今世も来世も俺のもの

※オメガバース(虎杖と宿儺が双子呪術師)


「逃げられると思ったか?お前は俺のものだ今世も来世も前世もすべて…其れが運命だ」

ガリッと大きな音が耳について離れなかった、毎度同じ夢を見る度にハッキリした夢に変わっていく初めはもっとぼんやりしていた、中学2年辺りから突如夢はまるで映画を見るようにハッキリとした映像に変わり触れられる感覚さえ感じるほどに変わった
中学三年の冬の身体検査は少し特別で血液検査が入る、第2の性と呼ばれるものがハッキリするのは大体10代前半であり発情期が来る平均年齢は16歳だからだ

第2の性は産まれた時から分かるパターンと突然来るパターンの2種類であり、皆産まれた時とその後に分けられるそもそも出生から分かるパターンはαが殆どでβは特に普通通りに生きれるが、Ωの場合突然発情期を迎えて判明するパターンがあり社会問題にもなった

『和泉智花さん…君の第2の性なんだが』

寒い冬空の下、手に握った紙の検査結果は変わることは無いだろう
和泉智花 Ω と記載のある紙を片手に病院に行き処方箋を貰って薬を渡され簡単な説明を受けたあとも頭はハッキリせず時間だけがすぎた
夢を見る、4本の腕が伸びて掴んで離さずに耳元で囁くのだ

「お前は俺のものだ」

ハッと目を覚まして煩く鳴り響くアラームを止めたもう住み慣れた新しい部屋の中、制服を身にまとってテーブルの上に置いてある薬を2錠水で流し飲みドアを開ければ奥には黒髪の少年がいた

「おはよう伏黒くん」

「おはよう和泉」

「新入生来るんだってね」

「あぁ仙台から双子らしい」

「へぇ一般家庭の子でしょう、双子なんて京都校なら絶対学園長から目を付けられるよ」

古い校舎の中を歩いて玄関まで向かう、東京都立呪術高専はその名の通り呪術師になる為の学校だ、古いが弱い呪術師の家系から産まれたΩに両親は大層苦しい顔を見せたのは当然だった、それでも行く道は他になく結果的にこの学校に来ることになった

「おはよう2人とも」

「おはようございます」

「智花少し2人でいい?」

玄関にいた担任五条悟がなにやら言いたげな顔をした事に恵は少し離れてくれるも聞かれたくないのか別の場所に連れてきた

「新入生の虎杖悠仁と宿儺って双子なんだけど、宿儺はαだから気を付けてほしい」

「…宿儺ですか、分かりました変わったお名前ですね」

「うん、まぁ薬飲んでるし大丈夫だろうけど何か問題あったら僕の事呼んでねΩくらいどうとでも出来るから」

流石産まれたときからαなだけある、彼は余裕な顔で笑って話して再度恵と合流する、発情期で困ったことは今はまだない薬を飲んでそれでも抑制が難しい場合は医者から貰ったヒートの強制抑制薬として渡されるものを使えばいいだけだからだ
時間が進む度に鼓動が早くなり体が熱くなる、まるで風邪をひいた感覚で少しぼうっと壁にもたれ掛かる

「あーいたいた!お待たせ、ほら宿儺も早く来いって」

長い坂道から声が聞こえた、明るい少年の声と大人のような少しハスキーな落ち着いた声、その声を何度も耳にしたことがあった

「喧しいお前だけが行けばよかろう」

まるで子鹿のように足が震え動物の本能のように項を隠す、喉の奥から唾液がとめどなく溢れそうになり必死に飲み込んで息が荒くなる、隣にいた恵が心配そうに声をかけるが何も聞こえない

「…ほぉようやく会えたようだな智花」

「あれ?宿儺の知り合い」

「ッッごめんなさい、私部屋に戻ります」

ふと目の前に現れた男を突き飛ばして背後から聞こえる声に反応も出来ずに走り続けた、道中先輩方が居ても何も言うことは出来ずに部屋に戻りテーブルの中のピルケースを取り出して薬を飲み込む、1時間前に飲んだはずの薬が効いていない所か突然の発情期に混乱する

「なんでっどうして、あの人」

夢の人だ、と理解した医者が注意として強烈な眠気が襲うからこの薬は無闇矢鱈と使わないようにと念入りに押された薬を注射器で注入しベッドに転がり込む
これは夢だ、私は普通に生きられる、そう信じて眠りについた


「奴隷か」

小さな檻の中に閉じ込められた娘に男はそう言った、言葉も分からない少女は衰弱しきっていた、まだその時は第2の性などは分からずΩも少ない為にΩ種は村を混乱に落とすだけの危険な存在だとされた
発情期を抑える薬もなく、その時の運命に従って生き続けて村の奴隷として生きる他なかった、腕が伸びてドアを開けまるで犬猫を取り出すように少女を抱き上げて邪魔な前髪を退かせる

「お前は俺の為の人間だ、こんな所で死ぬのは許さん」

4本の腕が少女を甲斐甲斐しく世話をして、彼は奴隷である彼女を深く愛した理由等はなくただ無垢な少女の心に奪われたように、数ヶ月毎に苦しむ少女と契りを交わして互いをパートナーとするために項を強く噛んで互いのものだと証明させる
何者かもわからぬその鬼神に恋をして全てを捧げた、毎晩眠る前に少女に告げる

「お前は俺のものだ、死してなおその骨も血も全てがだ、誰にも渡してはならんぞ智花」

頷いて彼の胸に抱かれて夢を見る、白飯を沢山食べて2人で幸せに生きる夢を彼女は毎日見る、発情期に対して乱されるわけでもなくただ優しく介抱してやる彼を心底愛していた
けれど人は永遠でなく、彼も永遠にはいない、2人の住む家は抑えられ少女は保護という名目で奪われそして最後は亡くなった命が長くなかったのはわかっていたことだが許されることではなかった

「智花…何処にいるお前は」

バチンと電気が付けられるように夢から覚めた、まるで映画を見ていたように感じながら汗で色の変わった服にため息を零して額の汗を拭う
薬が効いたおかげか身体はもう何事もなく落ち着いていた、気を使ってメールで連絡をしてきていた五条に返事を軽くして立ち上がった時だった

「ようやく起きたか」

「どちら様でしょうか」

「…まさか俺を忘れたのか?」

「新入生の子でしょう、虎杖くん」

「そんなくだらん名前を呼ぶなお前は特別だ智花、宿儺と呼んでいい」

出なければあの阿呆と一緒にされてしまうからな。と零して腕を伸ばしてきた男の声は夢と同じだった、部屋の入口からそっと足を部屋に踏み入れられ思わず学校内にも関わらず呪霊を相手取るように攻撃態勢に入るも何も気にせずテーブルの上に乱雑にされた薬を手に取った

「お前はまた奴隷のようだな」

「仕方ないでしょ、変えられるもんなんかじゃない」

「これを飲んで今まで守られてきたのか」

「それ以外で抑制出来るものがないの、抑制しなくていいなら私だって飲みたくなんかない」

そういった智花の気付かぬ間に背後を取り智花の腕を背後に伸ばして胴体をベッドの上に押し付ける、あまりの速さと力の強さに驚き声も出ずにいれば髪が避けられる

「やめて!」

「お前は賢い女だ、俺の為に残して生きてきた褒美をやろう」

「離して!あなたは私の番なんかじゃないっ、やめてそんな酷いことされたくない」

小学生だって知っている、教科書やテレビどんな所でも言われるこの第2の性による社会問題、Ωが悪いΩが狂わせたこいつらが居なければと責任転換をして社会から迫害される毎日、親でさえ苦しい顔をさせる、こんなものが欲しくて生まれた訳じゃない
それでも運命の歯車は変わらずに動く、1度項を噛まれたΩは二度と発情期で他の人間を惑わせることはない、だがしかし1度パートナーになれば二度と離れられずに求めていなくても契約解除をされればストレス死をすることもある程に繊細で大切な制度だ

「酷い訳が無い、お前も見てきただろうどれだけお前を愛しているか」

「…あれは私なんかじゃない」

「姿形が違えど魂は変わらん、何千年探した事か」

「お願いそれ以外ならなんだってするからそれだけはやめて」

「断る、二度と手放さないためだ」

歯が当たる、力に抗えずに受け入れる他なく涙がベッドに零れ落ちた時だったジュッと焼かれるような音が聞こえ抑えられていた力が緩み、その隙にすぐ様背後を壁にやり見てみれば口を抑えた宿儺が居た

「ほぉ?まさか護符をしていたとはな」

「護符?ってあのお守り的な」

「お前自身では無いのか」

「きゃあっやめてよ離して」

再度確認するように彼の腕が伸びて髪の毛を退けて項を見れば真っ白なその肌があるばかり、再度噛み付こうと顔を寄せれば静電気のような音がなる

「誰にやられたのか言え智花」

「別に頼んでなんかないし知らない」

「なら俺自身で解除してやろう」

「やっやめてよ誰か助けて!」

そう叫んだと同時にドアが開き私服姿の教師がいた、何となく理解したような顔でにこやかに笑い、片手で宿儺を退けて智花の項をみて再度噛み付こうとすれば同じく静電気が起きた

「何の用だ」

「どうせこうなると思ってね、智花には僕から護符を張ってるんだよそれも強力なやつ」

「貴様のせいか、早く外せこいつは俺のものだ」

「違います先生、虎杖くんは許可なくしてます」

「同意がない限りは解除しないし、あってもそれは智花の意思だから解除は無理だよ」

超絶特殊で強力なやつだしね。といいあの五条悟でも解除出来ないものを付けられているのだと智花も知らなかった顔で宿儺と顔を見合せた

「智花同意しろ、俺はお前を求めてここに来た」

「無理無理初対面の人となんて出来るわけないでしょ」

「ッチ、まぁいいだが覚えておけ必ずお前は俺のものだ」

壁を大きく叩いた宿儺が背中を見せて出ていった、穴の空いた壁を見た後まだ立ったままの五条悟がにこやかに笑った

「まぁ、頑張ってね」

なんてことになったのだろうかと考える前に智花は呟いた

「私の部屋…どうするのこれぇ」

業者が滅多に入れないここにこんな事をするなよ。と思いながらまたベッドに横になる、今日もまたあの夢を見るのだろうと察しながら。


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