○○しないと出られない部屋
近頃APEXゲームではおかしな現象が起きるのだという、それは運営側も中々改善できないらしく、例えばパスファインダーが昔みんなに話したレイスのポータルを使った先で見つかった別世界であったりのようなものでその日のAPEXゲーム、智花とクリプトはデュオマッチのコンビになっていた
「近くに敵はいないようだが…奥から銃声が複数聞こえるな」
「うん、裏から回って私達のものにしちゃおうか…どうせまだ始まったばっかりだしね」
のんびりと防具や武器を揃えつつ足並みを揃え2人はキングスキャニオンを走り回り研究所近辺からハイドロダムに向けていた時だった、先に走る智花の前に普段では見かけない建物が1つあったのだ窓から見ればゴールドアーマーとバックパックをみつけ智花は秘かに喜んだ
「ねぇあんな建物あったかな」
「いや、無かったはずだな」
「ゴールドあるんだけど行ってみる?敵もいなさそうだよ」
「…そうだな、ドローンの反応もなかったから大丈夫だろう」
その言葉に頷いてドアを開けて2人で入った途端だったバタン!と大きな音を立ててドアが閉まる、後から入ってきたクリプトは思わずドアを見て開けようもするもまるでロックがかかったように出れなくなり罠だったのだと気づくも攻撃の気配はない
「智花、ここはどうやら罠だったらしいドアがあかない」
「それよりクリプト大変、外で見た景色とここ…ぜ、全然違う普通の家の中みたいだよ」
「そんなわ…け、どういう事だ俺のドローンも反応しない」
「さっきから運営に棄権信号とか送ろうと思って送れないみたい」
ドアを閉めて拡がったのはシンプルなビジネスホテルのような部屋だった、ベッドやソファーにテレビなどもあるがそれがこのゲームではありえない為に不気味であった
そんな中でクリプトはふと思い出す、2週間前からデュオマッチの際男女で参加すると行方不明になり気付けばシップの脱落者として戻されているのだと、そういう罠だったと気付いた時には遅くだがしかし部屋から出られずに互いのアビリティ等も使えないはまた不思議なことで部屋の中を2人で調べ始める
「ねー、何かあった?」
「いや普通に風呂場やトイレがあるみたいだな…ん、何か紙があったぞ」
「紙??」
それはベッドのサイドテーブルの上に乗せられたメモ用紙の1番上に綺麗なまるでパソコンでコピーしたような文字で書いてあった
-相手の太ももに10分顔を挟まないと出られない部屋-
(条件は以上のみ、完了後ドアは自動開き)
「馬鹿馬鹿しいなんだこれ」
「私かクリプトどっちかが10分挟むってこと?」
「はぁ…そんな馬鹿なことしなくても大丈夫だ」
そもそも何のためにそんなことをするだとクリプトは大きく溜息をつき部屋に中を調べる、ポケットサイズの毎回持ち歩きをしているタブレット等も電波が通じる気配はなく繋がらず、ともなればドローンは先程から以ての外
智花の能力は攻撃特化である為に試して見ても扉には傷1つ入らない程だった、隣に立つ智花が困ったように眉を下げた
「あの私平気だし、少し我慢してもらうのダメ?」
「な、それは別にしなくていい」
「じゃあクリプトの太ももに挟んで、私我慢するよ!」
「それはもっとダメだ!」
なんで…と言いたげな顔だったがクリプトとて男であるのだ、それでなくても智花とはよくつるむ仲であり、悪いとは思っておらず反対に信頼さえ置ける人間だとも感じておりそれは彼女を少なからず好意的に見ているからだとも自覚はしていた
その為に余計に反対だった、もちろん自身が彼女に挟まれる事は内心悪くないとは思っているが反対等以ての外であり、男の身体は馬鹿正直になってしまえば軽蔑されかねない、その為にも出来るだけ出口や回避出来る方法を考えた
手に持っていたマスティフショットガンで壁を撃ったが傷1つ付きもしない為に深くため息を吐いた、あのメモのことだけで出られるならば智花は問題などなかったその為だろう1度冷静になろうとベッドの下に腰かけたクリプトの背後を奪い、足を肩に掛けた
「何するんだ智花」
「ごめんね、説教いくらでも行くからごめんなさいっ」
そういって柔らかく程よい温もりのある太ももが顔に触れた、互いの顔が見えないだけマシだとも感じていたが部屋には大きなブザー音が流れ2人は慌てる、メモ用紙をもう一度見て念の為にもう1枚捲った際に(向かい合わせでないと不可)と後から付けたような設定にクリプトは大声を上げて叫んでやりたくなった
「もう腹を括って、ね?」
智花はベッドに横になり足を開いた、まるで誘われるようなその姿勢に年甲斐もなく顔に熱が溜まる
深く深呼吸をしてクリプトは智花の目を見て言う
「嫌になったらすぐ離れろよ」
「うん、クリプトに対してはそんなこと絶対ないけどクリプトもそんな事あったらすぐ離れてね」
そういって智花の足を持ち上げベッドに寝転がるように智花の足の間に身体を入れてまるでU字枕のように智花の片足に顔を置けば、少し力が入り両足や腹部がクリプトの視界を占める、普段では決してありえない距離の近さに思わず目眩がしそうになり目線をどこにやることも出来ずに瞑ってしまえばその他の感覚が敏感になり、彼女の温もりや匂いが自然と感じてしまい恥ずかしことこの上なく考えないように他の事を考えるようにした時だった、自身の髪の毛に触れられ思わず顔をあげれば智花は子供のような好奇心に満ちた顔をしていた
「何してるんだ」
「ん?クリプトと普段こんなに近い事とかあんまり無いから少し堪能しようかなぁ…なんてダメかな」
「ダメじゃない」
「よかった、クリプトってばあんまり他のレジェンド達と仲良くしてくれないから私心配なんだよ…確かに成績は凄いけど他の人達とも仲良くしなきゃ」
「別に俺は他とつるむ気はない」
「ダメとはあんまり言わないけど…ホントもう可愛げ無いなぁ」
そう言いながらも頭を優しく撫でる彼女の声は怒った様子もなくどこか懐かしい声色だった
まるで家族等に話しかけるようなその話し方、優しくトゲがなく引っかかりもしないその声に気持ちよく目を細めて頭を撫でられることなんて何年ぶりだろうかと思っていれば部屋のドアががちゃんと音を立てた
「開いたみたいだね」
「よかったな、さていくか」
「うん、ねぇクリプト」
「なんだ?」
「今回もし試合に戻れてチャンピオンになれたら2人でご飯でもしてお話でもしようよ」
彼女は楽しそうにそういった、手元にあるウィングマンを握り直して背の低い智花の頭を撫でてクリプトは珍しく微笑む
「あぁ、じゃあ意地でも優勝してやるさ」
開いたドアの先ではアナウンスがなった、ラウンド1のリングの縮小中だと
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