お兄ちゃんは心配性
▼▲▼
「洗濯物自分でするから大丈夫」
毎朝のように学校に行く前に貰っていたパジャマを渡さずにそう言い始めた、私室に鍵をかけ始めた、トイレにゴミ箱が増えた、1人で買い物に行くようになった、ご飯も昔と違って思うように食べなくなった
一郎は困惑した可愛い妹がついに反抗期を迎えたのだと嘆き、その姿には後の2人も悲しんだ
16歳になった途端にこんな事になるならば来なければよかったと涙ながらに語った
「それで…無理やり部屋に上がろうとしたわけ」
「うっでも兄ちゃんたち心配で」
「そうですよナマエ姉さんのため思って」
「だからそんなに怒んなって」
「女の子ってこと考えてくれないかな、私もう16歳なんだよ立派な大人なんだからお兄ちゃんとサブちゃんにいちいち言われたくないし、そ、それに友達が言ってたけどカッコイイお兄ちゃん達とつるんでたら彼氏とかできないし」
「それが本音なのか!」
一郎は声を荒らげたせいでナマエはビクリと肩を震わせたが負けじと両手を拳にして叫んだ
「こっこれ以上干渉して来るなら私左馬刻さんの所に行くから!」
まるでヒプノシスマイクを食らったかのように脳が震えた、ナマエの口から左馬刻の言葉も反抗的な言葉も悲しくて仕方がなく一郎は年甲斐もなく泣いたもう一生分程度に泣いたあんなに小さかったナマエがこんなにも大きくなったのに何故なのかと
だがしかしプライベートは大事だもんな…と納得しあい三兄弟は悲しみを背負いつつ生活を元通りにし始めた
そう…溺愛している可愛い妹が左馬刻と隣で楽しそうにクレープを食べながら歩いてるのを見るその日までは。
▲▼▲
- 26 -