ハッピーマイライフ
幼馴染の東方仗助は強く優しく正義感のある漢であり、いつだって智花はそんな彼に支えられてきたと実感した
「うぅ…グスッ」
「泣くなよォ、あんな奴智花にはもったいなかったんだよ俺が居るんだから泣くなって〜」
「うんっ」
産まれた時から二人は幼馴染であり知らない事など互いに殆どなかった、片親同士の家は仲が良く小さな頃から兄妹のようでもあった、泣き虫で気が弱い智花は意地悪をされる対象でありそれを守るのが仗助の役割であった、それは小学校・中学校・高校に入っても変わることは無い
成長するにつれ2人はそれは美男美女になり異性に好意を抱かれた、昔から慣れているためか悪い気こそないが興味もない仗助と反対に慣れずに断ることも受け入れることも出来ない智花の代わりに相談を受ける度に原因になった下駄箱のラブレターは代わりに捨てて告白の返事を仗助が返してやった程だ。
「それで告白受けたのかよ」
「うん、先輩すごく優しくてかっこいいの嬉しくて仗助くんに言いたかったんだ」
智花と二人で行くカフェは夕方になれば人で混み合う学生からスーツのサラリーマンまで様々であり、智花は店一番人気のアップルパイをフォークでつついてそれはもう恋をしています!と分かるように頬を可愛く赤く染めて言うものだから仗助は喜んでやった
コーヒー飲み目の前で恋人の自慢をする智花にむず痒い様なくすぐったい様な感覚に襲われながらも懸命に聞いてやった
隣町の不良とつるんでて喧嘩になったらしいよ
智花の先輩兼恋人である男が突然連絡も取れなくなれば会えなくなった時期にそんな噂が学校中に流れていた、相手の親には会いにこないでくれとさえ言われた智花はただ悲しみに暮れた
「裏の顔なんてわからねぇよなぁ」
「だってすごく優しかったんだよ、喧嘩なんてそんなの」
「智花、俺の事見ろよ見た目は不良なんて言われるけど違ぇだろ?」
「仗助くんはそうだけど…でも」
先輩もそんな人じゃなかったよ私の前じゃ…と小さくこぼしたものだから仗助は小さく舌打ちをした、不思議な顔をする幼馴染の顔を見てまたいつもの様に笑ってそしてその大きな身体で抱き締めて頭を撫でてやる
子供の頃からそんな関係が変わるわけもなかった
「じょーすけもう終わったかぁ、もうあそこの店閉まっちまうんだよ」
「先行ってろよ億泰、まだ時間かかるからよ」
夕焼けが嫌に綺麗なその日、仗助の手にはボロ雑巾のように顔をボロボロにされた男が一人いた
探すのは簡単だった校内でもいい意味で有名である先輩くらい仗助が女の子に聞けば一瞬であり呼び出しにも気軽に応じてくれた、サッカー部の部長を務めているらしく部活終わりだったらと言ってくれたおかげで穏やかな話し合いが出来たものだった
涙か鼻水か分からないものが血に混ざって顔を汚していた
仗助にとってそれは汚らわしく、智花に近づくなら尚更虫よりタチが悪い
だから徹底的に潰した、その想いがトラウマになるような形で歪ませてやり仗助だけでなく智花を思い出すだけでも恐れるほどに恐怖を植え付けてやる。
捨てたラブレターも、受けた告白も全てはね返したのに智花はなんて馬鹿な事したのだろうと仗助は付き合ったと聞いた途端に思ってしまった
好都合なことに彼は隣町の不良と仲が良かったらしく、別の噂が直ぐに広まった、仮に仗助が犯人だバレても智花さえ騙せたらどうでもよかった、周りの意見よりも智花の世界を守る方が当たり前である
「仗助くんはずっと優しいもんね」
智花は何も知らずに無邪気に微笑んでくれる
「当たり前だろ、お前の味方なんだから」
だから仗助も同じように笑顔で返す、制服に付いた赤いシミを取ることが大変だとしてもそれだけで幸せなのだから
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