共犯者


試合(ゲーム)の感覚を忘れられなかった自分がいけなかったと認識した時には遅く、床に転がった男は数回痙攣を軽くした後に声も出さずに倒れた見知らぬ人間を見て深いため息をついた

「うん…そう、うん」

最低限渡されている携帯端末の中にある連絡先に電話をしてから夜の深い裏路地で1人立ちつくす

「大丈夫か」

「私はね、これもうダメかなぁ」

「元医者のお前が言うなら難しいだろ」

やって来た男にそう言われて心肺停止し、遺体となった其れをどうすべきかと伺う
正直APEXの運営側に頼めばこんな事消してくれる可能性もあるだろう。なんといっても一端のレジェンドであり稼ぎ柱の彼女の頼みだ断ることも無い、だがしかし借りを作ることは嫌な彼女は1番口の硬そうな男に声をかけた

「遠くだが確か山がある、そこに埋めればバレないだろう、毎月遺体が山ほど出てくるしな」

そう言われればそんな自殺名所じみた所があったな。と思い出して彼女は1度家に帰り血のついた服を着替えて車を出した
重たい80キロはありそうな遺体を持ち上げてビニールの敷いたトランクの中にしまい込んで走らせる
いつも通りに彼は黙って何かを調べて道中コーヒーを飲みつつ深夜のドライブデートを楽しんだ

「こんなもんかな」

「あぁ2mほどあれば大丈夫だろう、次からはしっかりやれよ」

「クリプトでもそんなこと言うんだ」

「変な事じゃない、あんたは自分が思うより血を見るのが好きだからあんな所にいるんだろう」

だからいまさっきだって怯えることは無かったんだ。といった言葉に知らぬふりをして微笑んだ

「じゃあ、またドライブデートに誘うよ」

そういった言葉に彼は返事をすることは無い、否定のない返事に気分良くしつつ彼女は埋め立てされた土の上でコーヒーの缶を置いて車に戻った。

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