待ち合わせソーダ



飲み始めたクリームソーダが2杯目の終わりの合図をストローから出した、下品なその音にムッとした顔で暑いエアコンの切れた喫茶店の中の時計に目を向ければ時刻は13:48と示されている
テーブルの上に置いていたスマホを覗けばようやく返事が来たらしく"ほんまに待っとる?"なんてメッセージがロック画面に映された

「"おるよ、うちが4番目に好きなとこ"」

そうメッセージを口に出したがムスッとした顔はまだ消えない、待ち合わせをしてから約2時間近くが経過した
待ち合わせ相手である男の髪色に似た緑色のクリームソーダがまた頼まれる、汗がじわりと背中を刺激する嫌な感覚だ
喫茶店の扉がカランカランと鳴って顔をあげればこのエアコンのない喫茶店にいる客の4倍くらい汗を流した白膠木がいた

「遅いわ」

「分かるか!」

大きくツッコミを入れたその男の前にタイミングよく出されたクリームソーダは一瞬にして消えていき、また1杯と頼まれた

「どこいくんや」

「んー、取り敢えずこれ飲んでから考えよ」

そうこう言いながらまた今日も暑いこの喫茶店の中で半日近く過ごして夕飯にお好み焼きを食べて帰るのだろう、なんてお互い思いながら目の前のクリームソーダのストローを口にした
また下品な音をストローが立てる。

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