2本詰め



この人も男なんだとふと思い彼の顔に手を伸ばした綺麗な肌、赤い髪から覗く白い肌や磨かれたような美しい牙も全てが魅力的だ
昨夜愛し合った故にいつもよりもゆっくりとした朝を迎えた時、ふと彼の顎を撫でてみれば手に触れるザラりとした感触に思わずおぉっと声が漏れた、それが楽しくなって寝ている彼の顔をパンを捏ねる様に遊ぶ
普段誰よりも気を強く持つその人が隣で安心しきって寝息を立てる姿は新鮮で嬉しかったからだ

「楽しいかね」

「あ、そっその起こしてしまいましたか?」

「君が起きる前から」

ふと目を開けた彼が楽しそうに言うものだから思わず恥ずかしくなり手を離そうとしたがその手首を捕まれ頬擦りをした

「こんな私が好きなのだろうか」

「新鮮だなと」

「存分に触ってくれ給え、君に触れられるのは気持ちがいい」

まるで猫が甘えるようにざらついた顎を手に乗せる彼があまりに可愛く思えてしまい両手を伸ばして触れれば嬉しそうに目を細めた。

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「君は香水を付けないのだね」

その言葉に目を丸くした、確かにライブラの中はいつも誰かの匂いがする、ザップはタバコ臭いしK.K.はシャンプーと火薬の匂い、レオナルドはジャンクな匂い、チェインの匂いはたまにお酒、ツェッドは水の匂い、ギルベルトは紅茶の匂い、スティーブンは高そうな香水の匂い
目の前のこのクラウスの匂いは優しい花の匂いと彼の上品さが分かるような香水の匂いだった

「私は、あまりそういった物を持っていませんので」

「そうか…嫌いということなのか?」

「いえ嫌いではないです、現にあなたの匂いはとても心地が良いですから」

「よかった」

ほっとした彼の顔に思わず胸がドキリと跳ねる、彼はずるい子供のような顔をするから

「良ければこれを使ってくれ」

後日そう言いながら渡してくれた赤いパッケージの香水を渡され家に帰ってからそっと枕元に1プッシュし抱きしめる

「…ずるい」

だって彼と同じ匂いだ、優しく甘くて包むような匂い
これだとどこにいても彼を思い出して恋しくなるじゃないかと思いながら鼻に広がるその匂いを存分に楽しみながら目を閉じた。

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