CATS
猫みたいに気まぐれだった、餌付けをしようとしても黒猫は知らぬ間に奪って消えてしまう
人は彼女を狼だと言うが、女は彼女を猫だと思っていた
口数少なく宙ぶらりんにいつも街を行く
「ねぇチェイン起きてよ、もうお昼なのに」
「んー」
またお酒臭い。なんて内心文句を吐いた
仕事は不明だがそれ以外ならほとんど知っている、黒髪のアジア人チェイン・皇は智花を胸に抱いて眠る
朝方帰ってきたばかりのチェインは智花を見て一言言った
「ヤラせて」
男でもこんなに酷い事を言う奴は中々居ないぞと思いながら寝起きの智花はペロリとひとくち平らげられた
薄いシーツを1枚被っただけの智花は足元にあるであろう毛布を必死に足で取ろうとするも動かれてはゆっくりと寝れないと言いたげに行動を封じられ眉間のシワが寄るばかり
「今日は出来たばっかのタピオカ飲みに行こうって言ったのに」
「もーのめないから」
「キー!自分は朝まで飲んでおいてその態度許せない、私という者がいながら浮気ですか」
「…智花だけだよ」
あ、ずるいそんな顔するなんて
職場の人と飲み会をすると言っていたのはメールのおかげで知ってはいたが、毎回この調子で朝にはデロデロになって帰ってくる、チェインがこんなに酔うのは珍しい上に彼女を潰せるメンツに対してすごいと感じる
少し蕩けた瞳がジトッと見つめられれば先程の熱を思い出して興奮してしまう、これでは朝の彼女と一緒だと智花はチェインの胸を触れた、大きくて柔らかくてふかふかで心臓の音が確かにする
「ねぇ、今日はどこもいかないでいい?」
「じゃあ、何してくれるの」
「智花がしたいこと全部」
「お買い物とタピオカと映画と」
「どこも行かないって言ったじゃんか」
ゆっくりと冴えてきた頭で考えるチェインの声に顔をあげればチュッと小さいリップ音がおでこに広がった
背中を撫でて頭を撫でられて更に足が背中をホールドしてまるでその姿は蜘蛛のよう
チェインがデートの約束を守ってくれるのは少ないがそれで機嫌を悪くしたことはない、智花はチェインにベタ惚れだった
もとより2人はレズビアンじゃない、チェインはスティーブンに好意を持っていたし、智花だって彼氏がいた
けれどナンパをされている智花を助けた時だった、互いにあ、この人好きだと運命を感じたのだ
空気感は特によかった、正反対な2人、仕事は互いに別々だったのも楽だ
「身体だけが目当てだったのね」
冗談交じりにそういえば不貞腐れたのはチェインで、智花の脇腹を擽った、大笑いする智花に調子良くしていたが暴れる智花と同時に2人でベッドの下に落ちる
「おはよバカ犬」
「うん、おはよう猫ちゃんご飯行こうよ」
「ねえ智花」
なぁにと答える前に奪われた唇、キャミソールの裾からまた手が入ってきたことに気づいた智花は即座に掴むもその腕は透明になって消えた、目で訴えれば大きな彼女の目が捉えていた
「もう1回しよ」
やっぱりこれだと文句を吐きたいのにその唇を奪われては何も言えまい、だからこそできる抵抗は背中に腕を回して軽く入ってきたその舌を甘噛みしてやることくらいだった。
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