甘い果実



弟よりも少し年上で自分より少し年下の幼馴染
小さな頃から彼女を知っていてそれは勿論可愛いと思っている家族や妹のようにそれは弟の幼馴染と同じように可愛がってきたつもりだった、だからこそ違和感を感じたんだろう少しずつ色づいてきたことに

歳を重ねる度に綺麗になったと感じたのはいつからだろうか、成人を迎えた自分に対して少しだけ距離を感じるような表情でいつも見つめて
身長が大きくなったとか、顔つきが変わったとか、女性らしい匂いがするなとか、そう考えると段々自分があの子を幼馴染に見れなくなってきた気がした

だからだろう、この今の失態を焦るのは
久しぶりの実家に安心してしまったからか起こしに来たであろうその子の腕を強く握って抱きしめてしまっていた、狭いシングルベッドの中で大の大人2人で昼寝をしてしまっていたのはいい
けれど彼女のその首も耳の赤さも、心臓の鼓動の大きさも聞こえてしまうのだ、あぁ分かってしまったとっくに幼馴染なんて存在じゃないことを、狸寝入りをしてる彼女が握っていた服を少しだけ力を入れた

「…ダンデ」

まるでそれが合図のように彼女の名前を呼んで、見上げたその唇に噛み付いた
小さな頃の思い出が少しだけほんの少しだけ崩れた気がした。



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