指先で転がした

鐘の音がなった、カラスが鳴ったら帰りましょうという歌の声が自然と聞こえるような気がしてふと顔を上げた

「こんにちは智花」

「こんにちは吉良さん」

赤色のランドセルをキュッと握って目線を合わせた男に少女はお辞儀をすれば今日も偉いね。と彼は優しく頭を撫でて手を差し伸べられる

「本当にいい子だね智花、君は優秀だ…大人になればもっと素敵なレディになるだろう私以外に見せたくない美しさだよ」

幼い少女の手に頬ずりする男は恍惚とした表情で車の中で座る彼女を見つめる
吉良吉影と出会ったのは夕方頃だった、家に帰らない智花を固まった姿で見つめて智花は不思議に思い見つめれば動き出して優しく手に触れて言うのだ

完璧だ。と恐れはなく智花はただ静かに男を受けいれた齢11歳にして完璧なサラリーマンを哀れな人間と認識したのである
家庭環境に問題のある智花のことを気にする人間などこの世にはいない、帰らずとも何も思うことも無く智花は誘われるがままに着いていった、危険な雰囲気を隠すことなく晒し智花を求めた

「あぁ完璧だ、君にいらない部分は無いなぁ智花、君は私にとってのモナリザだよ」

赤ん坊のように涎を垂らして彼は細く猫のような目で見つめた、赤いランドセルを部屋の隅に置いて彼の足の間に体育座りするように座り手を差し出せば大きく骨張った手が小さく柔らかい女児らしい手を包み何度も握る、大きさを測るように柔らかさを確かめるように10分15分ほどそれをすれば彼の薄紅色の綺麗な唇が開く
桃色の健康的な舌が口の中から伸びたかと思えばそれはまるで智花の手を食らう蛇のように指を喰らう、爪の間も指の間もふやけてしまうほどに吉良は幼子の手を舐めてもう片手を懸命に撫で続ける

「吉良さん痛いよ」

「ン?すまないねつい癖で」

「いいよ、楽しい?」

「勿論だ、智花が居れば彼女も要らないずぅっと2人でこうして生きていきたいなぁ平穏な日々が何よりも素敵だ…そう思うだろ?」

「そうなのかな、私は吉良さんといると楽しいから分からないや」

「そうだね、君はそのままでいいんだよほらもう片手も渡してごらん綺麗にしようね」

びちゃびちゃになった右手は優しいタオルに包まれてマッサージするように拭かれながらも彼の整った口の中には手がある
智花は吉良を異常だとは思うがそれ以上はない、お互いに孤独を分け合い幸せを望んでいるのだから問題もなかった

それは智花が中学生になっても変わらない、彼の膝の中で制服を着たまま人形のように手を愛される

「また浮気をしたの?吉影さん」

「あぁそうだ、でも君だけだ君と君の手にしか私は興奮できないんだよ」

哀れな男は少女を抱きしめ手を握る、整えられた指先も少し光る薄いネイルも白い指先に似合う指輪も彼の最高の彼女である
智花が吉良を見つめ彼の口に指を持っていけばそれはまるで肉食獣に餌をやる感覚でゾクゾクとした快感に見舞われる

「智花…」

熱っぽい視線で困ったような顔をする彼の顔を見て智花はイタズラした子供のようにクスクスと笑う

「ふふ、意地悪したくなっちゃったや」

甘美に笑う少女に吉良は至極幸せそうな顔をして手に頬擦りをすれば小さく彼女の許可が下りる。その合図とともに指先に熱が当たる、舌先を軽く虐めてヨダレの出る彼の顔を拭いてやる
和室を彩る古びた使われなくなった赤いランドセルはまるで2人の時を止めるように存在した。
少女は成長する、男を狂気に落とすため。

_top