好き好き大好き

「五条さんはちょっと…」

「はぁ??この五条悟だよ」

そういう所だよ、と目の前の少女は言いたかったがその言葉を目の前のチーズケーキと共に飲み込んだ
今日もまた目の前の男が座る席の横には3つ程のショッピングバッグは全て彼の物ではなく、彼から少女に送られたものだった
毎週末頃休みが合えば出掛ける約束を無理矢理されどうせ多忙な人だから平気だろうと高を括っていたが彼は無理矢理でも週末までに任務を終わらせて帰ってくる

時には夜中でも関係なく"明日はデート行くよ"と誘われた
同級生と出かけると言えば、奢るから全員で行こう。と言われ
今日は用事があるのでと言えば、じゃあついて行く。と言われ
出かけたくないと言えば、部屋でゆっくりしたらいいじゃん。と言われ

そこいらの恋人よりもベタベタと引っ付いてこられ困惑した、そしてその日のデートは快晴で渋谷に新しいショップが沢山できたらしいから行こうと誘われ出かけた、そしてよく並ぶケーキ屋で30分ほど並んでお茶をした時に言い出した
そろそろ彼氏にする気は出た?と思わず言葉に返事を出せば彼は心底驚いていた

「イケメンで、お金もあって、家柄も最高、頭も凄くいいし、スタイル抜群、顔だって童顔でかわいいし、後輩にも信頼されてる」

「尊敬はされてませんけどね」

「ぐぅ」

確かに顔は誰が見ても綺麗な顔立ちで、スタイルだってそこらの人よりいい、彼の言う通り確かに完璧だろう性格以外は
性格を知っても好きだと言えるならばやめておいた方がいいと助言してやりたいと思えた

「そもそも逆じゃありませんか?」

「逆って?なになに告白したかったのそれならはいどうぞ」

「違いますよ、別に五条さんのことそんな目で見てませんから」

「じゃあなんだよ」

「普通こういうのって生徒(私)が先生(五条さん)を好きになって、年の差だからダメだよ…的な感じじゃ」

「少女漫画かドラマの見過ぎだって」

教師だって男なんだから、と付け加えた彼はあまりにも教師に不向きだなと痛感した今まで彼の持ったクラスがあれば可哀想だと同情したく思うがまぁまともにそんなクラスは無かったろうと感じた

「てか好きじゃなきゃこんなにしないでしょ」

「税金対策かと」

「こんな金額じゃまだまだダメだよ」

彼は毎度デパートで見かけるようなブランドショップの綺麗な少し入ることに躊躇う正規店にまで態々連れて来てはアクセやバッグ気に入ったものを買っていく
勿論それは五条本人ではなくその少女に向けたプレゼントであり、困惑する顔を見てもいつも気分よく可愛いと伝えては購入した

「そのワンピースも靴も全部僕のだし、気分いいよ」

「着ないのも勿体ないじゃないですか」

紺色のノースリーブワンピは首元の白い襟にはビジューが綺麗に付けられている、確か店員の人がスワロフスキーがどう…と話していたのが聞こえており値札のついていない洋服に恐れながら財布の中を開けようとするも即財布は奪われて二度と開けさせて貰えなかったのは数ヶ月前の出来事だ

「でも智花のそういう所が僕好きなんだよね」

そう言いながら貴方は大人の女性と過ごしているじゃないかと言いたかった、目の前のチーズケーキを食べ切って口周りを紙ナプキンで綺麗にし頼んでいたアールグレイを飲んだ

「返事は」

冗談じゃないんだと言いたげな彼の顔を見てもう一度言う

「好きじゃないです」

こんな所で話すんじゃなかったと内心思った狭い店内は女の子だらけで、それでなくても目の前の人は目を引く
オマケにこんなに美味しい恋愛話聞こえてきたら楽しくて仕方ないだろう、隣に座る女子二人はいつの間にか静かになっていたことに気付いて立ち上がる

「ご馳走様です、冗談はあんまり好きじゃないです」

何も返事はなく会計を済まされる、外で静かにショッピングバッグを持って待った

「ごめんお待たせ、荷物持つよこの後どこ行く」

「どこか行きたいところありますか?」

「ん〜、僕と居るのいや?」

あまり聞いたことの無い自信のなさそうな声、ビルの4Fのお店の為エレベーターを呼び待っていたがそんな事お構い無しに手を取られ階段を歩く、その間に手に持っていた荷物も全部奪われる
小さく首を横に降れば手が伸びてきた

「本気なんだけど」

「好きな理由ってなんですか」

「可愛いところ、話し方も見た目も性格も全部かわいい女の子なんて死ぬ程いるし飽きる程モテるから気にしないけど、智花は可愛いんだよ」

「あ、の先生近い」

「外じゃ先生呼びしたらダメって言ってるでしょ、好きな理由だっけ?1人で頑張りすぎるでしょ仲間思いだし何だかんだ断りきれないところ、靴から小物まで全部僕があげたものつけてる所」

「それはその貰ったから」

「そう言いながら休みの日もネックレス付けてくれてるでしょ、自惚れでもいいけど言い逃れできるの?香水も僕があげたやつずっと使ってて」

トンっと壁に背中があたり見上げれば近づいた顔に心臓の音が口から漏れそうだと思った、優しく指先が顎を掴み上にあげて顔が近づく思わず強く目を瞑れば全く何も近づいては来ずに薄らと目を開ける
ぷるぷると肩を震わせた目の前の男に思わず恥ずかしくなる

「いやっだって、ふふ…智花期待したような顔してるから、ははっ可愛くて」

「っっ、もう知りません」

あぁ分かっていたからかいたいだけだと、子供だから遊びがいがあるんだと期待した自分が馬鹿だったと思わず零れそうな涙を隠すように腕からすり抜けて階段を降りようとするも腕を掴まれる

「ごめんって揶揄いたかった訳じゃなくてかわいいから」

「もういいですから、私が面白いからって酷いですよ」

「好きな子いじめちゃうタイプだからごめんね」

「普通に、好きって可愛いって言ってくれた方が嬉しいです」

「そしたらちゃんと返事くれる?」

後ろからぎゅっと抱きしめられ耳元で弱々しい声が聞こえた、どうしてすぐこの人は意地悪にからかうんだと言いたくなるが昔から変わらないのだろう
小さく頷けば耳元で囁かれる

「智花がいちばん可愛い、大好きだから僕と付き合ってよ」

と、そう言われれば頷く他なく小さく首を縦に降れば満足そうに腕の力が込められる、あぁこの人ずるいなと思いつつ階段の上でガタンと音がした
あぁさっきの隣の席の女の子だと理解した時には遅く、後ろから抱きしめてくる五条を突き放すまで後25秒。


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