私の忠犬
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「心くん、起きなきゃパパに怒られちゃうの私」
「っせぇ」
「私行かなきゃパパすぐ怒るんだから、ね?」
「…いやだ」
雇い主に逆らうとは何とも我儘な犬を飼ってしまったと思いつつも寝ぼけている彼の頭を乱暴に撫でる
気持ちいいのかもっとと頭を押し付けてくる彼にデコピンをすればようやく子供みたいに丸い可愛い瞳が開かれる
「行かなくていいだろ、何のために来てんだよ」
「寂しいから?」
「2割正解」
「ふふ、かわいいね心くんってばでもダメ能井ちゃんと本日はデートだし心くんとは昨日も遊んだからね、朝はパパとキクラゲのお散歩行かなきゃ文句言われる」
「…俺はいいのかよ」
「なぁに、彼氏だからって束縛?」
「おう」
「能井ちゃんに怒られちゃえ」
アブラカタブラと何ともホームで読んだ絵本の魔女のように不必要な呪文を唱えて黒い粉が心を包んだ、恨めしそうな彼の目を見てごめんね。と一言告げて頭を撫でてやりベッドから降りる
備え付けの姿鏡にはこれまた犬に付けられた首の赤い跡が嫌と言うほど残っていた、思わずベッドで固められている心をみればべーっと舌を出した
「いい子にしてたらご褒美あげるから、ね?可愛い私のワンちゃん」
生意気な彼の頭をまた撫でてやれば気に食わないのと嬉しいのが重なった微妙な顔をして一言彼は声を出す
「わんっ!」
これが私の忠犬だ
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