と言葉と同時に手首の拘束が外れ上から大きなシーツが降ってきて智花を隠した
いつの間にか消えてしまったパラディンであるというスティーブンという男に智花は未だに心臓が大きな音を立てているのを知らないフリをして置いて言ってくれた露出度の低い服に袖を通しながら何度も早くここからでなければと考えるのだった

そしてこの話はそんな2人が結婚するまでの話である
それまでの道のりはまたどこかで


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