甘い言葉に気をつけろ!



この世界に来てから明らかに可笑しい、目の前に表示された数値に顔を引きつらせて隣にある姿鏡で腹の肉を摘んだ、摘めてしまった

「なのでトレイ先輩しばらく私お茶会は勿論ですが、お菓子の差し入れも結構ですから」

そういえば目の前の男は困った振りをして眉を下げる、実際こんなことを言っても彼は困らないことくらい理解している

「分かったよ、理由だけでも知りたいんだが」

「どうしてもですか?」

「あぁどうしても、そうじゃなきゃ差し入れちゃうだろ」

「トレイ先輩だから言いますが、他の子に言わないでくださいね?」

大体予想もついてるはずなのに意地悪に聞いてきた彼に子供のように少し不機嫌な顔になる自分がわかった、だからといって答えないわけにもいかずに素直に最近太ったかもしれない。と告げれば彼は嬉しそうに微笑んだ

「じゃあ俺はこれからも差し入れるよ、食べないなら別に捨てるなり他のやつにやってもいいからな?」

「聞いてましたか?女子の体重問題をそんな簡単に無視するなんて」

「食べなきゃいいだろ?」

「ぐぅっ…で、でもトレイ先輩のお菓子本当に美味しいからつい」

「んー、なら俺がとっておきのダイエット方法を教えてあげるし付き合うよ」

「本当ですか!そっそれなら」

「嗚呼俺がしっかり痩せるまで、ずっとずうっと痩せたあとも付き合ってやるさ」

その時の自分は馬鹿だろう、彼がSで自分は手のひらの上で遊ばれてるなんて事を忘れてしまっていた
綺麗に彼の罠にかかった哀れな兎の事など誰も知る由はない

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