獣人



どうして、どうして兎と狼なのだろう
何故草食と肉食なのだろう

その血色のいい首筋を噛み付いて、その肉を食い漁りたいと願ったのは何度目か
広いベッドの上で押し倒したながら何度もそう思ってはその欲望を抑えてきた、ひくひくと動く耳は弱く見えてしまう、本当は誰よりも弱くないハズなと理解していながら

「もう我慢が出来ない」

その言葉はどういう意味なのか欲情なのか、食欲なのか

「私を食いたいなら食べ給え、けれど私も君を喰らおう」

クラウスの耳がまた揺れた、押し倒していたはずの身体が反転してベッドがまた大きく沈む
早くその美しい血管の張り巡らされた喉元に噛みついてしまいたいという欲望を必死に抑えて
彼の首に手を回す、そして今日もまた背中に爪痕を深く残すのだろう。

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