その時猫は欠伸する

私には好きな人がいます、けれどその人と話したことも殆ど無い、けれだ好きで仕方がない

そんな自分の想い人は同じクラスの心操人使くんだ
個性と見た目のせいで知らない人からしたらヒーローなんて向かないヴィランの様だ、色んな意味でいい個性だなんて皮肉を言われるだろう、けれど彼は誰よりも純粋な人を守るヒーローの心を持っている、入学式の日に鼻血が突如出て止まらなくなった私にハンカチを差し出して「返さなくていいよ」と言ってくれた彼を好きにならないわけがなかった
お礼にハンカチを渡したが、それ以降話もなかった
悔しいが自分の勇気がないせいだ、仕方がない

「お前本当可愛いな」

優しい瞳でそう言いながら彼は頭を撫でる、そう私はとても酷い女で彼の優しさに漬け込んだ

個性【猫】はその名の通り猫になれるのだ
変化と解除と言うだけで簡単に猫になれる自分はある日心操くんが猫好きだと知ってしまった、普通科からヒーロー科に移動なのでは?と噂されてる今彼と接する機会は限りなく0に近いものが完璧な0になる、それだけは避けねばと思い考えた結果彼が猫好きだと言うためにこの個性を使うようになった
放課後18時頃に校舎裏に来てくれる彼は毎日膝に乗せて撫でてくれる、それはもう猫である自分は心地良さに喉を鳴らしてしまう程に

「名前ないのかな、迷子なら探してやらなきゃ…家で飼えないからごめん」

「んにゃ…ん」

「いいよ?って俺の言葉わかるの、えらいね」

普段聞く低い声は誰よりも優しい声になって向けられる、自分自身ではないとはいえ嬉しくて堪らなかった、彼のためなら猫として生活するくらいなんて事ない、けれどいつかこれは覚める夢のようなものであり、彼にいつまでも甘えていても仕方がない

「よろしく」

そんなある日だった、私に奇跡がやってきた
普通科の授業は本日調理実習何とも高校生らしい授業は複数人で作るのだと言われ、余っていたもの同士くっついた結果神は奇跡をくれたのだ、私と心操くんはペアになれた、肉じゃがを作るのは得意だし料理は好きだ食べるのが好きなおかげで定期的に家ではご飯を作るしお菓子ならもっとよく作る

「あの」

「なに」

「手切っちゃからその持ち方ダメだよ」

「そうなんだ、俺料理しないから知らなかったや」

クラスの子達に感謝をしたい5人チームでジャガイモの皮むきを任された心操くんと私は隣同士で包丁で皮をむいていく、男の子だし料理しないんだろうなと感じるような包丁の持ち方は一歩間違えたら大怪我のもとで思わず心配になって声をかけたら素直に言葉が帰ってくる
猫の私に話しかける時と違う優しくない普通の低い声の違いは正直悲しいが自分のせいだから仕方ない

「和泉さんって料理するの?」

「えっ!う、うん好きだよ」

思わず声が裏返っただって仕方ない心操くん話しかけてくるとか思わないもん、私は馬鹿みたいに心臓の音が大きくなって心操くんを見れる訳もなくじゃがいもを剥き続けた、どの班も少し多めの量を作り先輩やほかの人にあげなさいと言う先生の指示だった

「どんなもの作れるの」

「基礎料理なら全般行けるよ、お菓子とか作るの好きだな心操くんはどういうものが好き?」

私すごい人生初こんなに話しかけれてる、なんて内心凄くテンションが上がっているが心操くんはいつも通り少しぼーっとしたような顔で小さく呟いた

「和食、かな…」

「そうなんだ、最近実はね知ったんだけど心操くんって猫好き?」

その言葉に少しだけ肩が揺れて好きな話をされると彼も人間だし少しくらいは動揺とかあるんだ。なんて思っていたら彼の手に包丁がカスって白い綺麗な指先から血が流れた
私のせいだった、慌てて先生に声をかけて心操くんに保健室を付き添おうかと言うもやんわりと拒否された、私のせいだいらない話に声をかけたせいでやってしまった、心配になって先生にトイレ行きます…なんて嘘をついてトイレの中で変化を唱えた
いつもの黒い小さな体で保健室に向かうももう心操くんはいなかった帰ったのかと思いながらいつもの校舎裏をみれば心操くんは一人で立っていた、指先には絆創膏が貼り付けられていた

「ににゃあ」

小さく声をあげれば待っていたと言うように心操くんは柔らかく笑って座った

「お前本当ずっといるんだな」

心配になったから当然だよ、と言いたいがそんな言葉通じる訳もなく今日も心操くんの膝の上で彼の匂いを堪能する、まさに私は変態だ

「さっき和泉さんに話しかけられて正直びっくりしたんだ」

え!もしかして私嫌われてるのかな、なんて思いながら心操くんの顔を怯えたようにみた、けれど彼は決して気持ち悪がっていた嫌そうな顔をしないそして嫌悪感のある匂いもない猫の嗅覚は鋭くて感情の匂いだってわかる
だから彼が猫の時に出会うと絶対気持ちのいい匂いがするのだ

「変だって思われたかな」

「入学式以来あんまり話せてないし」

「…ヒーロー科に行く前には言おうって決めてるんだけど」

何を言うんだろう、思わず?を浮かべていれば心操くんは私の顔を見たあと抱き上げて同じ顔の高さにした

「好きだ、って告白しようかなって」

「え?」

あれ?なんで私体がなんであれ?人間に戻ってる
目の前の心操くんは目を丸くしていた私は恥ずかしさに泣きそうだった、解除なんて一言も言っていないのにどうして個性解除されたのだろうかどうしよう…

「和泉さんの個性ってやっぱり猫なんだ」

心操くんは今まで見た事ないような顔で優しく笑っている、猫に向けるようなそんな顔
私は大声で変化と言って猫になって飛び出した直ぐに解除して調理室に戻って手伝っていれば心操くんがやってきて手伝ってくれるが隣に立たれるだけで死にそうなくらい顔が熱くなる

「いただきます」

その声と同時にご飯を食べていれば、隣の心操くんが小さく呟いた

「俺、実は知ってた」

その言葉に箸を落とした私はもう無理だ、無理だけどやっぱりこの人が大好きだ


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